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2021年J1リーグ第37節 セレッソ大阪戦レビュー #grampus #セレッソ大阪

大阪2連戦の最後は突然訪れた寒さのせいか、はたまた他の原因なのか、試合開始直後からプレーが強張っている選手が続出。意図が合わない。プレーの精度を欠く。というような厳しい状況を辛うじて乗り切った前半だった。

後半、柿谷のゴラッソに対しては藤田のゴラッソ返しで追いつかれ、仕上げはセットプレーからの失点で万事休す。

試合終了の瞬間、寒風と日陰を吹き飛ばすぐらいの歓声はビジター席から聞こえてくる事はなかった。

ルヴァン決勝のレビューと合わせて(ルヴァンカップ決勝セレッソ大阪戦レビュー ♯ヒーローは名古屋グランパス #AllforNAGOYA ♯輝く星を)読んで欲しい

今回の90分で何が起きていたのか?シリーズ。

スタメン

セレッソ大阪・名古屋グランパスのスターティングメンバー
セレッソ大阪・名古屋グランパスのスターティングメンバー

ルヴァン決勝と異なる形

ルヴァンカップ決勝では「外囲い」をポイントに上げた。名古屋の守備の外側でボールを回しながら木本と稲垣のセットを左右に振りながら斜めの楔を打ち込んでいく形。しかし、今回セレッソは試合開始から木本と稲垣を窒息させに行った。

ルヴァンでの外囲いから一転、坂元、清武が内側へ、本来そこへマークにつく名古屋の選手(前田、相馬)がマークにつけないように両SBが高い位置を取り名古屋のサイドの選手(相馬、前田)を大外へ張り付ける展開。

藤田を消すために柿谷が降りても、坂元と清武が内側に立って、稲垣と木本の前には常にセレッソの選手3枚が立っている状態に、プレスをかけようにも名古屋のプレスが意味のないものに(中盤でプレスをかけると絶対どこかで数的不利が出る為)

中盤で数的不利を強いられる
中盤で数的不利を強いられる

これを見て名古屋が取るリアクションとしては坂元、清武の位置からパスが出ないようにサイドバックかサイドハーフの選手がその2人を見張る事だがそこもセレッソは織り込み済みだった。

坂元と清武はルヴァンカップ決勝。後半開始直後に起きた失点時のようにセンターの裏側で立つことをせずに、あくまでアクションをかける場所は木本と稲垣の目の前から。そうすることで名古屋のサイドハーフとサイドバックを釣り出す事に成功。名古屋のサイドとしては「プレッシャーに行かないとセンターが窒息」or「もしそこまでプレッシャーをかけに行くと相手にスペースを与える」の究極の2択を迫られる事に。

迫られた2択
迫られた2択

セレッソとしては選手間の距離が近くなったこともあり、稲垣や木本、柿谷のセカンドボールを拾う為に動く距離よりも短くて済むので中央でのボール回収も安定することになった。

徐々に中央のセレッソの選手が多い場所でのボールロストとサイドの深い位置でのボールロストが目立つ形に。

名古屋の攻め方

基本的にシュヴィルツォクへ飛ばすパスかサイドからセンターバックを経由して逆へ展開して相手がスライドする前にサイドの1対1を一回勝ってチャンスを作る形。

前半は何回かそこからチャンスを作った。シュヴィルツォクや相馬が抜け出すシーンも観られた。

ただしセレッソもその攻め方は織り込み済み。

絶対にセンターにボールはいれさせず、早く展開はさせない形を前半に作り上げる。

センターバックがボールを横にスライドし始めたらプレスを開始して逆サイドへの縦へのスピードとボールの質を落とす守り方を選択する。

グランパスのサイド攻撃とセレッソの対策
グランパスのサイド攻撃とセレッソの対策

逆サイドの選手は1対1の為に中々先読みしては降りてこない。センター2枚は窒息してスライドは絶対に遅れる。選手をリンクする為にフリーロール(自由な役割)の柿谷に全てが託されたが、両脇のサイドハーフを活かすためにボールより早く左右のフォローに行くのは実際は不可能であり、それがセレッソのプレスがハマる要因にもなった(人よりボールは早く動けない)

この状況を打破するために前半は木本、相馬がボールを受けた相手選手釣り出すためにボールを持ち上がるシーンが観られた。必死の打開策だったのだろう。

ボールを持ち上がる
ボールを持ち上がる

これを観てなのか後半からチームの中でも相手の嫌な所でボールを受けながら前進できて相手を釣り出せる選手である長澤、齋藤、山崎らを投入。これもあってか相手の構えるポイントが徐々に高くなり釣り出されてくれるようになる。そこからの柿谷のあのシュートが生まれた。

「ボールを受ける事」に対する意識

ガンバ戦で相手が勝手にズレてくれた事が影響したのか分からないが、あまりにも後方がボールを持って攻め所を探してる時の選手の「受ける意識」が低かった。

齋藤が入ってからチームメイトに「“あいだ”をもっと使いたいから!!」と周りに声をかけている姿が印象的だった。

特に前半はシュヴィルツォクに「取りあえず出せばいいや」が最低限選択肢としてあった為に前線4人が一切受けに来ない時間も…

セレッソは後ろで構えてれば長いボールしか出ないので待つ。構えてるところにロングボールを出して回収されたくなので後ろは攻め所を探す、迷ってるうちに後ろが詰まり、詰まってから降りてきてそのころにはセレッソの守備者がボール予測を安易に出来る状態になり、周りにわらわら集まって抜け出せない。なんて事がかなり起きた。

パスの出し手と受け手を見て行くと、稲垣が受けた後のパスが前へ行かない。そしてパスが各駅停車なのが見て取れる。

特に目立ったのが「受けにきてくれるだろう」と言うような意図の、短く遅い球の楔(攻撃のスイッチ)をカットされる状況。

今の名古屋のプレーの枠組みは、相手や味方の配置でチームとして球の種類を使い分ける明確な約束事がないので(例えば、クバに対して長くだすのか?短くつけるのか?の選択が自分達が「どうなったら

?」ではなく「相手がこうして来たから!」というリアクションでプレー選択している状態etc…。)

約束がないという事は後方がどんなパスを選択するのか?を受け手が探りながら待つ事になる。

受けにきてもらうパス(球足が遅いパス)は受け取る側の予測(認知)と技術が必要な行動となり、出す側と受ける側の2つの要素が合致しないと成功する確率は高くならない。

一方で受け手の技術を信頼して球足の速いパスを使用すると、受ける為の認知の部分の負荷が減少し、より「受け手の技術依存」となる。

約束事が少ない(経験値として引き出しが少ない)今の名古屋の状態ならば、出し手と受け手が“探り×探り”の状態よりも“決め打ち×技術”のゲームの作り方の方が受け手の選手が楽だったかもしれない。例を挙げると、シュヴィルツォクはかなり後方の攻撃の組み立ての選手達の迷いに釣られて、苦しそうにしていた(予測が外れたり、たくさんの予測できる選択肢に対するプレー準備をしていた)

個人に頼ろうとした結果、個人をどう活かすか?ではなく個人にいかに頑張ってもらうかを考えすぎて個々人の長期的課題や短期的修正点をないがしろにした結果ではあるので、チーム全員が今一度「ピッチにいる誰かの為にプレー選択をする」というチームスポーツの基本に立ち返って欲しい。

ただし、出したパスが短くなったりした一般的に「ミス」と呼ばれるものが味方が苦しいと感じ取って、後方の選手達が“工夫”しチャレンジした結果があのパスの短さや相手にインターセプトされるようなパスなのであれば、それは次のステップへ進む為の前向きな要素だと思うので個人的にはポジティブに捉えることも出来る。

まとめ

いつのことだか、思い出してごらん。あんなこと、こんなことあったでしょ。

(作詞:増子とし 本多鉄麿作曲:おもいでのアルバムより)

久々の相手のアクションに一生リアクションして翻弄される「マズい時の名古屋」の形が見えた試合だった。これを引き出すためにルヴァンと違うアプローチをしたセレッソがあっぱれだったように感じた。

殴る方が心が折れるか、殴られる方が心が折れるかの勝負は後者の負け。同点弾の入り方がかなり効いた感じもした。

ピッチでは上記でも触れたが、「各個人の課題と修正点」のアップデートが間に合わない。してない事での結果なので誰が悪いや使えないと言った個人での話では無いように感じた。

良かった所

  • 交代選手達の仕事
  • この気温で筋肉系のトラブルも無し!
  • 一生語られるシュートを見れた事
  • 鬼神ランゲラック
  • 選手達の成長幅

心配な所

  • 来季は是非トップクラスの質のセットプレーコーチを‥‥
  • しんどい時のシュヴィルツォクをこのシーズンでこの強度で頼ると来シーズン…
  • 選手達の課題修正能力

最後に

成長ではプラスが観られた一方で課題修正点に関してはプラスが中々見えづらい難しいシーズンもあと一試合。成長を沢山して、必死でプレーしたことは絶対裏切らない。

最後笑って終われますように。

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