第二節も気温同様に試合もすこし冷たくなってしまいました。
花粉と気温に襲われながら闘った、ホーム開幕2連戦の最終戦
振り返って行きます。
試合情報
解決されない1アンカーの周辺スペース問題
町田が選択する長いボールに苦労した。試合開始から長いボールの選択は最終ラインと二列目の間が多い。424の2トップが縦関係になる事で最終ラインのギャップ作り。
町田のロングボール配球時、2トップの縦並びに加え、前線に4枚立つ町田はサイドハーフが名古屋のウィングバックのマッチアップになる。
最終ラインがウィングバック含めてチャレンジしづらい状況を作られた中で、米本の周りをどう処理するか?が曖昧だった。
インサイドハーフの和泉や森島は運びの動きが出来る選手達なので、インサイドハーフがウィングバックの前の空間を埋めない選択肢が出来ないはずがない。
このあたりも前節のレビューで書いた「守備の終点の設定」にかかわる部分で、守備の局面をどう終わらせるのか?が曖昧な状況の弊害。
試合開始直後だけではなく一試合を通して何度も起きていた。
チームとして約束を設定すること。これは重要だが、このレベルの問題は「かもしれない運転」で解決できる問題で、現状この事象が起きても解決できないという事はとんでもなく状況が悪い。
チャンレや三國が頑張りました!の裏を改善していきたい。
一方で成功体験もあった。たとえば03:09~のように、町田の長いボールに対して中山が戻り、オセフンと競り合うチャンレの横に入った。アンカー位置で競り合った時に同列にスペース埋める選手がいたから回収できた。前だけでなく同列にもいる事で競り合いでも球の逃げ道の選択肢が多くなり、競り合い方も変わって来る。
森島へのボールがカットされてしまったが、プレー選択に理由があればこれだけスムーズに行く。
長いボールで優位を取られる一方でプレスも中々厳しかった。08:00の 町田のビルド、名古屋の前線の4枚を引っ張ってくる。インサイドハーフを外に誘導して中の空間へ。
構えることに焦れてプレスをしたせいで、最終ラインのプッシュアップが遅れてしまう。その結果、中盤が空洞化した。
プレスを始めるトリガーの共有が見えなかった。
(この場面では山中が遅れているように見えるが、最終ラインがラインを上げれなかった事も目立つ)
後半から谷につっかけにいくのは町田のビルド枚数を増やして中盤の回収優位を作りたい。それと同時にオセフンへのボール遮断。
(自分に長いボールが来ないのがわかるとオセフンは無理に降りなかった)
ライン設定もプレスしている間は高くする。部分も前半に比べて改善されていた。
消される中盤
町田のブロックは基本的に人を消すような形が多い。森島が降りて2センターになった状況のビルドアップに苦戦した。
特に分かりやすいのは02:09の場面。
2センターが前線2枚で消されるので直に付けるのは不可能。
チャンレが捌けて角度を付ける。この場面で付けるか運ぶかの選択になるが、運ぶと2センターと運んだチャンレが同じライン上に並び、町田のブロックとしては「締める場所」が分かりやすい。
現状の森島の配置で彼が奥に立つ勇気があれば、町田の守備に選択肢を突きつけることができる
- 米本の囲みを選択するか
- 野上のマークを選ぶか
- 奥の森島を選ぶか?
外に流れて剥がしても、ビルドアップの選択をこれだけ迫れる
森島の修正力があったのはこの後の02:43の場面
野上のロングボールの前の配置、森島が逃げて米本1枚が空いた瞬間
2-2の状況は背中で消される状況から外側に流れて米本と野上のラインを空けた。
野上は長いの選んだが、角度つけても、ウィングバックに降りた森島につけても野上の前にある空間のコントロールは自分達が出来た
(永井も野上に地上戦で中央に出せるやろ!と指を指してるのがdaznでも確認できる)
この時間でチャンレ、野上、森島はプレス回避の十八番を作った感覚があったのか
31:07〜付近では、 野上が開いてチャンレ、森島で抜けた場面も背中で消されない状態を意識した森島の顔出しからプレス回避。
森島がデフォルトの配置から動くことでプレス回避出来た右に対して、左では インサイドハーフが先動きする選手達だからこそ、居なくなった場所に入り続けましょうね。の約束アタック。
06:42の場面。和泉が底になる瞬間に米本、ユンカーが現れて永井は外へ流れる。山中は外に先に入っている選手がいる為にハーフスペースを使うランニング。
配置を決めて、自分達の配置のイレギュラーを利用する。
イレギュラーが「降りてくる」なら他は「追い越す」
48:35 の場面も和泉が先に外に流れる。山中と役割を入れ替えて永井のパターンアタック
アンカーの意味を探す旅
アンカーが持った時の守備的中盤-ウィングバックの距離と相手の守備に注目
この距離に比例してサイドの守備者と中央のブロックの幅は大きくなる。
両脇のセンターバックが守備的中盤が相手守備者から隠されたインサイドハーフへのゲートを使うもよし、(運ぶ、通す)
その中でサイドの守備者はインサイドハーフとウィングバックの2択を2センター時よりボールホルダーから遠い状態で見張らなければいけない為、相手は選択肢の何かしらを捨てる必要がある。
08:57の場面ではセンターバックから森島を気にした町田のサイドハーフが外を捨てた事で米本→永井→中山の展開が起きた。
2センターバックでも出来そうではあるが、2センターバックにするとセンターバックワイドに広がるリスクがあるのと、プレス同数に対して早蹴りが起こる。だから3バックが4枚になるような形をとれる3+1配置
この形も課題としては11:55のような米本が2トップの後ろに隠された時どうするか?が気になる点だが、ここで三國が運べたのも好材料。米本を消すフェーズで運ぶ選択肢を見せたのはgoodだった。
27:45では 米本が消されたら三國が運んで米本を引かせて最終ラインを高く保ちつづける設計になっていた。
PSMでも基本的にはアンカーの椎橋が消されるのでQB(出し手)役は両脇センターバックで、アンカー含め3人1組がベースだった。なんとなくPSMの状況と今回が重なっている。
両脇センターバックの地上戦の勇気で様相は変わるのでは?
(補足:町田がボールホルダーに対して次の列を消す部分がかなり優秀だった)
試合雑感
- アンカーをやめましょう。と言う方々の腑に落ちる理屈に出会って無いので個人的な感想の部分。
守備の局面を考えての話で、インサイドハーフがネガトラ時の強度や守備終点(取るプロセス)が明確ではないから2枚を置いておく(状況で考えるのを諦める)なら充分理解する。
しかしながら、攻撃の局面を考えるならばレビューに書いたとおり戦術のアウトラインとしては何ら“間違い”では無い話でやりたい事に対しては一定の理解は出来る。
- 新加入選手達はかなり試合中話す。繋がりを作る作業が見えてるのは上がる余地はある。
- チャンレのブロック、実はとんでもない技術。相手のインパクトを見ながら体のコントロールをしてる。ギャンブルはしない。眼で勝負してる。
- 失点シーンはドレシェビッチが三國、オセフンがチャンレの約束で野上もマンツー。それ以外がゾーン対応。2回目はドレシェビッチが三國を釣り出し、ゾーン対応の外からオセフンが走った。サイズ感的にもあれをやられたらお手上げ。
山中の切り方も緩いが、これも守備の終点設定エラー
(上げさせないのか?中が絶対に張り付き続けて勝つのか?)
久保も昨シーズン勇気の1歩が詰められずに厳しい思いをしたが、山中もそれと同じ。あの詰めのリスクと難しさは同情する
- 05:36 付近の三國のトラップのシーン。利き足右で右トラップの時のボールをタッチする瞬間の足の位置。軸足より蹴り足が内側でコントロールしてる
きついボールがきたならまだしも、山中からのボールを余裕でプルバックして楽々受けてるのにも関わらず、トラップ一本で逆にしか出せない選択肢にしているのは勿体無い。ああいう場面でプレスに対して正対できれば、チャンレに対するプレスを体の向きだけで遅らせる事ができ、米本がチャンレに対して顔を出し切れた。
早く展開する意識はとても良い。個人の対人性能も申し分ない。
3センターにしてる分逆側のゲートは広い。ウィングバックとの2v1に持ち込める
ただその外の勝負はビルドアップやり直しの綺麗な個人のディテールから
ヘディングだったり後ろ向きで受ける時、プレッシャーが来そうな時の逃げのパスに優しさが欲しい。さすがに全員が誰かに頼むような球の出し方が多すぎる。球にメッセージがありそうで無い。
- 町田に荒い印象はなかった。寄せが強いから名古屋が負けてるだけでも無い様に感じる。
個人間の剥がす→付いていく、の様な技術のやりとりを嫌っている様子。
守備技術のディスアドバンテージを背負わないように「寄せる」と言う言葉のイメージで補っている感じ
さいごに
選手の顔を上げさせる事が出来るのはサポーターの特権。