お題箱からリクエスト記事です。
現代サッカーはフィジカルゲーです。
横浜FC戦でもあの藤井陽也が吹っ飛ばされて先制ゴールを奪われたり、フィジカルの強い選手が重用される理由はわかるような、わかりたくないような。
でもフィジカルが強い選手だけを揃えれば強いわけではないです。
「サッカーIQが高い」とは?
「サッカーIQが高い」とは、単に足元の技術が上手い、足が速い、シュートが強いといった身体的な能力やテクニックだけでは測れない、「サッカーというスポーツを深く理解し、ピッチ上で賢くプレーする能力」を指す総合的な褒め言葉です。
一言で言えば「ピッチ上の問題解決能力の高さ」と言い換えることができます。試合は常に変化する状況の連続です。その中で、最善の答えを素早く導き出し、実行できる選手が「サッカーIQが高い」と評価されます。
その能力は、主に以下の5つの要素から成り立っていると考えました。
「サッカーIQ」を構成する5つの具体的な能力
1. 状況認識能力
ピッチ上で何が起きているかを正確に把握する能力です。これがすべてのプレーの土台となります。
- 常に首を振る: プレーが止まっている時やボールが自分から遠い時でも、常に首を振って周囲を確認し、「味方」「敵」「スペース」「ボール」の位置情報を常にアップデートしています。
- 360度の視野: ボールしか見えていない選手とは対照的に、まるでピッチを上から見ているかのように、自分を中心とした360度の状況を把握しています。
- 代表的な選手: イニエスタ、ブスケツ
2. 予測能力
現在起きている状況から、次に何が起こるかを予測する能力です。相手よりも一手、二手先を読んでプレーします。
- プレーの先読み: 相手のパスコースを読んでインターセプトを狙ったり、味方がパスを出す先を予測してスペースに走り込んだりします。
- 「ボールが来る前に考える」: ボールを受ける前から、受けた後にどこへパスを出すか、どう動くかを決めています。そのため、トラップから次のプレーへの移行が非常にスムーズです。
- 代表的な選手: ギュンドアン
3. 判断力
膨大な情報の中から、その瞬間にチームにとって最も効果的なプレーは何かを瞬時に選択する能力です。
- 最適解の選択: ドリブルで仕掛けるべきか、シンプルなパスで味方を使うべきか、一度落ち着かせるべきか、といった多くの選択肢の中から、最も成功確率の高いプレーを選びます。
- リスク管理: 無理なプレーでボールを失うリスクを避け、確実にチームの攻撃を前進させるシンプルなプレーを選択できる賢さも含まれます。
- 代表的な選手: メッシ、デ・ブライネ
4. 空間認識能力
ピッチ上の「スペース」を見つけ出し、作り出し、そして有効活用する能力です。
- スペースを見つける: 敵の守備陣形の中に存在するわずかなスペース(ギャップ)を見つけ出し、そこにポジショニングしてパスを引き出します。
- スペースを作り出す: 自分が動くことで相手ディフェンダーを引きつけ、味方が使えるスペースを意図的に作り出します(デコイラン)。
- 代表的な選手: ダビド・シルバ、中村憲剛、遠藤保仁
5. 戦術理解度
監督が提示する戦術やチームとしての約束事を深く理解し、それをピッチ上で表現・実行する能力です。
- ポジショニングの修正: 試合の流れや相手の出方に応じて、監督の指示を待たずに自分のポジションを微調整し、チームのバランスを保ちます。
- 攻守の切り替え(トランジション): 攻撃から守備、守備から攻撃への切り替えの局面で、チームが今何をすべきかを瞬時に理解し、実行します。
- 代表的な選手: フィリップ・ラーム
グランパスでサッカーIQが高い選手は誰?
和泉竜司:戦術理解度タイプ
和泉竜司はゴールキーパー以外、すべてのポジションを経験したことがある選手です。それが実現できるのは、そのときのチームでそのポジションにどういう動きが求められているのかをきちんと理解できるからです。どの監督でも重宝するタイプの選手と言えます。
森島司:空間認識能力タイプ
森島司は中盤の守備的・攻撃的のどちらのポジションでもプレーできます。主にリエゾン(橋渡し)役・攻守の切り替え役として期待されています。味方・相手の動きを見ながらポジションを調整できる点、フリーになっている味方を見つけて中距離のパスを通すことができる点が優れています。
用語解説:リエゾン役とは?:リエゾン役は「チームが分断しないようにする選手」と言い換えることもできます。現代サッカーではチームの距離感や流動性が非常に重視されるため、この役割が機能しないとロングボール頼りで組立てができないサッカーになってしまいがちです。
最後に:「IQが高い」選手は、なぜ評価されるのか?
サッカーIQが高い選手は、派手なスーパープレーだけでなく、目には見えにくい「準備」や「貢献」でチームを勝利に導きます。
- 彼らがいると、チームのボール回りがスムーズになる。
- なぜかチャンスの起点にいつも彼らがいる。
- 彼らがボールを持つと、不思議とチームが落ち着く。
- 守備では、危険なスペースをあらかじめ消している。
このように、試合の流れを良くし、チーム全体を機能させる潤滑油のような役割を果たすのが「サッカーIQが高い」選手です。身体能力が突出していなくてもトップレベルで長く活躍できる選手が多いのも、この能力に長けているからだと言えるでしょう。
名古屋グランパスにも、サッカーIQが高い選手がどんどん増えていって欲しいと思います。まだ若手ですが、加藤玄選手や杉浦駿吾選手には期待しています!