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シュート分布に基づくチーム評価:2019年J1第12節川崎フロンターレ戦プレビュー

ご無沙汰しております.ゆるグラファミリーのコナカ(@konakalab https://twitter.com/konakalab)です.グランパスでは今期から「サポーター」改め「ファミリー」なんですね.「フットボール批評24」の大森氏のインタビュー記事で覚えました.積極的に使っていく所存です.

さて,今日もシュート位置によるチームの評価(簡易版ゴール期待値)と,それに基づくマッチプレビュー,川崎フロンターレ対名古屋グランパス戦をお届けしたいと思います.(以降両チームを川崎,名古屋と呼称します.)

(データに関する注意:シュート位置のデータはFootball Lab(http://www.football-lab.jp/)の各試合結果から取得しました.オウンゴールはシュートには含まれていません.また,データの解釈はソースコードを読んだ私の理解に基づくものなので,誤りがある可能性があります.)

(簡易版)ゴール期待値とは?

再掲になりますが念のため定義をここで.

シュートは打たれたときの位置や選手の配置によって得点につながりやすいかどうかが異なります.ゴール正面の近くから打たれたシュートは得点になりやすく,ロングシュートはめったにゴールに入りません.シュートの成功率に関わりそうな条件のうち,シュートを打った位置のみについて,過去その付近のシュートがどの程度の割合でゴールになったのか,を集計したものを簡易版ゴール期待値(simplified eXpected Goals, sxG)と定義します.期待値を色で表したヒートマップは以前の記事(https://grapo.net/2019/04/24/9680/)をご覧ください.

川崎ー名古屋の一戦は今期のJ1屈指の対戦である!(ゴール期待値で評価すると)

先に名古屋ではなく対戦相手である川崎に言及してしまうのですが,簡易版ゴール期待値(≒シュート位置の分布と量)で評価すると,川崎は現在のJ1で最高のチームです.下図をご覧ください.

図:得失点期待値.横軸:1試合あたりの得点期待値,縦軸:1試合あたりの失点期待値
図:得失点期待値.横軸:1試合あたりの得点期待値,縦軸:1試合あたりの失点期待値

右下にあるほど,チャンスを多く作っており(相手ゴール近くでのシュートが多い)かつピンチが少ない(自ゴール近くでのシュートが少ない)チームです.川崎は攻撃(1.43sxG/試合,3位)の良さもさることながら,守備(0.76sxG/試合,1位)がJ1で突出した水準にあることがわかります.対する名古屋は攻撃が1.50sxG/試合(2位)と若干上回っていますが,守備は1.00sxG/試合(3位)と川崎とは若干の開きがあります.それでもリーグ3位で相当に優秀ではあるのですが.両チームの守備(被シュートと実失点)については次節でもう少し詳しく示します.

ゴール期待値,とくに得点は,ボール保持時にいかにゴールまでボールを運ぶかの意図と技術が伴っていないと増加しません(そのはず・・・).両チームともにボール保持からの攻撃を意図し,高度な技術を伴って実践していることが期待値に反映されています.この観点から,川崎ー名古屋の一戦は今期のJ1屈指の対戦であると言って差し支えないと考えています.

補足:「ゴール期待値で川崎が最高評価」であることは以前のレビュー(https://grapo.net/2019/04/25/9691/)時点でもデータで出ていたので,4月末の時点でこんなツイートを投稿しました.

“フロンターレは得点期待値,失点期待値がともにとても良い水準なので,ちょっとした不運で勝点をいくらか失っているのではないか,というのが私の仮説です.” (2019年4月26日のツイート).

”フロンターレの得点期待値は3位(1.5),失点期待値は1位(0.7)です.期待値と実得点は相関があるので(2枚目),試合を重ねて運不運の影響が小さくなっていくと徐々に勝点が伸びてきて…という仮説です.” (2019年4月26日のツイート).

その後,川崎は3試合での9得点2失点.期待値と真値の差が減少傾向にあり,やっとシュートの状況に勝点が追いついてきた,と解釈できるでしょうか.

両チームの守備に注目する:シュートを撃たせても守るvsそもそもシュートを撃たせない,の対決

しかし,順位表をよく眺めている方だと,「あれ?名古屋と川崎って失点一緒じゃなかったっけ?」とお気づきでしょう.実際両チーム今のところ7失点(0.64/試合),名古屋はそのうち1失点がオウンゴールです.

守備の内容の違いを調べるために,両チームの撃たれたシュートの分布を示します.期待値は円の大きさで示します.まずは名古屋から.

名古屋に対する攻撃の簡易版ゴール期待値(2019シーズン第11節まで)
名古屋に対する攻撃の簡易版ゴール期待値(2019シーズン第11節まで)

結構深いところまで進入されており,ゴールエリア前方に被シュートの密集地帯もあります.

それに対し,次は川崎の被シュート分布.

川崎に対する攻撃の簡易版ゴール期待値(2019シーズン第11節まで)
川崎に対する攻撃の簡易版ゴール期待値(2019シーズン第11節まで)

被シュート本数がそもそも少ないうえ,ゴールエリア付近へ進入された回数も少ないようです.被シュート密集地帯も確認されません.ペナルティエリア外からの被シュートも多く,「エリアに進入できなかった対戦相手がミドルシュートを選択せざるを得なかった」のでは無いかと推測されます.

実失点とゴール期待値の差には,守備陣の貢献(または,運)などが含まれていると考えられます.失点期待値と実失点の図を示します.

横軸:1試合あたりの失点期待値,縦軸:1試合あたりの実失点.(2019シーズン第11節まで)
横軸:1試合あたりの失点期待値,縦軸:1試合あたりの実失点.(2019シーズン第11節まで)

この図中の矢印の縦方向の長さが,期待値と実失点との差を示しています.名古屋,川崎ともに矢印は下向きなので,「シュートを撃たれた位置の割には実際の失点が少ない」ことを示しています.両チーム比較すると名古屋の矢印が長く,名古屋の守備陣の頑張りがよくわかります.この統計に基づくと,「シュートを撃たせても守る名古屋」vs「そもそもシュートを撃たせない川崎」の対戦です.

ですので,ラグさんのプレビュー(https://grapo.net/2019/05/14/9884/)中にあった,

“あとはDFラインとランゲラックが頑張って4点分くらい止めれば、守備はそう破綻せずに済むはずです。”

”そこが頑張って止めるのを織り込んだ守備プランなんです!(その目は真剣だった))。”

あたりは冗談ではなくそこまで大間違いでは無いのでは….というか,既に11試合実践済みなのでは….とデータから読み取れてしまいそうなところで本稿を閉じたいと思います.ご拝読ありがとうございました.

試合,どうなりますかね.

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