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たまにはスペインの風に吹かれてみないか? あなたの知らないドリブルの世界

この1年ですっかりイタリアの風に染まった我らがグランパス。堅守速攻はハマったときに気持ちいいんですが、いまのグランパスには堅守以外のウリがあるじゃないですか。そう、グランパスにはドリブルの得意な「三本鎗」(マテウス・前田直輝・相馬勇紀)がいるじゃないですか!

今日は小ネタということで、そのドリブルについて、スペイン風の解釈を紹介していきましょう。

ドリブルには種類がある

ドリブルって、え?ドリブルですよね?榎本大輝とかが大好きなヤツ。普通の人はそう思いますよね。

スペインではドリブルを「ピッチの中でボールを支配し、コントロールするためプレーヤーがとる技術的アクション」と定義しているそうです。

そのため、厳密に言うと3種類、ボールのキープ(protección:プロテクシオン)、突破のドリブル(Regate:レガテ)と、運ぶドリブル( conducción:コンドゥクシオン )に分類できます。ボールキープがドリブルの仲間になっちゃうんですね。

ぼくらのイメージでのドリブルも大きくわけると突破のドリブルと運ぶドリブルの2種類がある、とされています。

突破のドリブル:レガテ

レガテは「駆け引き」という原語の意味から、サッカーでは相手を抜き去るドリブルを指します。

レガテは基本的に1:1の状況で行います。グランパスの三本鎗はみな、このプレーが得意です。

まずは、このマテウスのドリブルを見てもらいましょう。

レガテにはだいたい3つの要素があると言われています。

  1. スピードの緩急
  2. フェイント
  3. 急激な方向転換やターン

この動画に含まれているマテウスのプレーにはこの全ての要素が含まれています。スピードの緩急、フェイント、方向転換、これらを駆使して4人までを抜いています。ただ、最終的にはさらに3人に囲まれて奪われていますが、どんな名手でもレガテだけで抜けるのは2,3人がせいぜいです。1:1の状況を作り出せていないというのがこのシーンがビッグチャンスにならなかった原因です。

では、どうやったら1:1の状況が作り出しやすいのでしょうか。

運ぶドリブル:コンドゥクシオン

コンドゥクシオンは「運転」。ボールを運ぶというイメージがしやすい言葉ではないでしょうか。

コンドゥクシオンもさらに3つに分けられるそうです。

前進するドリブル conducción para progresar

前進するドリブルは、自分の前にスペースがあるとき、ドリブルで前にボールを運び、次のゾーンへ侵入するドリブルを指します。

ここで思い出して欲しいのが、丸山祐市がボールをキープしながら、ゆっくりとドリブルして、守備ラインを押し上げて行くことです。そこで激しくプレスをかけてくることもありますが、横に回しながら少しずつ押し上げていき、ボールをゴールから遠ざけていきます。ボールを保持するゾーンを押し上げる効果があります。

引きつけるドリブル conducción para fijar

「fijar」は引きつけるという意味です。引き付けるドリブルは、相手をおびき寄せてスペースを生み出すドリブルです。

レガテを仕掛ける選手にマークが集中しないようにするには、誰かが選手を1人以上引きつけるしかありません。たとえばライン際をドリブルで持ち上がるということは、相手のサイドの選手と、多くの場合はセントラルMFの選手がマークします。下図で言えばシャビエルが持ち上がることで菅大輝と宮澤裕樹を引きつけています。この状態で前にいる前田直輝に浮き球のスルーパスを出せれば、前田直輝は福森晃斗と1:1。思う存分レガテを仕掛けることができるわけです。

引き付けるドリブル conducción para fijarの例
引き付けるドリブル conducción para fijarの例

一方で、シャビエルが引きつけずに、ただロングフィードをしたら、前田直輝は菅大輝と福森晃斗に挟まれてしまいます。これではレガテが成功する可能性は低くなります。

引きつけない場合
引きつけない場合

割って入るドリブル conducción para dividir

ボールホルダー(保持者)に対して、あまりプレッシャーがきつくないことがあります。たとえば川崎フロンターレ戦の前半などです。

特に中谷進之介がよく魅せるプレーなのですが、相手のプレッシャーがキツくないと見るや、相手の守備ゾーン(相手FWやサイドハーフの間)をグイグイとドリブルで持ち上がります。するとこちらのバランスを崩すことで、別のゾーンでは数的優位を作ることができます。

割って入るドリブル conducción para dividirの例
割って入るドリブル conducción para dividirの例

実はグランパスにはコンドゥクシオン、特に「引きつけるドリブル」が得意な選手がいます。そう、我らが10番ガブリエル・シャビエルです。たまにTwitterでも「シャビエルは相手を抜けないから」みたいなことを言う人がいますが、2017年初来日時にグランパスが助けられたのは、ろくにビルドアップもできないなかで、シャビエルがボールを敵陣に運んでくれた(ついでにフィニッシュにも絡む)、ということを思い出して欲しいところです。

ドリブルの適切な使い分け

スペインでは2種類のドリブルを状況によって使い分ける判断が重要視されています。

今、突破するべきときか? 運ぶべきときか? の判断基準を把握していなければ、意味もなくボールを失うことに繋がります。

ディフェンスラインで「レガテ」をして奪われた場合、どのようなことが起きるでしょうか?

相手が自分の目の前に多くいてスペースがない時に「コンドゥクシオン」を使用したら何が起きるのか?

これをきちんと判断できることが必要です。

スペインの教本ではドリブルを選択する際には以下のような判断基準を持つように説明がされているそうです。

  1. 敵のアクションを困難にさせるため、ボールの方向を変える
  2. よりボールを速く運ぶためにアウトサイドでボールを運ぶ
  3. 敵のアクションからボールを守るため
  4. 顔を上げてボールを運ぶ
  5. 相手の距離しだいで遠い足または近い足でボールを運ぶ
  6. 相手にマークされていたらボールを運ばない
  7. 空いてるスペースにボールを運ぶように導く
  8. ゾーンによってボールを運ぶか運ばないか決まる

ドリブルに限らず、原理原則を知ることで、サッカーの試合で活かせる=サッカーを知っている「賢い」選手になります。

こういった意味で、賢い選手がグランパスに増えてくれることを祈っています。

参考URL

About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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