「未来」を担う選手がチームに入った喜びがある反面、競争で入るのではなく「本当に数が足りない」という若手の入り方となったセレッソ戦。「若手が入ろうが勝たなきゃいけないのよ」という人と「アクシデントでここまでやれたら及第点くらいは上げてもいいんじゃない?」という人で評価が分かれそうな試合となりました。
貴田の試合後のインタビュー。阿部浩之からかけられた言葉があったそうです。
天皇杯 JFA 第102回全日本サッカー選手権大会 ラウンド16 C大阪戦後 選手コメント①
豊田のインタビューはこちら
天皇杯 JFA 第102回全日本サッカー選手権大会 ラウンド16 C大阪戦後 選手コメント②
試合情報
名古屋もセレッソも過密日程の為、1stチョイスの選手の選手はあまり入らず、名古屋は豊田、貴田がスタメンに入ることになった。
中央の大渋滞
試合開始から名古屋のセンターバックを放置してレオと仙頭を前線と中盤で囲んでとにかく中央に人を置く形を取るセレッソ。
レオが前線2枚に挟まれると仙頭が降りてきて球を引き出そうとするが、それに合わせて中原が絞って来る展開。前線2枚+中央2枚の4枚に加えてどちらかのサイドの選手が中央のブロックに参加する5枚でレオと仙頭の機能を停止させにかかった。
それに対して前半11分。名古屋は仙頭に中原がついてくることを利用して阿部が降りて来てレオとボール交換して中央に目線を集めてサイドを使おうとする。このシーン。仙頭が中原を広げて河面が内田の方に身体を開いた状態から阿部に向けて楔打つ。そこからレオとボール交換をしたことでセレッソの中盤がより中央に寄ってくる。そこから藤井に配球を託すと藤井と豊田が気になりパトリッキが絞った為、宮原がフリーに。
逆サイドの内田と中盤から爆走した阿部がフィニッシュの準備に入った。
藤井が宮原につける事をやめた為、阿部の爆走と内田の待ちは無駄になってしまったが、中央に目線を向けてセレッソの最終ラインと中盤の間のスペースを空けようとする意図が見られた。
中央を制する
中央に目線を向ける11分に対して18分。今度は仙頭が降りずにレオと一緒に山田とタガ―トの裏に立つ。そうすると名古屋のウイングバックからセンターにつけるパスでブロックを抜けられてしまう可能性がある為に中原、パトリッキは中央絞めからウイングバックを見張るために下がって行く。この中原とパトリッキの“開き”に対して河面と吉田が貴田、豊田へ楔を打つ形をとる。
どちらの形も共通するのは“攻撃が仙頭の場所による”という事。選手がスクランブル状態の中で決めた設計図を遂行するのが難しい時に仙頭の位置だけでチームの形を固められる彼の見えない“整理力”に脱帽した。
もう一つの選択肢
この形をスタンダードにしたかったがどうしてもレオシルバにつける事が頭をよぎる選手達。レオ、仙頭を使う為に名古屋が選択したのがウイングバックに付ける選択を増やすことだった。ピッチサイドリポーターの話でもウイングバックにもっとつけろと指示が出たとレポートが入る。これで割を食ったのが内田だった。
内田がもらった瞬間、阿部はサイドの裏に走る事が多かった。真横の仙頭につけたいがセンターバックのパスの速度でセレッソのブロックがスライドしてズレているわけでもないのでボールをもらった瞬間にはすでにセレッソの選手が内田の真横のパスコースを切り、縦もプレッシャーをかけられている状態に。セレッソの選手は広がっているがプレーの選択肢がない状態。唯一斜めにいれるコースだけが空くが、貴田はハーフレーン(サイドバックとセンターバックの間の斜めにパスがいれられる場所)に動いて待つタイプではない為に、内田に預けても「預ける意味」をチーム全体で共有できなかった。
後半になり内側に切り込む形も見えたがそれはセレッソが名古屋の最終ラインの保持と楔を明確に嫌って最終ラインにプレスをかけ始めブロックが緩くなったからで、前半のセンターバックを放置される展開ではウイングバック(特にいつものサイドと逆)にとっては苦しい時間になった。
前半の布石
前半、貴田の受けや豊田の頑張りで楔の意識が出たのかセレッソは後半から名古屋の最終ラインにプレスをかけ始める。そのおかげでウイングバックにボールが収まるように。ウイングバックに当たりに来た選手を裏返せばチャンス!という場面が増えた。またウイングバックにボールを配球する事で中絞りのブロックが外に広がり中央の選手達のセカンドボールが回収出来るように。相手の選手間の距離も広がる為、パスの距離も伸びて守備でもパスを回収する場面も増えた。
選手間の距離が広がって輝いていたのは柿谷と阿部、仙頭が降りても柿谷、阿部が受けに来ることで盤面の安定性は増えた。
試合後感想
盤面をこうしていきましょう!に対して「どうすればいいか?」が分かってる選手とコーチングが必要な選手がハッキリしていた。そのあたりがパスミス、受けのミスにつながってるようにも見えた。
貴田くん、豊田くんおめでとう
失点に関しては2点目のプレーの整理をどう見るのか?が難しい所。河面のインタビューでは上げられた場面での問題点を、監督は絞り方の問題を。森下は山中へのスライドも見ていたので中間ポジションを取る事を選択。当然、間違いではない。左では後ろに相手1枚に対して2枚余らせて組んでいたのにも関わらず一枚余りの3枚目の選手が進藤に当たりに行かなかった。盤面を連続して振り返ると絞らなかった事だけが責任ではないがそれをチームとしてどうとらえるのか?試合直後なので詳しい映像を見てないだけだと思うが、監督が絞りが遅れた部分にのみ言及しているのが心配。
選手表に見えるパワーバランスに比べてかなり惜しい試合をした印象。しんどい中でいい試合だった。
さいごに
新戦力も加えた川崎戦になります。逆襲の夏を信じて。