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2019年ルヴァンカップグループステージ 第1節神戸戦ミニレビュー “Episode I: A New Hope”

ここ数年、ルヴァンカップに出場できたとしても苦しいゲームがほとんどだった。

去年の第1節は、成瀬竣平、荻野滉大のような新しい戦力の台頭はあったものの、結果が伴わなかった。前半に4点を失い、前半途中に荻野滉大も交代させられるなど、現実を見せつけられた。そのあとも若手と控え中心で臨んだ試合は3連敗。

第4節にやっと初勝利をあげるものの、最終的にはグループステージ敗退におわった。

「でも今年は違う!」毎年そう思って、カップ戦に臨んだが、まだ栄冠はグランパスに輝かない。

新しい希望

今年も、「今年は違う!」と言わせて貰おう。開幕戦、第2戦に先発していた選手のなかでこの日の先発に含まれていた選手は僅かに2人、相馬勇紀と前田直輝だけだ。それだけリーグ戦への影響を少なくしたスターティングメンバーにも関わらず、ここまで期待できるメンバーがいたことがあっただろうか。

試合展開は、序盤こそグランパスが押し込むことができる展開になっていたが、ヴィッセル神戸がグランパス攻略の定番「サイドバックの裏にロングボールを蹴り込む」を戦術として採用してきたことで、20分くらいから左右のサイドを破られまくった。特に金井貢史の左サイドが深刻だった。小川慶治朗のスピードについていけないシーンもあり、度々チャンスを作られていた。

一度守勢に回ってしまうと、それを修正しづらいのが経験の少ない選手のつらいところだ。攻撃が中途半端になってしまった原因は、選手の意識がカウンターが続いたことで後ろ向きになっていたことだった。

http://nagoya-grampus.jp/game/result/2019/0306/report_ybc_c_1vs_1.html

Q:ハーフタイムに「駆け引きをする」と選手に伝えられたそうですが、具体的にどのようなことを指示したのでしょうか?

風間八宏監督:二つですね。一つは自分たちが攻撃を仕掛ける時に、横の方向でもらうばかりになって前で受けられなくなっていた。立ち上がりはすごく前で受けられていたので、そこでの駆け引きが一つ。もう一つは敵を受け入れてしまう、ロングボールに対して自分たちが先に下がって(相手が)フリーになってしまう。そこのところで自分たちの距離でサッカーをすることとはどういうことか、前の選手、後ろの選手がその前に駆け引きして相手にポジションを取らせない。あまりにも早く受け入れすぎている時間、これが良くなかったので、そのことを伝えました。後半はすごく良くやってくれたと思います。

監督コメントにもあったように、立ち上がりは縦に出すことができていたボールが徐々に縦に出せなくなっていた。攻撃が遅い。これが前半途中からリズムがつかめなくなった原因として大きいだろう。

そして、前田直輝と使いたい場所が被ってしまっていた杉森考起。彼も多くのチャンスを作り出したが、ここには手を入れる必要があった。

榎本大輝を入れた意味

杉森考起も、前田直輝も高い位置で貰って決める、というよりも低い位置から持ち上がる選手。そうなると持ち上がることができなくなったら右サイドが「後ろ向きに重心が重くなる」ことになってしまう。

だったら、そこに前に前に行く選手を入れればバランスが変わるはず。

榎本大輝を入れた布陣にはこんな意味があったのではないか、と思っている。

決壊

榎本大輝は、この日、全体練習に復帰して3日目。そのせいか、最初の何プレーかは、どうにもおっかなびっくりな感じだった。ポジショニングもかなりフリーな感じで、それまで杉森考起・前田直輝・菅原由勢のトリオでなんとか守っていた右サイドのバランスが崩れた。

右サイドのカウンターで、それまで1対1は巧みに制していた菅原由勢が引き出されると、2枚目、3枚目の動きでウェリントンの先制。小林裕紀と櫛引一紀を責める向きもあるが、あの瞬間はずっとカバリングをしていた菅原由勢がつり出された瞬間に、誰が裏に入った選手をカバーをするのか、完全に曖昧になってしまっていた。つり出されたのにクロスを簡単にいれさせてしまった菅原由勢を含めて、DF陣全員の失点だった。まさに決壊といっていい。

名古屋の逆襲

先制もされ、意図したバランスも作用しないことを見た監督は、次の手に出た。前線で激しく動き、前にパスコースを作れる赤崎秀平の投入である。

結果的には監督の意図はここで成就した。赤崎秀平が前線にいることでチーム全体のベクトルが前向きに変わったのである。

神戸はリードもしているので無理して攻める必要がないので、この時間は神戸のポゼッションになる。

しかし赤崎秀平が前でパスを引き出す動きをする。パスコースができたことで、フィニッシュまではたどり着かないまでも、縦に進むプレーが増える。

そこで神戸のリージョは運動量の落ちていた那須に代えて、本来ストッパーを務める大崎が中盤の底に入る。赤崎秀平を抑えようという狙いが見えた。

そこで風間八宏監督は最後のカードを切る。前に持ち上がる能力に長けた和泉竜司を投入する。赤崎秀平のところまで持ち込めないボールを和泉竜司が持ち上がる。左サイドが相馬勇紀と合わせて活性化されることになる。

 

同点、そして逆転!

和泉竜司に注意を取られれば相手のバランスがいったん崩れることになる。その隙に逆サイドを榎本大輝がドリブルで切り裂く。そしてPKゲット。

同点のPK以降はバランスの崩れたヴィッセル神戸を左右から攻めたてて名古屋の時間にした。伊藤洋輝の弾丸FK、小林裕紀が珍しく強引にドリブルで持ち込んだPK奪取。見せ場だらけのラスト10分だった。

AT5分にPKを奪われるが、それはアンラッキーだった。あのプレーで和泉竜司を責めることなんかできない。

引き分けで終わったからといって、少しも価値が落ちることのない試合だった。

男子三日会わざれば刮目してみよ

この日の名古屋を見て、この成語を思い出した。それくらい、従来のイメージを覆した選手が多かったからだ。新しい戦力以外にも、多くの昔からいる選手がこの試合には先発をしていた。

一番に取り上げたいのは長谷川アーリアジャスール。

昨年度第3節に病気で欠場したあとに調子を崩ししてしまい、夏の大補強を行った後には出場機会を大きく減らしていた。前にボールを持ち上がる姿勢に特徴があり、長いリーチを活かしたボールキープなども魅力だし、相手陣内に持ち上がる姿勢にも特徴があった。一方で大きな体格で予想されるように、チームが守備に切り替わるときに出遅れることがあった。それがきっかけで失点に繋がることも多く、それで、心ない罵声を浴びることもあった。

この日の長谷川アーリアジャスールはフォワードでの起用になった。横浜F・マリノス時代に少し経験があるとは聞いていたが、かなり前のことであり、戦前は不安はあった。

ところが予想に反して、前線で常に起点となって周囲を活かすプレーを見せてくれた。恵まれた体格を生かしてボールを収めて、出す。サイドまで含めていろいろなところに顔を出してボールの収まりどころになる。まだまだアラは見えたが初実戦なら十分ではないか。

長谷川アーリアジャスールには、是非「俺はやれるんだぞ!」ともっとアピールをして欲しい。

ベテランの武田洋平でさえ、良い準備ができ、成長していることを感じさせてくれた。何歳からでも成長ができるんだ、ということを示して欲しい。

見つけた課題を活かせ

PK2点をとったとはいえ、まだまだ相馬にも課題が見つかった。相変わらずプレーの選択が縦の突破に頼ることも多く、バリエーションが少ない。一朝一夕で変われるものではないが、PKといっても2得点に絡んだことは自信になるだろう。

前田直輝もまだまだできるはず。左サイドにいるときはあれだけ右サイドにも顔をだしていたのに、右サイドにいるときはあまりにも幅が少ない。あのメンバーのなかでは前田直輝が経験の少ない選手たちを引っ張って欲しいというのは贅沢な願いだろうか。あの時点では、使われる側に徹していたようにも思える。使われるだけなら、うまく使えるように、使いやすい場所にいてあげることができるようになって欲しい。さもなくばどうやったら杉森考起をもっと使えたのか。前田直輝が遠慮しているだけでは、お互いに自滅するだけだ。

伊藤洋輝も大器の片鱗を十分に見せてくれた。弾丸FKも素晴らしかったし、攻撃面では積極的なシュートも見えた。ただ、セントラルの仕事というのは、攻守一体であってこそ輝ける。守備の際にはポジショニングが悪く、守備に遅れて入るシーンが多かった。終盤脚を攣らせてしまったが、その原因はムリに滑って守備をしたりしていたからではないか。決死のスライディングは決まる分にはいいが、確実にスタミナを奪っていく。ポジショニングは確実に彼が乗り越えなければいけない課題として突きつけられた。

菅原由勢も素晴らしい守備を見せてくれた。しかしよく見て欲しい。局面の守備は全部後ろ向き、自陣のゴールに向かってギリギリのプレーをこなしただけに過ぎない。この先、宮原和也を超えて日本代表に登り詰めようと言うならば、あそこまでギリギリの守備になる事態は避けられるように守備で引っ張っていくようにしなければならない。そして代表レベルのサイドバックを志すのであれば攻撃も改善できなければならない。宮原和也を仮想ライバルとするならば、間違いなくクロスの質、サイドをえぐるプレー、カットインなど、現代のサイドバックに求められる全てのプレーを改善して欲しい。

榎本大輝はまだまだ100パーセントには程遠いコンディションながらも、ゴール前では怖さを魅せた。しかし、トップに入ったときに、全部勝負のプレーしかないのは相手にとって読みやすい。読んでいてもぶっちぎれるドリブルを身につけるか、そうじゃなければ相手を迷わせる選択肢を身につけるか。相馬勇紀と比べて、ドリブル以外のテクニックもフィジカルもないのなら、ドリブルとスピードを磨くしかない。ソレが出来るのではと、期待している。

それぞれ課題はたくさん洗い出せた。あとは改善するだけだ。

ただ、今日のメンバーが、これは絶対ガンバ大阪戦のスタメンになる!と手放しで褒められる選手がいなかったことも事実。
レギュラーと同じ戦いかたをしながらも、精度の面で差がみえた。

ただ絶対無理な壁ではない。きっと乗り越えられると信じている。

伊藤洋輝の心を打ったサポーター

既に見た方も多いかもしれない、伊藤洋輝のインスタ。

平日で雨の中、最高の雰囲気を作り出してくれたサポーターの皆さんに感謝しています。アップから応援の迫力に驚きました。昨日は引き分けに終わってしまいましたが、これからも試合は続くので、勝利を一緒に喜び合えるように頑張ります!

雨のなか、13000を超える入場もあっただけではなく、おそらく試合後、引き分けで罵声を浴びるのではないか、と予想したなかで、この応援。これが彼の心を打ったのではないかと思う。

とてもいい空気が作れているとは感じた。

私自身も間際で勝ち点2を失ったゲームではあるが、不思議と嫌な気分にはならなかった。

この日の選手たちは、自分に与えられたチャンスを活かそうと、必死で戦った。

その選手を責める気持ちにはならないし、それどころか賞賛したい気持ちで一杯だ。ゴール裏のみなさんも、きっと近い想いでこのチャントを歌ってくれたのではないか、と思っている。

こんなに楽しいルヴァンカップは初めてだ。この新しい希望に感謝したい。

また次のルヴァンカップの試合が楽しみになっている自分がいる。

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About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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