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「楽しそう」が、次のグランパスファンを連れてくる #喋る机 #grampus

デスク「どうもデスクです。」

デスク

喋る机:用語解説:スポーツ紙や夕刊紙に登場する「デスク」の異称。『日刊ゲンダイ』の記者室に生息するとされるものが有名で、現地取材なしに「記者と机の対話」だけで記事を構成する省力化(?)スタイルで一世を風靡した。記事は「記者と無機物たる机の高尚な対話の記録」という体裁をとる。
野暮を承知で補足すると、その実体は新聞社で取材の統括や校閲・承認を担う実在の役職者である。

記者「どうも記者です。今回は、新しい人がグランパスに関心を持つきっかけについて考えたいです。」

記者

デスク「新しい人が興味を持つきっかけの一つに、誰かが楽しんでいる姿があるんじゃないか、という話だね。」

記者「スタジアムで楽しそうに応援する人や、試合後に喜びを共有する投稿を見て、『自分も行ってみたい』と思う人もいると思います。一方で、SNSに流れるサポーターの反応が、初めての人を遠ざけることもあるかもしれません。」

デスク「SNSには、サポーターが楽しんでいる姿も、企画への意見や批判も流れてくる。最近話題になった企画では、応募者が参加を告知した画像で、エンブレムやユニフォームのデザインが加工されていた点に疑問の声が上がったね。」 

記者「はい。どちらもクラブの象徴ですから、大切に扱ってほしいという気持ちはよく分かります。一方で、この話題への反応を見て、新しくグランパスに関心を持つ人に、サポーターの姿がどう映るのかも考えたいと思いました。」

デスク「そうだね。企画や運営に気になる点があれば、指摘していい。ただ、同じような案件が起きるたびに、参加者本人への返信や引用が相次ぐと、『グランパスやサポーターは怖い』という印象が残るかもしれない。」

記者「一度の出来事だけで、サポーター全体の姿が決まるわけではありません。でも、似た反応が何度も目に入れば、初めて見る人には、そうした反応がクラブの文化のように映ることがあります。」

批判を改善につなげるには

記者「クラブを大切に思うからこそ、スポンサー企画の気になる点を指摘することもあります。批判を次につなげるには、何を変えてほしいのかを具体的にしたいですね。」

デスク「そうだね。画像の扱いに問題があるなら、素材の使い方を明確にしてほしい。
企画の役割が分かりにくいなら、クラブやスポンサーに説明を求める。
そういう要望なら、次の企画に生かせる。」

記者「参加者本人のファン歴や人柄を論じ続けても、素材のルールや企画の分かりにくさは改善しません。批判する相手と、改善を決められる相手は分けて考えたいです。」

デスク「謝罪や修正があった後も個人への追及を続けると、改善の話から離れてしまう。
本人が責任を認めることと、周りがいつまでも責め続けることは別だからね。」

記者「SNSで見かける投稿の数が、サポーター全体の意見を示すとも限りません。
ただ、外から来た人は、画面に流れてくる言葉から『ここに参加したらどう扱われるだろう』と想像するのでは、と考えます。」

人は「楽しそう」から近づく

記者「ヒトが何かに関心を持つとき、誰かが楽しんでいる姿を見ることが入口になる、と私は思っています。」 

デスク「人がどう行動するかを説明するモデルはいろいろある。その一つが、電通が提唱したSIPSだね。
最初に置くのは共感(Sympathize)だ。」

記者「誰かの発信に共感して、自分に合うかを確かめ、参加する。参加した人が体験を共有し、また別の人の共感につながる、という行動の流れを説明したものですね。」

デスク「SIPSは、SNS時代の行動を考える枠組みとして見ると分かりやすい。」

記者「自分に合うかを確かめる(Identify)の段階で、『Not for me(自分向けではない)』と感じたら、無理に参加せず、その企画から距離を取るのも選択肢ですね。」

デスク「そうだね。ある企画がサポーター全員に刺さるとは限らない。
好みに合わなければ見送ればいいし、直してほしい点があるなら、参加者本人への返信を重ねるより、クラブや運営に具体的に伝えたいね。」

記者「参加(Participate)は、チケットを買うことだけではありません。いいねを押す、投稿をシェアする、配信を見るといった小さな関わり方も、試合に行くことも含まれます。」 

デスク「その先には、参加した人の共有と拡散(Share & Spread)がある。楽しんだ人が自分の言葉で伝えると、その投稿が次の人の入口になるんだ。」

SIPSのしくみ
SIPSがしめす消費者の行動のモデル

記者「スタジアムで楽しそうに応援する人たちや、試合後に喜びを伝える投稿を見て、『次は自分も行ってみたい』と思うことがあります。
そうした経験は、SIPSの入口と重なりますね。」 

デスク「博報堂生活総合研究所の『トキ消費』も近い。
この考え方は2018年にグラぽでも記事にしているのでちょっと見て貰うといい。
モノやサービスを得るだけでなく、その時、その場所だけの盛り上がりに参加すること自体を楽しむ考え方だ。スタジアムでしか味わえない空気は、まさにその一つだと思う。」

記者「バンドワゴン効果というのもありますね。
多くの人が支持するものに自分も加わりたくなる傾向を指します。
似たところはありますが、同じ意味の言葉として使う必要はありません。」

用語解説:バンドワゴン効果:多くの人が支持しているものや選んでいるものに対して、自分も同じものを選びたいと感じる心理現象です。

  • • 行列の店:多くの人が並んでいるお店を見て、「美味しいに違いない」と思って入りたくなる。
  • • SNS:「いいね」の数が多い投稿や、フォロワーが多いインフルエンサーを信頼してしまう。

デスク「スタンドが埋まり、周りの人が楽しそうにしている。
勝利後に喜びを共有する投稿が流れてくる。そうした様子を見れば、『自分も行ってみよう』と思う人が出てくる。」

記者「反対に、個人を責める反応が目立てば、参加をためらわせることもありそうです。」

デスク「そうだね。投稿した人たちがサポーター全体を代表していなくても、初めて見る人は、画面に流れる言葉からクラブやサポーターの雰囲気を想像することがある。」

記者「一つひとつの投稿が全体を表すわけではないと分かっていても、外からはそう見えることがある。
だから批判の伝え方に気を配ると同時に、楽しんでいる姿も伝えていきたいです。」

デスク「うん。スタジアムの熱気や勝利の喜びを共有する投稿が、誰かの『自分も行ってみたい』につながる。
そうした楽しさを次の人へ届けることも、サポーターにできることだね。」

ファンの楽しさは、クラブとスポンサーをつなぐ

記者「以前、グラぽでは、名古屋グランパスのクラブ経営情報を考える記事をHeinrichさんに寄稿いただきました。スタジアムの収容人数には上限があり、来場者数を大きく増やすのは簡単ではありません。スポンサーにとっての価値を高めることも重要だ、という内容です。 」

デスク「その考え方は大事だね。ただ、『入場料収入はもう増えない』と言い切るのは少し違う。Jリーグが公表した2025年度の経営情報では、名古屋のスポンサー収入も入場料収入も前年より増えている。入場料収入は29億8,800万円、スポンサー収入は13億6,000万円だった。」

記者「スタジアムの席数が限られていても、入場料収入がすでに止まったわけではありませんね。
お客さまを減らさず、来場者にも楽しんでもらいながら、スポンサーとの取り組みを成長させる方法を一緒に考えたいです。」

デスク「スポンサーにとって、ロゴが何回表示されたかだけが価値ではないはずだ。クラブが好きな人たちに受け入れられ、新しい人が試合や企画に関心を持つ。そうしたつながりも、協賛する意味になると思う。」

記者「スポンサーとクラブが一緒に行う発信やイベントは、まだグランパスをよく知らない人にとって、クラブを知る入口にもなります。
そこから試合を見たり、次の発信を楽しみにしたりする人が増えれば、新しい接点になりますね。」

デスク「そうだね。企画への受け止め方は人それぞれだし、気になる点をクラブや運営に伝えることも必要だと思う。
ただ、意見が参加者個人への攻撃に向かうと、新しく関心を持った人が参加をためらうこともある。誰に何を伝えるのかは意識したいね。」

記者「実際のスポンサー評価の基準は、契約や運営の情報がなければ分かりません。
ただ、表示回数だけでなく、企画を通じてクラブを知った人が公式情報を追ったか、スタジアムへ来たか、また来てくれたか。来場者やファンが楽しめたかも、クラブとスポンサーのつながりを考える手がかりになりそうです。」

指摘を伝えながら、参加の道を残す

デスク「クラブやスポンサーの取り組みに気になる点があれば、まず事実を確かめて、何をどう変えてほしいのかを整理する。
意見は、改善を決められるクラブや運営に届ける。そうすれば、次の取り組みに生かせる。」

記者「関わった人のファン歴や人柄を論じ続けても、企画の内容や運営は変わりません。
意見が個人への追及に変われば、新しくグランパスを知った人が参加をためらうこともあります。これから応援する道まで閉じないようにしたいです。」

デスク「そして、気になる点を伝えるのと同じように、私たちが何を楽しんでいるかも伝えたい。試合のどこに興奮したのか、スタジアムの何が楽しいのか、初めて来る人にどんな楽しみ方があるのか。そうした言葉から、グランパスの魅力も伝わると思う。」

記者「誰かが『楽しそうだな』と思って試合を見て、次はスタジアムに来てくれたらうれしいです。そこで楽しんだ人がまた別の人を誘って、輪が広がっていくといいですね。」

デスク「クラブの取り組みに意見を伝えることも、試合を楽しむ姿を見せることも、クラブを大切にする一つの形だね。
意見は改善につながるように届けて、楽しさは新しく知った人にも伝えていきたい。」

記者「『グランパス、楽しそう。今度行ってみよう!』と思ってくれる人が増えるように、まずは私たち自身が、次の試合を楽しみましょう。」

デスク「そうしよう。」

About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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