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「名古屋スタイル」の本格的な始まりの予感 第4節ファジアーノ岡山戦マッチレビュー #grampus Y0235

3節間言い続けた「後ろが運んだところがスタートである」や「人がいないところにプラスワンを作る」といった、基本の「キ」に対する理解が、選手側も見る側も深まってきた頃である。「名古屋スタイル」を探る一戦となった。

試合情報

  • 2026年2月28日 
  • 岡山ー名古屋:1-1 PK5-4
  • 天候 / 気温 / 湿度:晴れ / 13.6℃ / 46%
  • 主審 大橋 侑祐

かわらぬ基本形の展開(おさらい)

お互いに10分ほど陣形が定まらないまま、ロングボールの応酬が続いた後の展開である。岡山は5-2-3の布陣で厳しくプレッシャーをかける形をとった。対する名古屋は、4-1-5の布陣の中盤の底と2センターバック(CB)に対して、相手の前線3枚を当てるイメージである。脇のインサイドハーフ(IH)は、佐藤と原にボールが入るとスライドし、間に合わない場合はボランチがスライドして対応した。ボランチが引き出された際に、ヴィニシウス(以下、ヴィニ)と木村が引いてポジションをずらし、ボールを受ける形が良い攻撃の形であった(例:13分23秒からと37分25秒から)。

13分23秒からの展開では、ヴィニ自身がフィニッシャーの枚数に加わるために佐藤へ展開する選択をした。しかし、ここでは山岸から森への早いパスや、遅れて顔を出した木村へパスを出すパターンのほうが、ギャップを突く速さと戦術設計の観点でミシャ(ミハイロ・ペトロヴィッチ監督)らしい選択であったと言える。ただし、開始10分の守備局面でIHが通常より低い位置を保っていたこともあり、早いタイミングでヴィニがセンターサークルまで引く展開や、佐藤が引いたIH(ヴィニ)を使った場面は、外側のスペースの渋滞をうまく利用した立ち位置と選択であった。

その後のビルドアップのパターンも、藤井とルカオのマッチアップからのスタートであった。いつも通り、ボールを運ぶ動きからの展開である。最初のボールの運びを消すための対策だったのか、江坂が中央に絞り、逆サイドの佐藤には白井が前に出て対応するという変則的なマンツーマンディフェンスが見られた。結局のところ、相手はサイドバック(SB)への対応を明確に決めていなかったため、原にボールが入ってからの展開となった。ここでもヴィニが早めに引いてギャップを作り、そこに森が入り込むことで、山岸が1対1の状況を作る展開となっており、ヴィニの動きが効果的に機能していた。

ビルドアップのパターンで言えば、20分22秒からの展開が基本形を探る動き(様子見)であった。原が詰まってパスをやり直し、相手のプレスを誘い込んで藤井が剥がす。そして、江坂を引き出せるかどうか様子を見ながら、顔を出しているヴィニのポジションのズレをうかがい、無理であれば最終ラインからやり直すという流れである。

2度目の藤井の持ち運びに対して、江坂が食いついてくるのがよくわかる。ここで、藤井から原へのパスライン(相手の守備ラインを1列越えるパス)ではなく、藤井から木村or佐藤へのパスライン(相手の守備ラインを2列越えるパス)へとチャレンジする姿勢も、ミシャ監督の戦術特有のスピード感にあふれていた。

その後の高嶺から山岸へのパスも、パスを出す基準の本質は同じである。「ファーストディフェンダー(1st DF)を1枚剥がせており、パスの受け手でギャップが作れているかどうか」が重要となる。岡山のように、ある程度マンツーマン(人対人)で守備をしたいチームに対しては、特に最初の段階で相手を剥がして生じた守備のズレを、そのまま最後の木村のシュートにまで繋げるようなボール出しが、パスの長短に関わらず一つの基準となる。

👍point

27分44秒からの中山から木村への仕掛けのミスも、元をたどればビルドアップの約束事から外れていたため、意思疎通が図れなかったことに起因する。藤井が木村(太)にパスコースを制限されたまま中山にボールを預け、そこからもうワンテンポ早く仕掛けるために木村(勇)へパスを出した。この時、中山も木村(勇)も相手とのマンツーマンでの勝負を強いられていた。これは「相手を剥がし、ズレが生じているところへパスを出す」という基本のスタートではないため、タイミングが合わなくても仕方がない部分でもある。同時に、相手を剥がさなくても守備の列を越えられる状況において、次にどう展開するのかという課題は、これからチームとして構築していきたい部分である。(この後、ミシャ監督が大きなジェスチャーと声出しで指示を与えていたため、約束事とは異なるプレーに対して憤りを感じている雰囲気であった。推測の域を出ないが、そうした背景があったと見られる。)

変わらぬ相手の対策と新しい変化

この後、岡山はシステムを5-4-1に変更した。これはこれまでに何度も目にしてきた、「ビルドアップのスタートの約束事を消すための動き」だった。

岡山がこのシステム変更を行った瞬間に、佐藤と中山が引いてボールを受け、無理矢理にでも守備のギャップを作ったところに連動して高嶺が入り込む、という一連の選択ができた点は確かな進歩である。いわば、「前線の高い位置でパスを受け直そう」という狙いを持った形である。

「良い形は約束事を破ったときに生まれる」というよりも、かつての経験(昔取った杵柄)との融合によって5-4-1の攻略を図った展開が、35分00秒からの両サイドにおける選手のローテーションである。5-4-1のブロックを崩すために、左サイドに人数をかけて深く引くことで岡山の守備を引き寄せ、逆サイドのSB(原)をフリーにし、原からヴィニへとパスを繋ぎながらポジションをローテーションさせた。ヴィニが引いて空いたスペースに森が入り、そこから外側へ流れて相手の守備をずらし、山岸がボールを受ける形を作った。守備をずらしてからは速攻で仕留めるというミシャ監督のポリシーとはやや異なる形であったが、ブロックを組まれると相手をずらすことすら困難であった長崎戦と比較すると、素晴らしい改善である。

構える意味

後半に入っても、岡山の5-4-1のシステムは継続された。その状況下において、SBにボールが渡るタイミングで、基本的にサイドに開いた選手の外への張り出しが遅れていたため、名古屋は47分17秒からのような中央を通すビルドアップを実行できた。そして、その形から得点が生まれている。

白井は、岡山が5-4-1に変更する前までは佐藤と対面(マッチアップ)していた。その時点から、名古屋にビルドアップで前進され、背後のスペース(奥)を取られた際のマンツーマンの対応が緩かったため、5-4-1に変更してからも、前進されながらボールを持たれた際に、中山への張り出しが遅れる結果となった。5-4-1のブロックを組んでいるにもかかわらず、木村(太)が前に出ていったことが、白井をマークの受け渡しで迷わせる結果に繋がった。

68分10秒からの攻撃の進行も、高嶺と藤井の両CBが「相手を剥がしてボールを運ぶ」展開であった。相手のプレスが来た時こそ、こうしたプレーが真価を発揮するタイミングである。守備の列を越えてボールを運び、次のプレスを引き寄せることができれば、その時点で相手の守備陣形はずれている。このような、攻撃の第一歩となるビルドアップの質も向上している印象を受ける。69分09秒からの中山のシュートに至る場面も、相手のプレスを剥がしてからの展開であった。

試合雑感

  • 試合の文脈、あるいはチームの約束事の中から生み出されるパスであれば、文脈を無視した場合よりも簡単にパスが通る。現在のパスミスは、そうした原則から外れた際に起きている状態である。パスが通らなかったものの、攻撃のスイッチとなるようなチャレンジングなパスの試みは、概ね約束事の中から生み出すことが可能であり、その方が実行も容易である。高嶺でさえも、この「ミシャ監督が率いる名古屋」のスタイルにはまだ苦労している部分があるため、戦術が完全に浸透するまで、味がするまで噛み続けるしかない。
  • 長崎戦までと比較して、IHがビルドアップに顔を出す回数が圧倒的に増えた。IHが引いてボールを受ける回数が増加すると、清水戦のレビューでも言及した「人がいないところにプラスワンを作る」という狙いが見え始める。山岸にとっても、相手の守備陣が引いて動くIHの亡霊(神出鬼没な動き)に気を取られ、悩まされ始めるとプレーが楽になるため、この試合では山岸の動きが非常に効果的に機能しているように見えた。監督としては必ずしも意図した通りの展開ではないかもしれないが、まずは試行回数を増やし、そこから不要なプレーを間引いていくアプローチのほうがチーム作りとして容易であるため、この積極的な姿勢は続けていきたい。
  • 開始10分から両手でのプッシングが複数回見られたり、前半だけでもポストプレーに対して過剰なホールディング(守備の強度とは別次元の反則まがいのプレー)が行われたりと、両手で激しくコンタクトしてくるプレーが主審に厳しく反則を取られない試合展開であった。そのため、早い攻めを試みても基本的にはフィジカルコンタクトで潰されてしまう状況下において、1対1の個の力(格付け)で上回り、先制点を奪えたことは非常に高く評価できる。
  • セットプレーの守備に関しては、すべてファーサイドの選手を1枚フリーにしてしまう状態が続いており、結果的にそこから同点弾を許すこととなった。守備のシステムがマンツーマンとゾーンのハイブリッドなのか、それとも完全なゾーンディフェンスなのか、チーム内での意思統一が曖昧(フワッとしていた)な印象を受けた。ミシャ監督は以前、「セットプレーは担当コーチに任せており、自分は関与していない」といった趣旨の発言をしていたため、セットプレーの分析と改善については、深山コーチや佐藤コーチの尽力に大いに期待したい。!
  • 守備面では、相手の攻撃が主にルカオのダイアゴナルなランニングと、カウンター時に江坂へボールを集める形から展開されていた。その中で、守備陣はルカオをよく抑え込み、IHも長崎戦より献身的に自陣へ戻って守備に参加していた。最終的には相手のフィニッシュの精度(最後のクオリティ)に助けられた部分もあったため、結果としては「ヨシ!」である(本来は「ヨシ!」と言えない状況でこそ反省すべきであるが)。
  • 攻守両面で良い働きを見せたヴィニ。自身の得点が奪えないことに対して、Instagramのストーリーでサポーターに向けて謝罪のメッセージを挙げていたが、加入からわずか4試合でこれほど膨大なタスクをこなしてくれているだけでも、チームとしては十分に助かっている。本当に感謝すべき貢献である(サンキューヴィニ!)。

さいごに

第3節までとは異なり、戦術的な変化球が多い試合であったため、非常に見返し甲斐があった。基本の「キ」を乗り越え、

「名古屋スタイル」の本格的な始まりを予感させる内容であった。

PK敗北のため、200万円追加。4節終了時点で

今シーズン獲得賞金(理念強化配分金+特別助成金を除く): 1200万円

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