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知っておきたいwithコロナの時代のサポーターの新常識 (1)コロナ感染対策編

名古屋グランパスでも5人の感染者が出てしまいました。感染者を出しているチームのサポーターだからこそ、新型コロナウィルスによる感染症(COVID-19)のことを良く知っておきたいものです。今回より2回に渡ってまとめたいと思います。

知っておきたいコロナの基礎知識

感染したらどうなるの?

感染のタイムライン
感染のタイムライン 引用元:Jリーグ 新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン

感染すると、図にもあるように2日から14日(平均5日)の潜伏期間を経て発症します。厄介なのは、みんながみんな重症化するわけではなく、約20%の人だけが重症化します。

ただこの研究自体が無症状感染者がそもそも検査されていない状況でのものの可能性があるので、もしかすると重症化の数値はもっと低いかもしれません。

無症状感染者(無症状病原体保菌者)って?

新型コロナウイルスに感染しても、8割の人は無症状・症状があってもちょっとおかしいなくらいです。実際グランパスでも渡邉柊斗選手は自覚症状ゼロの感染者、宮原和也選手も1日だけ発熱して、すぐに熱は下がってしまいました。

現在感染を拡大させている方の多くは無症状感染者なのでは、という説もあります。

どうやったら感染するの?

現時点では、飛沫感染(ひまつかんせん)と接触感染の2つが考えられます。

  • (1)飛沫感染

感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つば など)と一緒にウイルスが放出され、他者がそのウイルスを口や鼻から吸い込んで感染します。

※主な感染場所:学校や劇場、満員電車などの人が多く集まる場所

  • (2)接触感染

感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りの物に触れるとウイルスが付きます。他者がその物を触るとウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触って粘膜から感染します。

※主な感染場所:電車やバスのつり革、ドアノブ、スイッチなど

引用元:国立保健医療科学院 https://h-crisis.niph.go.jp/?p=134038

無症状感染者(無症状病原体保菌者)からもうつるの?

無症状病原体保持者からの感染を示唆する報告(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2001468)もみられますが、現状では、まだ確実なことはわかっていません。通常、肺炎などを起こすウイルス感染症の場合、症状が最も強く表れる時期に、他者へウイルスをうつす可能性も最も高くなると言われています。

https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/about/transmission.html

引用元:国立保健医療科学院 https://h-crisis.niph.go.jp/?p=134038

おかしいなって思ったら?

こんな症状、特に左側があったら、まずは仕事や学校を休んでいただき、外出は控えてください。休んでいただくことはご本人のためにもなりますし、感染拡大の防止にもつながります。

COIVID-19感染の症状
COIVID-19感染の症状 引用元:公立陶生病院 感染症内科 武藤 義和氏資料

その上で、各都道府県新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センターに連絡して指示を仰ぎましょう。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19-kikokusyasessyokusya.html

ただし息苦しさなどがあったら、素直に救急 119をお勧めします。

PCR検査ってどうやるの?

PCR検査のためには検体採取という作業が必要です。

テレビで見られた方がいるかもしれませんが、鼻腔のかなり奥に綿棒をいれて採取するので、自分でやるのは危険ですし(テレビでセルフ採取キットが紹介されましたが、かなり難しいです)、正確性を考えると無理と言って良いでしょう。必ず専門医の指導のもと行います。

一部で唾液からPCR検査が行えるという報道がありましたが、行えるのは限られた機関だけで、さらに精度は鼻腔(鼻咽頭)からの検査よりも低くなります。

なんか抗原検査っていうのもあるらしいんだけど?

抗原検査は、PCR検査と異なり、ウイルスを特徴づけるたんぱく質(抗原)を調べる検査です。30分で結果が出て、しかも検査キットがもう承認されているので容易に入手可能です。

ただしウィルスの絶対量が多く必要になるので、これで陽性になっているようだと確実に罹患と言えますが、陰性だからといって必ずしも感染していないとは言えないため、現時点ではまだJリーグのような興行にはあまり向いていない可能性もあります。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html

濃厚接触者ってどうやって決めてるの?

国立感染症研究所では濃厚接触者の定義を以下のように定めています。

「濃厚接触者」とは、「患者(確定例)」(「無症状病原体保有者」を含む)の感染可能期間(発症2日前以降)に接触した者のうち、次の範囲に該当する者である。

  • 患者(確定例)と同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内等を含む)があった者
  • 適切な感染防護無しに患者(確定例)を診察、看護若しくは介護していた者
  • 患者(確定例)の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い者
  • その他:手で触れることの出来る距離(目安として1メートル)で、必要な感染予防策なしで、「患者(確定例)」と15分以上の接触があった者(周辺の環境や接触の状況等個々の状況から患者の感染性を総合的に判断する)。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9582-2019-ncov-02-qa.html

グランパスでは宮原和也の隣で弁当を食べていた選手がいたということで、その選手が濃厚接触者に当たるかどうかが争点になりましたが、宮原和也選手自体はマスクを外して食事をしなかったので、濃厚接触者に当たらないという判定になりました。

COCOAアプリって入れた方がいいの?

新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA) COVID-19 Contact-Confirming Applicationは、スマートフォン(iPhone、Android)にインストールすることができるアプリですが、知らず知らずのうちに感染者と長時間同じ場所にいた=濃厚接触の疑いなどを知らせてくれるアプリケーションです。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患の問題点として、おかしいなと思ったときに、すぐに検査などをして貰えないという問題があります。現状では検査は新型コロナウイルス罹患者との濃厚接触者を優先することになっているからです。

COCOAアプリをスマートフォンにインストールしておくことで、知らぬ間に濃厚接触していた場合に検査の予約などができるという優れものです。

インストールはiOSならAppStore、AndroidならGoogle Playストアから行うことができます。是非インストールしておきましょう。

Jリーグの観戦対策

感染予防はどうなっているの?

Jリーグでは「Jリーグ 新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン」を定めて、感染予防に取り組んでいます。

https://www.jleague.jp/img/pdf/2020_0727_17466_01.pdf

以下の7つのプロトコル(決まり事)を決めて、Jリーグのチームはそれに従って感染予防に取り組んでいます。

  • プロトコル 1 :感染予防と、感染への対処
  • プロトコル 2 :情報開示
  • プロトコル 3 :Jクラブの活動段階 と 、 公式検査
  • プロトコル 4 :サッカーのトレーニング
  • プロトコル 5 :チームの移動、宿泊
  • プロトコル 6 :無観客 での 試合開催
  • プロトコル 7 :制限付きの試合開催

特別なことはなく、皆さんがご存じの通りのことを徹底して実施することになっています。

  1. 「 3 つの密( 密閉、密集、密接 」を避ける
  2. 手洗いと咳エチケット
  3. 口・鼻・目に不用意に触れない
  4. 規則正しい生活とバランスの取れた食事

対象は別に選手だけではなく、かなり広範囲になっています。

  • すべての選手、スタッフ、及びその家族・同居人
  • 施設職員
  • メディア

選手たちが毎日やっていることって?

選手たちは毎日以下を記録しています

  1. 体温測定:起床直後・就寝前等、決まった時間での体温記録•検温時間と体温を、毎日記録していきます
  2. 問診表チェック:倦怠感、咳、咽頭痛、食欲低下の有無、睡眠時間など
  3. 上記データの提出
  4. 毎日の行動記録:食事や出向いた場所・同行者などの記録

●●選手は隠れて遊びにいっとったから感染したんだわ、なんてことはありえないということです。

情報隠蔽されていない?

名古屋グランパスの例でもわかるように、隠蔽しようにも、治療を行おうとすれば、必ず情報共有がされるので、隠蔽することはできません。Jリーグとその専門家チーム、地域アドバイザーに報告する義務があります。

以下のような場合に、必ず報告をすることになっています。

  • 自主隔離(37.5度以上発熱2日連続など)
  • PCR検査を予定している
    • Jリーグがクラブに義務づける検査については報告不要
    • 3人以上が同時に検査する場合、別にメール等による報告でよい
  • PCR検査の結果が判明した
  • 濃厚接触者指定を受けた、または疑わしい

ただし、感染者の氏名は、感染者の同意がないかぎり非公開とすることが決まっています。名古屋グランパスの場合はランゲラック、金崎夢生、宮原和也、渡邉柊斗らは同意があったため公開ですが、スタッフについては非公開です。

Jリーグの検査体制ってどうなってるの?

Jリーグでは保健所 による 積極的疫学調査 (同 15条による調査) に協力することを求めています。

それを遵守しているという前提のもとで、公式検査が行われ、約2週間に1回PCR検査を行っています。

7月10日から19日に行われた検体採取では3299件の検査が行われています。

Jリーグでは保健所を経由せずにJリーグ検査センター(JCTC)を設置して、そこで検査を行っています。

委託先は株式会社シーユーシーとそのグループです。シーユーシーはJFLや企業内のPCR検査も請け負っている会社です。

委託内容は以下の通りです。

(1)Jリーグ検査センター(JCTC)運営支援

  • JCTCオペレーションサポート
  • 緊急時対応
  • 医学的コンサルティングサポート

(2)検査業務の設計・企画

  • 基本設計(検査手法及び実施計画の作成、検査機関の選定と契約等)
  • ロジスティクス企画(検体採取キットの手配、検体の回収と輸送)
  • コミュニケーション設計(検査結果管理方法の企画)

定期的なPCR検査していれば大丈夫だよね?

PCR検査でわかるのは、あくまでも検体採取時に新型コロナウイルスに罹患しているかどうかなので、検体採取から時間が経過している場合は、その間に感染している可能性があります。検査だけでは安心することはできません。

グランパスの感染対策

グランパスの感染対策ってどうなってるの?

赤鯱新報 https://www.targma.jp/akasyachi/2020/07/29/post71288/ で取り上げられていますが、J1では2020年6月以降で選手に感染者を出している唯一のチームということでかなりの厳密な対策が採られています。一部のライターが「名古屋は反省しているように思えない」という発言をしていたこともありましたが、どっこい、かなり厳密なものです。

一部引用させていただくと

  • 検温の徹底
  • 換気の徹底
  • 消毒の徹底

というJリーグのプロトコルに加えて以下のようなガイドラインをチーム独自に設定しているようです。

  1. ロッカーを1つおきに使用してソーシャルディスタンスの確保(ロッカールームは2つ使う)
  2. 密閉空間で不特定多数の人が利用する場所への立ち入りを禁止。
  3. イベント、親睦会などへの出席は禁止。
  4. 不要不急の外出を禁止
  5. やむを得ない県外への外出の場合はチームへの報告
  6. 家族以外の客を自宅に招かない
  7. 公共交通機関を使わない

なんで100人規模で検査できるの?

JCTCの委託先、シーユーシーグループが提供しているPCR検査キットは実は、唾液ベースの検査キットになります。これが短期間に100名の検査ができた秘密です。あれ?まだ限られた機関じゃないと検査できないんでは?と思われたかもしれませんが、シーユーシー自体がこのPCR検査キットを取り扱っていることで可能になったのです。

唾液検体の採取方法
唾液検体の採取方法

引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000058142.html

鼻腔への綿棒ゴリゴリは、検査に関わる失敗のリスクが高く、二次感染の可能性も高くなっています。そのため検査にかかる時間が長くなる可能性もあります。

名古屋グランパスでは2020年7月24日、27日、29日と1週間に3回の検査を行っており、さらに今日7月31日にもJリーグ公式検査を行っています。

週に4回の検査で鼻腔への綿棒ゴリゴリをするのは選手にとっても負担は高くなります。そこで、綿棒に比べて精度は落ちても検査のしやすい唾液採取のPCR検査を採用しているのです。

実はこのキット、正式に無症状者への検査に認可されたのはJCTC設置よりも後の2020年7月17日でした。

現状ではまだ手に入りにくい検査キットを大量に手配できているのは、名古屋グランパスならではでしょうか。

検査方法の適用範囲
検査方法の適用範囲

引用元:https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000649879.pdf

後編【サポーターと試合編】に続く

About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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