1-2。晩夏広島3連戦の1戦目は苦しい試合となりました。
試合情報
唯一の付け入る隙
スプリント回数15回越えのIHのプレッシャーを躱してしまえば撤退にはいる広島の攻略法は10分の山岸のシュートとキャスパーの意地の1点の部分に集約されていた。
広島のIHは、中央に立つものの名古屋のハーフスペースに対する侵入におけるチェックがかなり甘かった。
ベースとして基本は速い攻めを遅らせるだけで良い。というタスクが与えられていたのだと考えられる。
補足:広島はオーバーラップやセンターのライン侵入などリスクをかける以上、04:54~のようなカウンターの恐れは必ずある。
CMFの一枚(主に塩谷)が中盤の底でリスク管理係として左右にスライドする以上、前半の山岸のチャンスではIH(特に松本)がハーフスペースに入る名古屋の選手を見ないといけない状況が出てきたり、後半の得点シーンではトルガイが見てないハーフスペースの侵入を佐々木が見に行くことでセンターが最終ラインに吸収されるようなズレが見られた。
1stプレス後の個々の選手の守備設定が曖昧に感じる場面ではあり、そこに付け入る隙があったのでパワーバランスとして名古屋が“完全敗北”という言葉を受けるようには感じなかった。
広島のウィークポイントを把握したうえで再現性のある形を作りたい意志は感じた。しかし、広島の鬼スプリント部隊に再現性を難しくされた部分があるのも事実。
GKを含めた最終ラインはもちろんの事、全体でハンドリングだけではない技術(目の速さや立ち直しの速さ)の部分も拘っていけば対応出来ると信じている。
手札選択のむずかしさ
フレッシュな身体能力が揃っている広島と対照的に経験値が豊富なFWを擁する名古屋は守備の枠組みは臨機応変。
塩谷と川辺が縦方向にギャップが出来ると中盤の1 + 3に対応するように構える形。塩谷+川辺が同列で降りてくるような形で後ろでプレスの人数合わせが可能なら出ていくという形(16:04〜)が分かりやすかった。
直後の16:44〜の一連の形も塩谷、川辺が同列に並ぶ条件から広島のIHが降りてこないところにプレスをかけに行って奪って攻撃に反転した。
中盤の1+3に対して組む形は構えて組んだ場面での高めのライン設定も目を引いた。
(インサイドで和泉がコメントでラインの上下に言及している)
パトリックが中盤の1を抑えてくれると残りの3枚の内、一枚が必ず受けに来る。(主に川辺)
その状況になるとCMFーCB間でIHを挟めるのでIHが裏に抜けるような動きをしてCBが後ろに降ろされてもCMFのほうが先にボールにアプローチ出来る事になる。(具体例→18:50~)
構える形のトレードとして当然広島はWBの前のスペースにCBを上がらせるような形を取る。CBとWBで名古屋の大外にアプローチ出来るようになる。
そこにIHを加えた広島の3枚(CB+WB+IH)対名古屋の2枚(WB+CB)の形が両ワイドCBを苦しめた。(前述説明済)
両ワイドCBが外を見なければいけない中で名古屋が中央からしっかりと守備で構える事が出来てしまった事もあり広島はセントラルCBの周りにアバウトにボールを入れ始める。
自分達で焦る事の弊害
1失点目から2失点目は早かった。
2失点目はプレスと構える形の選択をミスした所がすべてだった。(下記参考ポスト参照)
川辺が降りて塩谷が前のセンターが縦関係のギャップのシーンなので本来であればパトリックがある程度寄ってきた川辺を見張りながらスペースを埋める約束となっていた。
その約束の中に含まれていたCMF-CBでIHを挟んでおくことで動きを制限していた部分が突然崩壊。川辺の横向きに顔を出す動きが気になったのか、プレスに行く選択をする選手が出た。
WBやIHがプレスに行ってはいるが、チームの守備戦術を固めているのはこの試合ではパトリックとCMFの動きであり、尚且つ相手の“CMFの並びの形”を基準にしている以上
“味方”を見てプレー選択を変えたのが痛かった。
先制された後、自分達から点を取りにいかなければと焦って相手の状況を無視した。
明らかに点を取られて前向きに急いだのは明白で
焦る事の怖さと難しさが牙を向いた。
試合雑感
- 25:06〜のようなカウンターの展開。プレスに当たるか当たらないか?で相手をコントロールしてるチームである以上、喰らうとピッチがパニックになるので広島と似たようなシチュエーションではあるが、攻撃時のリソースを割く時に選択を考えていきたい。特にこの試合は相手のウィークポイントがはっきりしていただけに
- 広島のIHの戻りの後はウィークポイントだったものの、戻るのが早いのは正義。プレスも難しく連動させないのもわかりやすい。その結果、そもそも戻れるのに立ってない。が無かったり2失点目みたく守備の約束事がバグらないのが名古屋とのちょっとした差。
- 山岸のチャンス、キャスパーの得点は広島に対して攻撃の矢印を向けた能動的なアクションだったので相手の背中が見えなくなる程の差は感じなかった。
- 2失点目は完全に焦った結果のピッチでのエラーなのでとんでもなく悔やまれるところ。綺麗な崩しでもなんでも無く単純に自分達のミス。
- 「自由の象徴」のような菊地。起爆剤起用から役割が変わった時が本番。
さいごに
うまくいかないもどかしさはあるものの、好転の要素も見え隠れするような
蛹の期間がようやく来た感覚