引き続きよろしくお願いいたします.ゆるグラサポのコナカ(@konakalab)です.
「ジーコにハットトリック献上」と書いていて「PKが水溜りにスタックして勝利した事件」を思い出して調べてみたところ,あれってホーム開幕戦だったんですね.
ということで次はマッチプレビューです.(簡易版)ゴール期待値(simplified eXpected Goals, s-xG)については前編・ジュビロ磐田戦レビュー(https://grapo.net/2019/04/24/9680/)をご覧ください.
マッチプレビュー:サンフレッチェ広島戦
次戦は現在2位,リーグ最小4失点のサンフレッチェ広島戦です.
シーズン通算のシュート分布,被シュート分布を見ながら今シーズンここまでの両チームの特徴を探りたいと思います.まずは名古屋から.
名古屋はシュート数(116本)が多く(リーグ4位),ゴール45度以内(ポストからペナルティエリアの角を結んだ線よりも内側)から満遍なくシュートを撃っていることがわかります.その一方,被シュート(88本)は危険な場所(特にゴールエリア内部)からもそこそこ撃たれており,失点期待値は1.0点/1試合を超えています.二分するのであれば間違いなく「攻撃型」と言えるでしょう.
次は広島のシュート分布です.
広島は名古屋よりシュート本数が少なく(76本),名古屋と比較するとシュート位置はゴール前中央付近に偏っています.ゴール斜め少し遠方からでもシュートを撃つ名古屋とは異なる傾向が読み取れます.被シュート数(69)はリーグ2位の少なさで,「そもそもシュートまで持ち込ませない」守備がシュート分布から読み取れます.かつ,ゴールエリアでのシュートも数本であり,失点期待値も約0.8点/試合と素晴らしい水準です.
次に,1試合あたりの得失点期待値の散布図(横軸が得点期待値,縦軸が失点期待値)を図示します.
前節対戦した磐田は得失点ともに期待値が1試合あたり約1.0点で,ここを基準として評価すると,名古屋は攻撃を改善して良い位置でシュートを撃てている,広島は守備を改善して危険な位置でシュートを撃たせていないチームであるとも解釈できます.
シュート分布からは(あえて二分するのであれば)「攻撃の名古屋」「守備の広島」といった傾向がまず浮かび上がりましたが,両チームには共通点があることもわかります.それには「期待値と実際の値の差」を見る必要があります.
横軸は「実際の得点と得点(ゴール)期待値との差」,縦軸は「実際の失点と失点期待値との差」です.右下のチームは「シュート位置から予測されるより多く得点」しており,かつ「被シュート位置から予測されるより失点が少ない」チームです,
「シュート位置から予測されるより多い得点」は
- 卓越したストライカーの技術,
- シュートに至るまでにディフェンスを崩したこと,
- または効果的なカウンター
- 運のよさ
などを示唆しています.
また,「被シュート位置から予測されるより少ない失点」は,
- 素晴らしいゴールキーパーの技術,
- 危険な位置まで持ち込まれても的確な判断を遂行する守備陣,
- 運のよさ
などを示唆しています.
トップリーグに所属するチーム・選手は対戦する双方が訓練を受けたプロフェッショナルであり,彼らの能力は一定以上の水準が保たれています.そのような均衡下において,試合中何回か偶発的に決定的な危機または好機が訪れます.それらの機会をものにできたかどうかが試合の勝敗に大きく関わるのがサッカーの本質の一面であると考えています(言い方を変えると,偶発的な決定機が起こり勝敗に影響がある程度に実力が均衡していない場合,事前に勝敗が明確な対戦となってしまいます).数少ない決定機において卓越した技量を示しているチームが上位にいるのはある意味当然といえます.
いずれにせよ,上位チーム同士の対戦です.双方の技術・戦術が十分に発揮される素晴らしい試合になることを願っております.