2015年4月11日付けの中スポ/グランパスウォッチャーで、今季から7番を背負っている田口泰士選手が長期離脱することが確実になったと報じています。
記事では、痛みは昨年9月から出始めており、オフシーズンを完全休養に充てても治まらず、今季の試合は痛み止めの薬を飲みながらプレー。しかし3月18日のナビスコ杯川崎戦の後半から薬が効かなくなり始め、22日の鹿島戦ではまったく効かない状態になったとのことです。
たしかに今年のタイシはちょっと動きが鈍い印象がありましたが、痛みを抱えながらのプレーだったわけですね。
では、このグロインペイン症候群というのはどういう症状なのでしょうか。
和名は、「鼠径部痛症候群」となっており、1つの病気を指す言葉ではないとのことです。
・恥骨結合炎
・内転筋腱障害
・腸腰筋の機能障害
・鼠径管後壁欠損
・スポーツヘルニア
・外腹斜筋腱膜の損傷
などの障害を総称して使われています。
鼠径部は以下のような部分になります。(日本整形外科学会のWeb http://www.joa.or.jp/jp/public/sick/condition/groin_pain.html から引用)
簡単にいえば股関節周辺が痛む症状のことを指します。古くは中田英寿、中村俊輔、中山雅史も患った症状です。
この症状への対処は大きくわけて、手術と保存療法に分かれます。保存療法とは、リハビリテーションやマッサージ、トレーニングで症状の緩和を目指す方向性で、最近では安易にメスをいれることなく、保存療法を選択するケースも増えているとのことです。
上記にもあるように、鼠径部痛と一言でいっても様々な原因が考えられ、それを知った上での適切な対処が必要とされます。端的にいえば、痛めた箇所によって痛みが出る箇所もかわってくるということです。
タイシの一つの売りとしては、CKで強く巻いたキックがあります。このようなキックはどうも股関節への負担が強いようです。そうなると、もうあのタイシのCKは見ることができないのでしょうか・・・
タイシの主治医となる仁賀定雄医師とは
タイシはグランパスのチームドクターを選択せず、埼玉の仁賀定雄医師を選択しました。
ドクターズガイドでは以下のように記述されています。
仁賀定雄医師は、膝治療、肉離れ治療、サッカーの外傷・障害の権威であり、スポーツ医学全般に精通している。川口工業総合病院整形外科部長を経て、2003年から2011年まで、浦和レッズの常勤医師として、全ての練習、試合、遠征に帯同し、トレーナースタッフらとともに、Jリーグ優勝、アジアチャンピオンズリーグ優勝を勝ち取った選手達のメディカルサポートを担い、活躍してきた。国内の他チームJリーグ選手、プロ野球選手、柔道など色々な種目の選手をはじめとして、世界レベルで活躍する選手からの信頼も厚い。2013年5月、浦和レッズのトレーナーたちと培ってきた運動療法を、スポーツ選手だけでなく子供からお年寄りまで、地域の人に還元したいという思いで、さいたま市内に人工芝のグラウンドを併設したクリニックを開設した。
浦和レッズで長らくチームドクターをしていただけではなく、我那覇和樹選手のドーピング冤罪問題で無罪を勝ち取るために尽力した医師としても有名です。
仁賀定雄医師のグロインペイン症候群に関する論文を入手したので要約します。
- レッズのチームドクター時にグロインペイン症候群の症状を訴えるものが数名いた
- ドイツでは手術をすることに抵抗がなく、手術後の復帰も速い
- 日本人は手術後、早くて1ヶ月、時間がかかると2から3ヶ月かかってしまうことも多い
- その差は体幹の強さの違い
- スポーツヘルニアであれば手術が適切だが恥骨結合炎であれば長期安静が必要
- しかし、グロインペイン症候群の痛みの原因が特定できるのはわずか15%程度
- バルセロナのチームドクターは適当(意訳です)で、原因特定できないまま手術を繰り返して不良例を出している
- 2001年以降は、明らかな器質的疾患が見出せない鼠径周辺部痛については、鼠径部痛症候群と診断し、保存的に治療することにしており、成果を挙げられている
仁賀定雄医師を選択した、ということは、保存療法を選択するということです。時間はかかるとは思いますが、またタイシのプレーが見れるようになって欲しいです。
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