ホーム最終戦でアウェイの借りも返し、優勝戦線に残ることができた。
勝利の理由とその裏側にあった危うさと。
残り2試合の為の存分の振り返りを。
試合情報
- 2026年5月10日
- 名古屋ー京都:3-0
- 天候/気温/湿度:晴れ / 18.5℃ / 65%
- 主審:福島 孝一郎
攻め渋る名古屋と嚙合わせる京都
試合開始からかなり良いように京都にやられた。バヘットのファーストシュートも、和泉はスペースを埋めるために戻っている一方で、高嶺は平戸が気になるお年頃。開始直後から「マンマークに付かない選手は何をしたらいいのか、チームとしての基準が無い」事がバレているようなピンチも迎える。(遅れて大急ぎで高嶺が戻っているが、藤井と高嶺の距離感が近くて、きちんとマークの受け渡しができたなら、徳元が釣り出された時の詰め方も、藤井の立ち方ももっとイージーになっているはず。和泉が人とスペース両対応で下がって見ているのに、高嶺が合わせなかった理由は知りたいところ。)
なんて眉をひそめている隙に先制点が入る。京都側の守り方が崩れた瞬間だったので、京都の守備構造と共に振り返る。
4-3-3で迎え撃つ京都は、3トップが最終ラインを制限する!のスタイル。そこに4バック化する名古屋は具合が良い!はずなのだが…。シュミットが参加で3バック+高い位置の両SBの形で保持を始めると、綺麗にハマってしまうことに。京都はこの3トップでの蓋に、2IHで高嶺を挟む形を取る。高嶺を挟む高さまで上がる2枚のIHは、SBに出ていく部隊。3トップで中央に蓋をして、名古屋の最終ラインのボールの出どころをサイドに限定すると、IHがとんでもない勢いでSBに出てくる形だ。この形、当然のことながら中央はアンカーのユンしかいないので、京都はユンも最終ラインに吸収して5枚にし、最終ラインはマンツーマンの構えで圧縮する5-2-3の形だ。
先制点のシーンに戻る。一度目は跳ね返されたものの、シュミットがリスタート。跳ね返された攻撃で高嶺にボールが入ったので、バヘットがプレスバックに入った。このことで、シュミットのリスタートは前の3枚の制限が無い状態でスタートする。中央がガラ空きでも京都が名古屋のビルドアップを阻止できていたのは、前線の3枚が中央を蓋していたからで、蓋がないならシュミットも難しいキックで届ける必要がない。
広大なスペースにいるIHにトレヴィザンが降りるしかなく、CBが出ていけば佐藤は100%ディレイ。そこに原が突っ込んで来たことで、ユンは山岸から外れることに。原が突っ込んでユンがスライドした、ほんの人ひとり分のポジション間で勝負が決まった。
トランジションの難しさ
京都の前線の守備が準備する前にボールを動かす以外にも、京都の守備の枠組みがブレるタイミングがいくつかあった。分かりやすいのは、名古屋の保持局面を押し返すタイミング。15分20秒からのように押し返す京都。
こういったタイミングでビルドアップ部隊に対するプレスが、明らかにバヘットとWGが同タイミングではなかった。それは保持の段階でのWGの守備を見ると分かりやすい。京都は前から制限するときはユンを最終ラインに入れ、SBを広げる5枚で名古屋のWBに対応するが、名古屋の保持局面ではWGがWB対面を作っている。そこからやり直しの展開の時に京都が押し込もうとすると、WGだけ守備に出てくる距離が異様に長くなる。そして保持の時にユンは下がっていないので、「ユンが最終ライン吸収からの大外にSBが広がって対応する」形に、相手を押し込む時にできていない。
15分20秒からの流れでは、平戸が下がってはいるが、ユンが下がれないから平戸が出ていかない、というだけで、枠組みに沿って人が動いている状況ではない、と名古屋サイドからは見える。
キャプション:
2失点目も、保持のタイミングでユンが山岸を外す所に浅野が突破。浅野の突破が120点ではあったものの、得点の本質はプレスの形とブロックの形があまりにも違う所でのズレから。実際に最終ラインから噛み合って攻めを渋る名古屋の時間は圧倒的に多かったので、京都側は戦術として最善を取っていたと思う。しかし、名古屋の攻めツボと京都の枠組みウィークポイントが綺麗に噛み合った前半となった。
京都の攻略と名古屋の選択の甘え
ユンと米本がボールを引き出すために広くポジションを動かすのに対して、逆サイドの須貝、ジョアンペドロがユンと米本が空けた所に立ちながら、名古屋のマンツーマンをどうにか剥がす展開に持ち込む。その影響もあってか、守備の場面では須貝の立ち位置がかなりファジーになった。後半はプレスの形から逃げるためや、押し込まれた影響でWBが低い位置に立つことが多かった名古屋は、須貝の守備のファジーさの裏側を木村が取る場面も増える。(51分20秒からの展開の須貝のポジションとペドロの場所がいい例。カウンター後の須貝の裏を取る木村の動きも、後半の多さでよく分かる。)
京都のマンツーマンを剥がすパターンとしてのジョアンペドロの動きは、53分48秒からのユンとペドロの引き出しの所が分かりやすい。この場面、名古屋のマンツーマンが人を呼んで来られると、マークの確認が崩壊していることもよく表している。ペドロ、米本に対して見事に高嶺、稲垣、和泉が釣られており、ユンが完全にフリーになっている。木村がユンを気にするかどうかのレベルではなく、稲垣が中央をがら空きにするぐらいリスクを取って2対3を作らなければいけなかったのか?という部分。はっきり言ってしまえば、守備がオーガナイズされている?/いない?に関わらず、守備局面のピッチのリスク管理の問題。こういった個人の思考判断を自分たちで甘やかす展開は、試合を通じて目立っていた。(この直前に緩く構えた稲垣の脇のゲートを簡単に縦に通されたので、構えられない判断を下したのかもしれないが。)
中山が負傷退場した辺りから、さすがに京都もSBを押し込み続けるのが難しくなる。ボール保持では相変わらず、ジョアンペドロ、中野のIHが出張して、名古屋のセンターがそれに釣られるとスペースができて前進。山岸と木村は構えても良いぐらいのプレッシャーに対して、WB―CMFがプレッシャー掛けたがる歪さも京都を助けた。後半に入ってからSB―WBまでプレスを当てられたこともあって、シュミットがボールを手放して守備局面が続いたのも影響していると思われる。
ただ、京都のプレッシャーも続いてこない。63分29秒から的な、ユンが最終ラインに入って5-4-1で待つ形も増える。押し込めると守備も押し込みたくなる名古屋と、ポジション出張でスペースからキャリーする京都のオープンな展開に。本田のシュートなんかは、名古屋の押し込みたがりと京都のポジション出張が噛み合ういい例となった。
マンツーマンと守備選択の関係性
前述した、判断を自分たちで甘やかす守備選択。外角のスライダーを投げられる投手が、4番バッターに対してド真ん中にホームランボールを投げる、みたいな選択。「マンツーマンディフェンス」だからという免罪符と、パニックになったらプレスに行ってしまうことで、「マンツーマン」という戦術から派生するスペース管理や受け渡しが崩壊する。だから落ち着いて欲しいのと同時に、ミシャが守備練習いらねえ!と言っている本質みたいな所が読み取れるのではないか、と勝手に感じた。
結局、マンツーマンという枠組みを設定してフォーメーションを設定すれば、絶対に全部プレスは無理、な所が発生するのは、ピッチにいるプレイヤーは分かっている。例えば和泉が下がらなきゃいけないスペースや、今回のジョアンペドロのように寄って数的優位を作る相手の時の、プラスワンに対する対応といった所。「マンツーマン」の戦術を設定しているからあふれてくる、自分たち側から見えるイレギュラーは、サッカーをやる上で本当に基本的な一つの問題で、「スペースが空く」に集約されている。それを気にする場面なのか、そうじゃないのかを選ぶだけ。このスペースは空けていい、このスペースはダメ。選手のサッカーの引き出しと経験で守備をする。だから組織的に練習をして育つ幅にミシャ自身が魅力を感じていないというか、練習しても育つもので守備の枠組みを作っていないから、練習として落とし込みようがないのかもしれない。
名古屋は被カウンターが痛い割にはマンツーマンで強度が増している。守備練習もしていないけど守備のスタッツは良い、などと言われているが、実は「マンツーマン」を選択しているけど”戦術”ではなくて、フルコートにしたりプレスの出し入れの選択が選手たちの引き出しで守れているのは、今はおちゃめな解説者の”あの人”が積み上げた、各チームに対応した守備セットの使い方が、選手たちをアシストしているように個人的には感じる。
試合雑感
- 22分1秒から、こういう形で前から消されたけど、IHはSBに出ていくほど開かない、それに下がったから降りて覗いてやろうかな?みたいなことを、高嶺ももう少しやってくれるともう少し楽だったかな?とは思う。同じ構造だけど、ちょっと相手の立ち位置が違うのを匂わせるのは、森島の方が先を走ってる感じはする。あそこでちょっとでもCMFが降りるのを匂わせると、SBへの配球も楽になるタイミング。
- この試合に関しては、CMFが好き勝手なタイミングでプレッシャーを掛けられたのは、和泉がなんだかんだスペースを埋めたりしているからで、100年構想リーグでしか通用しないノリの守備なんだ、ということを観る方も身構えておいた方がいいのかもしれない。
- プレスの時にユンが出て行って、平戸が気にして出ていくのを渋る、みたいな形がずっと、木村&山岸のやりたいようなスペースを作ってくれていた。
- 実際、守備の選択ミスから京都にチャンスを作られた。外してくれたものの、大逆転もあり得た守備選択ミスはかなりあった。運。
最後に
90分勝利のため、600万円追加。第16節終了時点で、
今シーズン獲得賞金(理念強化配分金+特別助成金を除く):6200万円
TIPS:クイックルワイパーの累計売上本数は6200万本だそうだ。






