愛されたいクラブ宣言をして、様々な改革を行っている名古屋グランパスですが、2014年に比べて、2015年は観客動員数8400人減となってしまいました。様々なプロモーション活動を行ったにも関わらず観客動員数が低下したのにはどういうわけでしょうか。
2014年限りで中村直志選手、玉田圭司選手、ジョシュア・ケネディ選手で退団。2013年に既に増川隆洋選手、阿部翔平選手、田中隼磨選手、藤本淳吾選手らを失っていたこともあって、集客力のある、誰もが知っているスター選手を失ったことなども影響があったかもしれません。
年ごとに試合数の変化があるので、試合平均を見ていただくと良いと思いますが、ピークは1994年から96年、優勝した2010年からは多少の変動はあっても、下がっています。
これと違った動きを見せているのが、川崎フロンターレです。
驚くべき変化があったのは2004年と2005年の間です。J2から2度目のJ1に昇格したときからでした。それまで収容率20%前後をさまよっていたものが、昇格争いのなかで、35%に登り、昇格からは上り調子です。
名古屋と川崎の平均観客動員数の遷移を重ねてみると、2005年にJ1昇格後は非常に良く似た遷移をしています。しかし、2015年に大幅な差がついてしまいました。
川崎フロンターレの集客
参考になる記事が、サンケイWebにありました。
http://www.sankei.com/premium/news/150417/prm1504170009-n1.html
インタビューを受けているのは伊藤宏樹さん。川崎フロンターレのディフェンダーとして、長らくレギュラーを貼った後、川崎フロンターレに入社、集客プロモーション部という部署に配属されました。その部署の仕事を記事ではこう答えています。
私が所属する集客プロモーション部とは何をする部署なのか。一言で仕事内容を説明するのは難しいです。「フロンターレでみんなを幸せにするために何でもやります」とよく答えています。試合当日は、イベントの企画運営に走り回ります。
早朝からフロンパークというイベント広場で行うステージのセッティングを行っています。基本的にはお金をかけずに手作りでやっているので、大工のように自 分で装飾を施しますし、看板や印刷物も自分たちで作っています。イベント広場に敷く人工芝を大きな台車を使って運ぶ作業が大変で、男4人がかりで2時間ぐ らいかかりますね。選手時代は、お客さんは試合だけを観にスタジアムに来ていると考えていたので、朝からこんなに重い荷物ばかり運んでいる仕事があるとは 考えもしなかったです。片付けは、試合中に行っているので、ほとんど観戦はできません。ナイターの試合だと片付けが終わる頃にはいつも日付が変わっていま す。チームを支える側になったことで、こんなにたくさんの人の支えがあって、サッカーができていたのか、と感じました。だからこそ、選手には「今を頑張 れ」と強く言いたいですね。
フロンパークというのは、川崎がしかけるイベントの集合体です。なかでも売り物になっているのが伊藤さんが仕掛ける「VSヒロキー」です。中村直志さんが参加した2015年の記事を見ていただくと雰囲気がわかりやすいかもしれません。
http://www.frontale.co.jp/diary/2015/0325.html
http://www.frontale.co.jp/diary/2015/images/150325-19.jpg 川崎フロンターレWebより引用
画像をみていただいてもわかるように、手作り感満載のゲームが展開されています。人工芝と、プラスティックのフェンス、多少の小物でほとんどが展開されています。ほとんどすべてがスタッフの尽力で実現されており、場所代以外に大きな費用などかけていません。
特にゲームの類いは子供でも楽しめるようなものばかりで、実際にとっても多くのお子さんたちが参加をしています。
Jリーグ観戦調査では、18歳以下の層が名古屋が4.9%に対して、5.5%と微妙な違いですが、子供が主体的な遊びができる環境が整えられていることが大きな違いだと思います。楽しめれば、また見たくなるというのが人情だと思います。この差がこれからどんどんと動員数の違いを生み出すことになるかもしれません。
川崎フロンターレと名古屋グランパスのイベントの違い
このほかにも、毎回テーマを決めて、イベントを開催しています。
2015/1
川崎市観光協会×ねこのしっぽ×川崎フロンターレ:コミケットスペシャル参加
2015/3
・とどろきメモリアル(ときめきメモリアルにひっかけ)記名チケット
・フロンターレシティSupported by JACCS「サポショでホワイトデー」キャンペーン
・JR京浜東北線のトレインジャックを実施!
・ヒロキーvsナオシー(中村直志さんコラボ)
・Honda Motorsports Park@Frontale(競技用バイクのデモ・展示)
・川崎アゼリア×川崎フロンターレ 2015感謝祭
2015/4
・フロンターレ牧場/ひつじのショーンコラボ
・アウトドアブランドCHUMS×フロンターレコラボ
・Fサーキットin等々力/仮面ライダードライブ、F1コラボ
・大平貴之さんプロデュース「等々力スター☆ジアム」
・バナナの「ドールランド・春」
2015/5
・多摩川クラシコ
・川崎ものづくりフェア
・フットサル/大学生限定イッツコムカップ2015
・SABON Presents 「リフレッシュヨガ&ボディケア+観戦シート」
・春日山部屋「イッツァスモウワールド」
・CC(カーボンチャレンジ)等々力 第5回エコ暮らしこフェア
・VSヒロキー企画「ヒロキーと磨け」
・献血推進イベント「噂のケンケツSHOW」 with 「8.6秒バズーカ―」
・サポショで母の日キャンペーン
長くなりすぎてしまうので、3ヶ月に絞りました。同時期の名古屋はどんなイベントをやっていたでしょうか。
2015/2
・「親子ハンドボール体験教室」
・「大人向け短期サッカークリニック」
・「平成27年度 保育師・教諭サッカークリニック」
2015/3
・公式カメラアプリ『グラ写ポ』のリリースと開幕フレーム
・中村直志引退試合「名古屋グランパスOBマッチ」
・【愛知トヨタ創業80周年記念イベント】アカイパネルを掲げて、スタジアムをアカク染めよう!
・【愛知トヨタ創業80周年記念イベント】ランクルフェス
・OB選手トークショー
・BANTYFOOT 開幕ミニライブ
・『U-12グランパスカップ』サッカー大会
・「短期集中ガールズサッカークリニック」
・「ナビスコキッズイレブン」
・「LOVE GRAMPUS」缶バッジプレゼント
・グララのHAPPY BIRTHDAYメッセージ大募集!
・Grampus New Generation Facebookページ作成
2015/4
・トヨタグループ・プレゼンツ エキサイティングデー来場プレゼント
・LOVE GRAMPUSトークライブ
・グランパス×太鼓の達人コラボ
・愛され大漁まつり!
・「スーパープレミアム女(じょ)シート」
・初心者向けのガールズサッカー体験教室
・Grampus New Generationクリアファイルプレゼント
2015/5
・名古屋グランパスコーチングセミナー2015
・キッズわいわいサッカー
・モータースポーツフェスタ
・とよた交通安全・防災フェスタ
・【トヨタグループ・プレゼンツエキサイティングデー】来場プレゼント
・佐賀県PRブース
・ルコック プレゼンツ〜ミニサッカー大会
・スクール親子サッカーデー in パロマ瑞穂スタジアム
・ガールズフェスタ(OL向け情報誌『ami』の協力のもとさまざまなサンプリングコーナーやお得な体験ブースを実施)
・女性限定抽選会開催
・【サークルKサンクスデー】〜グランパスグッズが当たる大抽選会を開催!〜
イベントの数では負けていません。その点では名古屋グランパスの担当者の方々がとても頑張っている、と感じさせられます。しかし、その内訳はどうでしょうか。
グランパスが実施している活動は、川崎フロンターレと比べても格段に多いことがわかります。これ自体はサッカーにふれ合える機会を増やすという意味でとても素晴らしい施策だと思います。
それ以外を見てみると、名古屋グランパスのイベントには、トークショーやライブなど、ファンやサポーターが、「受け身で楽しむイベント」が多いのがわかります。また「何かが貰える!」みたいなイベントがとても多いことが気になりました。
一方で川崎フロンターレはどうでしょうか、数は多くありませんが、家族で楽しむ、子供が嬉しい、そんなスタンスが見てとれます。イベントの質の違いがあるのではないでしょうか。
名古屋に欠けているものはなにか?
伊藤さんのインタビューに、こんな一節があります。
「フロンターレでみんなを幸せにするために何でもやります」とよく答えています。
フロンターレの試合には家族連れが多く、キッズランドというイベントもあり「子どもを楽しませよう」という企画も多いのですが、平日のナイターゲームのと きはどうしても集客が難しくなります。少しでも集客につなげるため、満足度を上げるために、何かインパクトのあるイベントをやりたいと思っていました。そ こで私がこれまで選手時代に培ったバックボーンをうまく活用し、自らコスプレをして、「ヒロキー」というキャラクターになってみました。最初はかくれんぼ をしようということで「ウォーリーをさがせ」をパロディーにした企画「ヒロキーをさがせ」から始まり、それが反響を呼び、「ヒロキーを救え」、「ヒロキー を祝え」などシリーズ化につながりました。
スタジアムにくることで、サッカーだけでなく、幸せになる、ということを目指していて、起点が違うような印象を持ちます。その結果がどうなっているのか。
名古屋はJ1最下位の3.7、川崎フロンターレは広島と同率1位の4.7です。
ホームタウンでのサッカー普及活動などでは、実はJ1トップクラスの大きな貢献をしている名古屋がどうしてこういう数値になってしまっているのか、これを詰めることが名古屋の観客動員数を増やすためのカギなのではないかと感じています。
まずホームタウンが名古屋と三河に渡って別れてる時点でダメ、そんな基本的な事を
疎かにしてて真の意味で応援してやろうなんて誰も思わないし身近に感じないです。
あるクラブ関係者が全方位で愛知県を網羅するとか言ってたけどこんな広い地域を
カバー仕切るとかそもそも無理がある。
あと>誰もが知っているスター選手を失ったことなども影響があったかもしれません。
これは殆ど関係ないです、今日の湘南戦見てあなたどう思いましたか?!
サッカーの本質で勝負出来ない、中身が放り込んでるだけの糞サッカーって時点で
お客はもう来ないんですよ、どんなにお子様や家族連れサービスするサイドメニュー
のコンテンツを良くしようが一時的にはいいですが、やっぱり最後はサッカーの中身なんです!!
95年~96年、観客の平均が2万人超えしてた時代は決してサッカーバブルの恩恵
だけじゃありませんからね?リーグ優勝したピクシー時代ですら超えられなかったんだし
何がどうちがったのかもう一度良く精査しましょうよ
色々ともっともらしい理由をあなたも並べていますが、つまりはやってるサッカーの中身が
娯楽性があって面白いか、そうじゃないかの一点ですから!!
コメントありがとうございます。
サッカーの中身のことについては、当サイトでもいろいろ取り上げているつもりです。そしてそこで指摘しているだけでなく、小倉監督自身も言うとおりでまだ不足があるのは間違いないと思います。ただ、わたし自身もなんでコレできないのって言われてすぐにできることなんてないんですが、選手も言われてすぐに変われることなんて少ないと思います。だからサッカーの中身については、声は上げつつも、長い目で見ていこうと思います。
でも集客に対してサッカーの中身は大事なんですが、それだけが要因ではないのではないでしょうか?いろいろな方面から考えるべきだと思います。
今回取り上げたのも、イベントや企画というある一面だけです。いろいろなことを考えて解決できないと本当にたくさんのお客様には来てくれないと思います。
今後とも率直な意見を賜れれば嬉しいです。よろしくお願い致します。