31000人以上が来場した鯱の大祭典最後の試合。
試合期間が空くと逆に入り方が難しいと言う選手や監督がいますが、まさにそれを体現したような試合となってしまいました。どのくらいの感覚で試合にはいろうか?を探ってる内に失点となってしまい、自分たちから難しい試合展開に。
試合情報
一週間休みがあったので上手く回ってる試合での組み合わせを継続した名古屋だった。
3分間の攻防
開始直後名古屋は2度チャンスを迎える。ブロックを作ってランゲラックのロングボールに対応しようとしたガンバはブロックの間に落とされる相馬へのボールの対応が甘くなった。その相馬のサポートとして立っていたのが重廣。重廣が相馬に近い位置にいる事で高尾は守備で対応する選手の2択を迫られて相馬に強く当たれず。その結果ガンバのセンターバックはスペースを埋めるためにズレる瞬間が出来た。永井にボールが渡った事もあり、よりセンターバック2枚のズレが発生し、マテウスが相手がズレて出来たスペースに走り込んでチャンスとなった51秒。
もう一つは失点前の2分の永井のシーン。ダワンは稲垣に、齋藤はマテウスを気にしたことでガンバの守備が圧縮され、レオ、重廣、永井が自由な立ち位置を取れる状態となった所からの永井へのパスの選択。3対4の状況だが、マテウスが降りて稲垣がダワンから外れてボールを受けて永井へ出す展開。
スローインを投げた森下は「動く」受けるマテウスは「貰いに降りる」永井はマテウスが受けに行き空けた場所に「侵入する」永井に出すために稲垣は「剥がして受ける」
何気ない永井へのボールだが、各選手が同じ着地点(永井にボールを届ける)を設定した結果生まれたシーンだった。
その直後だった。東口のリスタートが早かったのか丸山の上を超える球が来たのか(DAZNリプレイ中で見直しても最初のプレイでこの形になった原因が見えなかったのと現地での状況を覚えていないため断定出来ないが)丸山がパトリックを追うシーンからDAZNが再開する。
構えて待つ藤井が丸山と入れ替わり対応。その藤井の対応に稲垣も食いついた。レオが戻りきれていない状況で稲垣も食いつきセンター2枚が後追いの体勢に。
守備で相手と正対して対応出来るのは最終ラインのみ、最終ラインの対応に対してなんとか連動して対応しようとしてる他の選手はレオと森下。稲垣は最初の食いつきとその後の相手へのつっかけの後は見守る係に。
中谷が対応したボールはアラーノの元へ、アラーノがボールを綺麗に足元へ納めたので、藤井は中谷が釣り出された状況で縦に仕掛けられると中が厳しくなると判断してかなり早い段階で縦への侵入を防ぐために身体を外側へ開く。それを見れば当然レオは藤井が身体を外側に開いた分出来てしまうペレイラへのパスコースを消す為にパトリック側へは流れる事が出来ない。それと同時に食野へのパスコースも稲垣が消してくれていなかった為、より一層パトリック側へ寄る事は出来ない。
ペレイラを丸山も見張るのであれば(アラーノからのパスが出る直前に丸山がペレイラ側に寄っているのが分かる。パトリックがあの位置に居て丸山がパトリックから離れていくという事は丸山の中であの瞬間のタスクはペレイラの見張りだった)稲垣も自分のプレーが終わった後の次のフェーズの守備に参加すべきだったのと、あのコースへのパスだけはきるために足を出すだけのチャレンジする選手が中谷じゃなくても。という結果だった。
この失点の形はアウェイ札幌戦の形によく似ていて、相手の選手と対峙した時に構える距離の長さ。センターが次の守備のフェーズで守備参加しない瞬間が出来る。などは既視感のある光景だった。
戦術ファンアラーノ
名古屋が守備にプレスをハメられない展開が続く。17分に監督から3センターの指示が出るまでは厳しい時間が続いた。それはなぜだったのか?
ガンバは後ろが重くなる時(後ろの枚数が増える時)はファンアラーノが名古屋の2センターの脇で受ける形を多用する。ガンバの後ろの枚数が増えてそれに対して人数不利で名古屋がプレスに行くとアラーノが顔を出す形だ。(前半4分頃)
その形よりも名古屋が苦労したのは3バックにアラーノを含めて同数の選手を当てられる事だった。
名古屋はガンバの後ろが薄い時にプレッシャーをかけてボールの精度を落として回収したい。その為には配置上ミスマッチが生じる大外の選手がプレッシャーをかけたい。それに対してガンバはまず名古屋の3バックに対してペレイラ、パトリック、アラーノを当てる。その上で食野を押し上げずに低めに置き、齋藤は名古屋のセンターの脇へ、その上で黒川、高尾にボールを付ける。このガンバのサイドバックのボールに名古屋のウイングバックが食いつくと食野や齋藤そしてアラーノやペレイラがウイングバックの裏を簡単に使う。そういった場合、最終ラインが横にズレてスペースを埋めるのが最も効果的な方法だが、3バックの最終ラインに同数の攻撃選手を当てられているため、横にずれると逆側は確実に数的不利を背負う。開始早々アラーノにやられた為にこの形にさせたくないのもあり、ウイングバックが攻撃の為の守備(プレス)というよりも崩されないための守備(ブロック)に徹するしかない状態に。
それでもなんとかプレッシャーを掛けたい名古屋だったので右では稲垣が外側まで食いつきに良く展開も。そうなると、食野や黒川は突っ込んで来た稲垣の逆を取るように内側へカットインして外側へ展開する。あまりにもこの展開がハマりすぎていたために名古屋は中央を厚くするために形を352に変更せざるを得ない状況となった。
ブロックをずらすためには?
名古屋の前半のボール支配率は59%後半で56%。総パス本数は432対327。(Nagoya Grampus Eight live score, schedule and results – Football – SofaScore)
ガンバのブロックが崩せずに悩む時間分支配率とパス本数が増えるという現実。
ガンバのタイトなブロックによってパスをもらうために顔を出すマテウスや重廣が苦しくなる、難しい展開となった。それはなぜだったのか?
相手の形をずらすための脅威としてマテウスが相手の選手間で受ける。重廣がポジションを離れて顔を出すなどをストロングとしてきたが、今回のようなブロックが狭い相手に対してパスを受けるために顔を出す選手が2人だけという状況は苦しすぎた。それに加え、顔を出した選手の後のスペースに顔を出す選手も出てこず、調子のいい時の名古屋はそういったスペースにレオが顔を出す印象が強かったがそういった展開にならず、
顔を出す選手がいない→最終ラインがボールを回す→大外の構造上余ってる場所へ長いボール→ブロックがあるので崩しや仕掛けがないのでクロス→リーグ屈指のクロッサーというわけではないので回収。という負の連鎖。
これだけ見ると受ける選手達の問題のように見えるが、出す側も工夫はできる。ボールを使ってブロックをずらす事もできる以上、受け手の選手は「顔を出す」技術を、出し手の選手は相手の構造をずらすために「動いていない選手を使う」技術を。
後半に入り内田、仙頭、ナウドの「顔を出して受けられる選手達」の投入と内田と仙頭がブロックをずらすために球を早く動かす展開を作り何度かチャンスとなったが点を取るために失点し(鈴木のシュートもスーパーだったが)万事休す。
試合後感想
- 藤井はついに競り合いを避けられる存在に。
- 高尾、黒川が当たりに来ないこともありウイングバックの2人は中々深いところを取れず。本人達にとっては難しい試合となった。
- 前半は顔を出せるマテウス、重廣が徹底して狙われていた。その選手達への関わり方が増やせると。
- ナウド、仙頭、内田が入りサイドで奥を取る、相手を動かすなどの意図が3人から見えたが、それ以外の選手が対応出来ずに仙頭は他の選手のプレー選択に苛立つ姿も。
- ナウドはボールホルダーに対するサポート力が目立った。(やっぱり大きいシャビエル感)
- 夏の補強後、ここまでブロックを組んで来るチームと当たっていなかったので、ここからスタートで攻略を頑張って貰いたい。
さいごに
試合前には選手達が自分たちのお子さんを連れて入場していました。次こそパパ達のかっこいい姿、喜んでる姿をスタジアムで目に焼き付けられますように。