クラブOBでもあり、名古屋グランパスのアカデミーダイレクター職を務める山口素弘さんが、クラブの執行役員フットボール統括に就任するプレスリリースがありました。
https://nagoya-grampus.jp/news/pressrelease/2019/1208post-1333.php
アカデミーダイレクターの山口 素弘氏が執行役員フットボール統括に就任することが決定いたしました。
執行役員フットボール統括は、トップチームとアカデミーを担当領域とし、クラブ経営の視点から、トップ・アカデミーの連携強化および中長期的な競技力の向上を担う役職となります。
なお、現在のアカデミーダイレクターの職は兼務となります。
これを見て、執行役員フットボール統括とはなんぞ?って想った人も多いでしょう。なかにはえ、「素さん、グランパスの経営陣に入ったの?」と思われた方もいるかもしれません。
では、執行役員ってなんなんでしょうか。
役員ってなに?
会社という仕組みを定義付ける「会社法」という法律があります。この法律では会社には経営者として「役員」を1人以上登録することになっています。
日本の会社法で定義されている「役員」は、「取締役・会計参与・監査役」を指します。
会社の経営方針を立て、組織を作り、業務を監視し、会社全体の方針を決める役割を持ちます。
それぞれの役員の役割は、主に以下のようになります。
- 取締役
- 会社の方針を決定し、会社を運営します。取締役の互選により、法律上の代表権を持つ「代表取締役」が決定されます。
- 取締役の任期は原則2年で、株主総会での決議により最大10年までとなります。
- 会計参与
- 取締役と共同で会社の計算書を作成します。会計参与になれるのは、税理士、税理士法人、公認会計士、監査法人に限られます。
- 監査役
- 会社の業務の執行、会計を監査します。
会社法の取締役などの役員は経営者であって従業員ではありません。そのため従業員から役員になるためには、その会社を退職しなければなりません。
取締役になれば会社の重要な意思決定を行い、業務を執するという重責を担うため収入のアップも期待できますが、退職することで従業員として保護されることはなくなります。
執行役員とはどんな役職?
執行役員には「役員」という肩書が付いていますが、会社法上の役員には該当しません。
そのため会社法上の役員でない執行役員は取締役と異なり取締役会での「議決権が与えられていません」。そのため会社の重大な方針や事項を決定する権限も持ちません。
役員でない執行役員は、部長、次長や課長といった役職の一つであり、従業員が担当できます。
ただし、執行役員は職務として取締役会などで決定された重大事項を実施するという役割を果たすことが期待されています。そのため執行役員は従業員としての最上級の役職で、役員と同等の待遇を受けられる従業員といえるでしょう。
山口素弘さんはなにを担当するのか
前述の通り、従業員としては最上級の役職に就いた、ということで、会社の経営を担う小西社長と清水専務とは違うラインで、会社としての実務=フットボールの分野での責任者となるのではないかと想像されます。
肩書きのイメージからはGMの上位のように見えますね。GMというとトップチームの全権責任者という感じですが、「フットボール統括」なら、いまの現場だけでなく、将来のチームの在り方、サッカーを通しての社会貢献などサッカーに関するすべてを小西社長に代わって目を配る役割というふうに思えます。
— PX10 (@pixie_10) December 8, 2019
これまで、@Pixie_10さんも仰っているように、GMよりも上の、経営陣からクラブとしての判断を任された立場になるのではないでしょうか。
これまで大森征之スポーツダイレクターが部長格で強化などを担当していました。おそらくこれからも実務は大森征之SDが続けるのでしょう。
しかし、ある意味これまで独断で動くことが出来ていた大森征之SDに、「ちゃんと見ているぞ」と、クラブとして重しをつけるような意味合いがある人事なのではないか、と想像しました。
これによって、グランパスの組織がよりよくなっていくと良いですね。