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#森島司 が入って何が変わったのか 東京戦と川崎戦の比較 #grampus

#森島司 が入って何が変わったのか 東京戦と川崎戦の比較 #grampus

東京戦から何が変わったのか

第9節の川崎フロンターレ戦、名古屋グランパスは勝利した。前節のFC東京戦から大きく変わったのは、森島司がメンバーに入ったことだ。森島はライン間で受けて前線とつなぐ、リンクマンと呼べる役割をこなせる選手である。

チームの数字を並べると、変化はボールを持つ量より、作ったチャンスの中身に表れている。

項目東京戦川崎戦
ゴール期待値0.8661.463
シュート(枠内)14(2)15(5)
パス579505
ボール保持率54.9%50.4%
30mライン進入5145
ペナルティエリア進入1517
クロス178

パスは74本減り、保持率も4.5ポイント下がった。30mライン進入も6回少ない。それでもペナルティエリア進入は2回増え、ゴール期待値は0.6近く上がっている。シュート1本あたりのゴール期待値で見ると、東京戦の0.06に対して川崎戦は0.10になる。シュートの本数はほぼ同じで、打った位置や形が良くなったということだ。

藤井のロングボールが森島のパスに置き換わった

川崎戦では、藤井陽也のロングボールが東京戦の20本から12本へ、4割減った。東京戦では中盤に入った高嶺朋樹も13本のロングボールを蹴っており、2人で合計33本を後方から前線へ送っていた。川崎戦の高嶺は最終ラインに入って4本、森島も4本である。

選手(試合)敵陣パス成功/総数自陣パス成功/総数ロングボール成功/総数
森島司(川崎戦)33/3722/222/4
稲垣祥(川崎戦)14/2140/420/0
藤井陽也(川崎戦)16/2949/502/12
高嶺朋樹(東京戦)43/5039/407/13
稲垣祥(東京戦)19/2329/321/3
藤井陽也(東京戦)24/3651/5410/20

東京戦のロングボールは成功率が5割前後だった。半分は相手ボールになる計算で、そのたびに守備へ戻らなければならない。川崎戦では、後方の選手がまず森島に預け、森島が敵陣で前を向いて配る形が増えた。森島の敵陣パスは37本で成功率89%、キーパス3本、アシスト期待値0.18を記録し、1アシストも付いている。

森島は自陣でも22本のパスをすべて成功させている。ライン間で待つだけでなく、自陣まで下りて受け、敵陣へ運んでから配っていたことが数字からうかがえる。その分、稲垣は自陣パスが42本と多く、後方でのつなぎ役に回った。東京戦は高嶺が90本のパスで前進と配球を一人で担う形だったが、川崎戦は稲垣が後ろ、森島が前と役割が分かれている。

藤井に残った12本のロングボールは成功が2本にとどまった。前に預け先がない場面で蹴らされたものが含まれていたからだと考えられる。

攻めの速さを選べるようになった

森島が入って変わったのは、パスの出し先だけではない。攻撃をどの速さで進めるかを、チームが選べるようになった。

ロングボールは一気に前進できる反面、蹴った時点で攻撃の速さが決まる。前線が競り勝てば速攻になり、負ければ相手ボールになる。その間に選択肢はほとんどない。森島が受ける形なら、前を向ければそのまま速く攻め、向けなければ一度後ろへ戻して作り直せる。森島の成功率93%(59本中55本)は、受けてから無理をせず、失わない判断をしていたことを示している。

攻め方の中身も変わった。東京戦はクロスが17本あり、徳元悠平が7本を上げている。サイドへ回してクロスで終える形が多かった。川崎戦はクロスが8本に減り、森島を経由した中央からのラストパスに比重が移ったと考えられる。枠内シュートが2本から5本に増えたのは、この変化の成果と言える。

攻撃回数は108回と111回、チャンス構築率は13.0%と13.5%で、攻撃の回数と成功する割合はほぼ変わっていない。変わったのは、チャンスになった攻撃が得点に近い形で終わるようになった点である。

藤井を後ろに残したカウンター対策

FC東京戦の名古屋の平均ポジション
FC東京戦の名古屋の平均ポジション
川崎フロンターレ戦の名古屋の平均ポジション
川崎フロンターレ戦の名古屋の平均ポジション

2つの平均ポジションを比べると、川崎戦は後方の4人がハーフウェーラインの手前で横に並び、東京戦のように最終ラインの選手がハーフウェーライン付近まで出ていく形が見られない。藤井は東京戦でクロスを2本上げ、敵陣パスも36本あったが、川崎戦はクロス0本、敵陣パス29本に減っている。攻撃参加を控え、低い位置でリスクに備える役割に絞ったと考えられる。

川崎はボールを奪ってからの速攻に力のあるチームである。センターバックが前に出ていけば、その背後と横に走られるスペースが残る。ロングボールの失敗も、相手にとってはカウンターの起点になる。前進を森島経由に切り替えたことでボールの失い方が整理され、藤井を後ろに残したことで失った後の備えもできていた。森島がいたから、藤井を守備に専念させても前進の手段がなくならなかった、という関係になっている。

クリアは17回から24回に増えており、守る時間が長くなったことは数字に出ている。保持率を下げてでも、失点のリスクが大きい攻め方を減らした試合だったといえる。

この形の代償

この戦い方には払ったものもある。パス数、保持率、30mライン進入がそろって下がっており、自分たちがボールを持って相手陣内に押し込む時間は東京戦より短かった。

これは東京戦後、各選手がインタビューで語っていた、「押しこみ過ぎでスペースがない」「全員で上がって、カウンターに対するリスク管理ができていない」などを踏まえてこの形になったと思われるが、もちろん相手に持たせる時間が長くなれば、そこで問題が発生する可能性は出てくる。カウンター一発ではなく、崩しきられるリスクが出てくることになる。実際試合終了間際の守備の集中を90分保てるかが問われる。

前進の経路が森島に集まっている点も気になる。東京戦で高嶺が担っていた配球の役割を、川崎戦では森島が引き受けた。相手が森島にマークを付けたり、ライン間を狭めて受けさせなかったりした場合、後方の選手は預け先を失い、蹴るしかなくなる。藤井の残りのロングボールが2/12だったことを考えると、その状態で前進できるかには不安が残る。森島はまだ骨折が癒えているわけではなく、まだギブスをしている状態。彼が欠場する試合で同じ前進ができるかも、課題になる。

※ ただ、ここのところのU21リーグで試合勘を取り戻しつつある小野雅史や菊地泰智がその役割を果たしてくれるのではないかと期待している

結び

川崎戦の勝利を、森島がライン間で受けてつないだことだけで説明すると、半分しか見ていないことになる。後方からのロングボールを森島への縦パスに置き換え、攻め急がずに作り直せる余地を作り、そのぶん藤井を後ろに残してカウンターに備えた。攻撃と守備の両方の判断が、森島を起点に組み立て直されていた。

次の試合で相手が森島をどう抑えに来るか、抑えられたときに稲垣やサイドの選手が別の出口になれるかを見れば、この形が川崎戦限りのものか、続けられるものかが見えてくる。

次の試合は相性の悪いファジアーノ岡山、リーグ戦の次は難敵首位柏レイソル。この2試合がカギとなる。良い試合になりますように。

(生データ)チーム同士のデータ

 東京戦名古屋 川崎戦名古屋  
項目数成功率数成功率平均
ゴール期待値0.866–1.463–1.371
シュート140.00%1513.30%12.9
枠内シュート2–5–3.8
パス57984.10%50579.20%544.7
クロス1729.40%812.50%17.4
ドリブル757.10%1020.00%9.3
タックル1675.00%1758.80%15.8
クリア17–24–20.7
30mライン進入51–45–49.4
ペナルティエリア進入15–17–14.9
総移動距離114,748m–108,780m–111
スプリント154–149–122.2
攻撃回数108–111–110
チャンス構築率13.00%–13.50%–11.7
ボール保持率54.90%–50.40%–55.7 

(生データ)セントラルの比較

森島司(川崎戦)稲垣祥(川崎戦)高嶺朋樹(東京戦)稲垣祥(東京戦)
アシスト1000
アシスト期待値 (xA)0.180.0900.1
キーパス(シュートに繋がるパス)3121
クロス (成功)6 (4)0 (0)3 (0)0 (0)
成功パス(パス総数)55/59 (93%)54/63 (86%)82/90(91%)48/55 (87%)
敵陣パス(成功)33/37 (89%)14/21 (67%)43/50 (86%)19/23 (83%)
自陣パス(成功)22/22 (100%)40/42 (95%)39/40 (98%)29/32 (91%)
ロングボール(成功)2/4 (50%)0/0(0%)7/13 (54%)1/3 (33%)

(生データ)センターバックの比較

 原(東京戦)藤井(東京戦)徳元(東京戦)
クロス (成功)1 (0)2 (0)7 (2)
成功パス(パス総数)41/47 (87%)75/90 (83%)51/55 (93%)
敵陣パス(成功)30/36 (83%)24/36 (67%)27/27 (100%)
自陣パス(成功)11/11 (100%)51/54 (94%)24/28 (86%)
ロングボール(成功)2/4 (50%)10/20 (50%)3/4 (75%)
 原(川崎戦)藤井(川崎戦)高嶺(川崎戦)
クロス (成功)1 (0)0 (0)1 (0)
成功パス(パス総数)31/38 (82%)65/79 (82%)45/56 (80%)
敵陣パス(成功)18/23 (78%)16/29 (55%)23/33 (70%)
自陣パス(成功)13/15 (87%)49/50 (98%)22/23 (96%)
ロングボール(成功)2/3 (67%)2/12 (17%)1/4 (25%)

About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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