「90分終わった時に1点上回っていればいい大会」のルヴァンの第2節。本当にそんな試合になりました。
試合情報
プレス対策
名古屋はセンターを縦並びにして広島のプレスを回避する。広島は名古屋の2列目へのプレッシャーが剥がされると構える形を取る。
長澤を使いプレッシャーを逃がしながら後ろから選手を送り込む時間帯が前半は多く見られた。
広島側が苦労していたのはダブル松本の空間。ターレスとマテウス、そしてセンターの1枚がその空間に顔を出す為、名古屋が最終ラインのボール保持で苦労しない状況になると広島はセンター2枚が左右に振られる形となった。
広島の守備対策として長澤の投入は絶大な効果を発揮していたように見えた。
安心感があるがゆえに…
失点のきっかけは前半15分頃から見えはじめる。長澤が「ボールを引き取れる」「プレスを回避できる」事で中央の枚数優位役となっていたターレス、マテウス、稲垣らのビルドアップのサポートの為に降りる動き、相手をズラす動きが鈍くなり始める。
いつもと違う選手の組み合わせなのに加え、長澤自身がなんでも出来てしまうが故に長澤が最終ラインに降りて相手を動かすのか？自分達が降りてきてプレスの脱出を手伝うのか？の基準が曖昧だったのが原因だと考える。
中央の選手達は恐らくサイドの大外に開いた選手を使えばプレッシャー回避なりボールの前進ができると考えていたと考えられる。
しかし、前半15分で長澤がサイドに開く野上に出さずに広島の選手2枚に詰まらされた場面では、長澤がサイドに捌けてボールを引き取りに来る段階で次のボールを送る目標である野上からボールを受け取りに来る選手の動きは無く、長澤からすると「簡単に野上に出してしまってボールロストに繋がれば自分がサイドに追いやられているうえに、中央の選手達はサポートに降りてきていないので守備への切り替え時に不利を背負う」と考えパスを渋るのは当然。
失点のシーン。広島はプレスを緩め長澤を囲む形。囲まれている長澤に出すことを嫌い広島の守備の選手達に囲まれたスペースへ出した丸山。甲田自身は自分につけられたボールをそのまま内側へ運ぶ動きなどもしてきたが、このシーンでは長澤とマテウスが寄った為に3人でプレッシャーからの脱出をこころみた。
そのチャレンジが失敗となり守備への切り替えとなる。
そのまま逆側の選手が切り替えに対応できずに失点となった。
このシーン。狭いユニットで逆サイドで何が起こっているか？は正直な所ターレスも内田もハッキリと確認することも予想することも難しいだろう。だからこそ「なにかありそうなら構える事」という守備的なチームの約束はリスク管理においては便利な約束事だ。しかし、今年のチームはウイングバックを高い位置に置く事を「攻撃時の色」として設定した。そういう設定をしたのであればリスク管理をボールに近い選手からしっかりと行ってその動きに併せて順番に動きが波及していく。連動していくようにしていきたい。
後半戦
後半から長澤に変えて米本を置き、長澤が作る大きな盤面でのズレで土台を揺さぶった前半から、米本が作る狭い局面でのズレで相手の城を崩す形へ。
前半で迷いのあった誰が相手の盤面を揺さぶるためにサポートに行くのか？を運ぶことで解決。運ぶことで狭い所にヒビを入れる。2得点とも前半の土台の揺さぶりからの変化に広島が対応する前の時間帯だった。
試合雑感
- The長澤day、アシスト2本の米本と比較されがちだが、あの状況を作り出したのは前半あれだけ印象にのこった長澤がいたから。ボールを持ちながら相手を動かす起点に。なんでも出来すぎて周りの理解力の高さが要求されるのと周りが頼りすぎてサボる選手が出てくるのが悩ましい所。
- 甲田、ターレスが「自分たち(チーム)で試合を動かそう」という試合に出場できたことはかなりいい経験になったのではないか？今後「自分で考えるきっかけ」を作れる試合に
さいごに
みんなちがってみんないい。今年の名古屋はそんな言葉が似合う気がします。