陽ざしに助けられたかと思いきや陽が隠れるととてつもなく寒かった豊田スタジアム。雪や雨がパラついた事、散水が少し長かった事もあったのか両選手とも足を取られるシーンがありましたね。チアゴ選手も島川選手も特に大きな怪我では無いという事で一安心です。
試合ですが1-1の引き分け。個人的な印象としては相手のフルスロットル、フルパフォーマンスのビルドアップやチームパワーが出ないようにしっかり抑えられていたのかな?と。
試合中の優位度合を表す図も偏らず、好ゲームだったと思います。(上が名古屋、下が鳥栖)
引用元:sofascore:https://www.sofascore.com/nagoya-grampus-eight-sagan-tosu/LmbseNi
今回の鳥栖戦は清水、広島とルヴァンで難しい戦いを強いられた3バック(3421)に対してどう対応するのか?という所に注目していました。どんな試合になったのか振り返ります。
スタメン
開始から棚ぼた
32秒、スローインから鳥栖のプレスが始まる。取りきれると判断したのか、岩崎と堀米が相馬を放置したまま名古屋の最終ラインをハメに行った。中谷が出したボールは福田の視界外から受けに来た酒井へ、ジエゴがそれにつられ酒井と競り合う形に。プレーの初動が速かった酒井に軍配が上がりフリックから仙頭へ、“相馬、マテウス、仙頭”対“ファン、島川”という数的優位での速攻となった。
それがオウンゴールにつながる。
酒井の受けに対して落とした場合に反応しなければいけないレオと稲垣は一対一で見張られてた上に福田が余っていたわけで、さらに酒井はあの球では受けても最速で反転は出来ない。その状況に加えて相馬を放置した状態にもかかわらず酒井についていったジエゴの意図は分からないので、正直なところ試合の入りを探っているうちに失点してしまった感は否めない。
ロングボールガチャに見えるかもしれないが、ロングボールを出した時の配置を観ると藤原、菊池もプレスに連動しておらず、レオシルバも空いていたので地上戦でもプレス回避は出来ていたと考える。
福田の位置と堀米、岩崎のプレスを観てあそこにボールを落とした中谷が上手かった。
名古屋の形
名古屋はジエゴが釣れることが分かった(もしくは事前スカウティングで分かっていた)ので相馬をアイソレーション(敢えて孤立させて1対1に持ち込むシステム)要員に。
飯野や菊池が深くまでプレスに来る事を利用してマテウス、レオシルバ、仙頭で中盤で数的優位を作る。そこで鳥栖の配置をずらしにかかる。マテウスは島川が詰めてこなければ前進の選択、もしも島川が詰めてくれば福田がカバーによるので、中央を経由して酒井や相馬を使う展開を狙った。相馬のサイドに稲垣もいる事も相まって右は数を使った推進力を生み出せるため前後半通じてこの形が主流となった。
酒井が最前線ではなく常に鳥栖のセンターバックを釣り出すように受けたり、中盤の近くでボールを受ける動きを見せて鳥栖の守備を偽9番のような動きでズラす事。ビルドアップに詰まった時の着地点として仙頭や相馬、マテウスなどの前進をサポートし続けてくれた。
偽9番:メッシをトップに配置したとき、メッシが中盤に落ちると中盤で数的優位を作り、メッシにセンターバックがついていけば最終ラインでウィングが数的優位を作れる。強力なストライカーが、相手守備陣に選択肢をせまるやり方
一方鳥栖は
鳥栖はビルドアップの際に飯野、岩崎を落とさずに菊池、ジエゴが幅を取ることが多かった。特に名古屋の左サイドを攻めるときは飯野が降りるのではなく菊池が幅を取ってビルドサポートにはいる形。名古屋としてはその形は好都合だった。サイドの守備ブロック部隊が数的不利になることがなく、名古屋のやらせたくない中央へ脱出されるような展開へのリスクも減った。(但し、島川や福田が菊池がいなくなったエリアへ侵入してくるような形になると数的不利を背負ってしまい何度かブロックを抜かれる形もあった。)
うまく行かないと見るや、この形から鳥栖はCBの幅を取って、島川もサイド一杯に立ちながら菊池を中で待たせるように修正した。
鳥栖のシャドーが幅を取って稲垣とレオシルバがサイドへ引っ張り出す形を狙った時は名古屋としては一番危ないシーンだった。特に稲垣が釣り出されると鳥栖のウイングバックはストライカー気質でもある岩崎という事でカットインを許すとかなり脅威だった。
様々な所に顔を出す菊池の「顔を出すリスク」を突きつけるためにレオシルバが半列下がり仙頭が菊池の周りまで降りてきて「攻守で気が利く事をしたら俺が空くんやぞ」という賢い選手同士の駆け引きも観られた。
レオシルバが半列おりて最終ラインのビルドアップサポートをして仙頭、稲垣がビルドアップの脱出点になる形はハイプレスに対する解決策としては良かったのではないだろうか。
酒井が顔を出せる横幅も広がり、前進する形が明確に見えた瞬間だった。
まとめ
後半からは鳥栖は235のようにボールを保持するときは前線にかなりの枚数を張り付かせて裏抜けを狙うロングボールが徐々に増えていった。
スタッツは以下の通り
引用元:sofascore:https://www.sofascore.com/nagoya-grampus-eight-sagan-tosu/LmbseNi
シュート数と被ファール数に注目してほしい。これだけファールを受けた上でシュート数が15。そして、次の画像はプレーエリアに関するデータ。
こういったデータと合わせて観ていくと、しっかりとチームは進んでいるのではないだろうか?
最後に
SNSでは厳しい言葉も飛んでるそうだが(自分のタイムラインにはないので分からないが)個人的には色々収穫できた試合なんではないかな?と思う。少々期待値が低いのか、会場が寂しかった(11055人)のがもったいないが、今後期待が膨らむことを願って。
おまけ
ホームゲームなのでおまけを