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壁を崩した 2020年J1リーグ第34節サンフレッチェ広島戦レビュー #grampus #sanfrecce

まずはこの異例のシーズンを走り抜けたチームに感謝を。サッカーがあったから折れそうな心がなんとかなった。下を向きそうでも頑張れた。と言う人達も沢山いたはず。

密集、展開、個の力を覚えた春。名古屋の城砦が現れた夏。1トップに助けられた秋、点で合わせる事に挑んだ冬。

そんな一年間の総仕上げ。90分間ピッチでは選手達が春夏秋冬で蓄えた手札を切り続けた。

配置&スタメン

名古屋は山崎が復帰し0トップが終わった。広島はプレビュー通りの3421。名古屋のサイドが突っ込めば自然と1.5列目の選手が自由になるスペースが空く配置だ。

両チームのスターティングメンバー

広島の枠組み

3バック+青山で名古屋の前線4枚がプレスすると不利になるようにセット。相手に構えさせてマテウスと相馬が浅野や森嶋を気にすれば大外にボールを配球。外に食いつけば浅野と森島のパスコースが空くように仕向けた。

広島の用意した枠組み

当然、浅野や森島がフリーになることを恐れる為、名古屋の両センター(稲垣、米本)はその二人を見張ることになる。そうすると広島の二人(浅野、森島)は名古屋のサイドバックに近い位置に寄り名古屋の選手を動かす。名古屋の選手を横に広げる事で中央に脅威を持たせた。開始8分にコーナーを取った攻めが印象的だった。

名古屋はこれに手こずり、相馬、吉田、稲垣が茶島1人に詰めに行って、最終ラインと中央にぽっかり穴が空く。なんてことが頻繁に起きた。90分間で修正できなかった事だったが、そこで点を取られなかったのが唯一の救いだった。

真ん中がぽっかり空く
一方守備では前半から食いついてくる場面が多く(それも飲水タイムまで)、名古屋としては久しぶりに密集を作りやすい形に。しかし、その後の広島の対応が徹底していた。最終ラインを広げサイドに対応。その隙間に川辺と青山で鍵をかけた。

少しでも攻撃が遅れたら最終ラインが7枚あるかのような壁を作り出し、名古屋の攻撃を防いだ。この試合は名古屋の選手達はアイデアや点で合わせる勝負をかなりの回数チャレンジしていたが、中々スタジアムのため息が歓声に変わることはなかった。
サンフレッチェ広島の守備

一方名古屋は…

広島が飲水タイムまでは、名古屋がボールを持つと食いついてくれることもあり密集を抜け出し逆へ展開。相馬が良い抜け出しをすることもあったが広島の7枚壁に阻まれた。

しかし、壁を作る。引いて守る事を意識しすぎる為にペナルティエリアの外が空き、その結果名古屋は積極的にミドルを打つ選択をした。
ペナルティエリアの外が空く
また広島のセンターが2枚しかいないので相馬やマテウスは中央に寄る選択をした。中央に寄れば広島の大外の選手はサイドバックの上下を見る為、他の役割に回ることができない

山﨑凌吾をデコイにボールを進める

密集を作って展開して個人の力で殴るのも上手くいかなかったが、名古屋は0トップで培ったアイデア勝負、点で合わせる事で、壁を崩しにかかった。幾度となく繰り返されるチャレンジ。しかし実らない。スタジアムにいた人なら分かると思うが、実らない「チャレンジ」に対する漏れ出てはならないはずのため息が久しぶりにかなり大きく聞こえた。

壁を崩した名古屋

84分の得点シーン。稲垣の守備から7対7が出来る。ここでも広島は最終ラインが6枚。マテウスがボールを持ちながら前進した結果広島の最終ラインにミスが出た。

マテウスに3枚食い付いて鍵をかけてるスペースに穴が出来た。

そこから吉田にパスが渡り(SNSで吉田がなぜそこに!という話もあったので説明すると、稲垣とタスクを瞬間的に入れ替えただけ。しかし、それを瞬時にこなすのがお互いの技術の高さを感じる。)

球が横にスライドしたため広島の選手は最終ラインを整える時間が。最終ラインを整えた先が広島は完結してしまう為、広島の選手はそこで動きが止まった。その瞬間、山崎がボールを受けながら前田のシュートコースを完璧に開けて時間を作った。

山崎は稲垣がボールを持った時点で前田が外にいる事を確認している。前田に2枚付かないように山崎はあくまで前田の1枚内側に居続けた。(同じポジションに直前まで相馬が立っている。)クロスが入る事も考えてニアサイドへ走り出すストライカーもいる中でボールを受ける何手も前から山崎は前田を活かす準備をしていた
山崎のサッカー選手としてのプライドというか意地をあの受け方で見た気がした。
山﨑凌吾が作った時間と空間

時間と空間を造る天才:山崎凌吾

前半の相馬のシュート。そして前田の決勝点。全てのキープレイは山崎凌吾から生まれている。相馬のシュートのシーンは稲垣がパスをもらうと詰められそうなのをいち早く察知し降りる準備をした。このシーンでは相馬が察知し中央でもらうことも出来たが、相馬の良さを活かすため自らボールを受けにいった。

0トップでは選手同士がコンマ数秒の世界の中で点で合わせる為、試合中に擦り合わせができないと得点の匂いがしなかった。しかし、山崎が入りボールをキープできる事でそのコンマ数秒の世界が数秒長くなった。

その数秒を作ってもらえる事で輝くのが相馬や前田だろう。彼らは点で合わせる事に長けているとは言いづらい。実際0トップの時は前田はハマらなかったといってもいいぐらいだろう。

しかし、数秒時間ができて、数秒ヘイト(敵視)をかってくれる。相手の視線や意識が外れる時間が数秒出来れば自分の得意な状況に持っていきやすい。前田の得点は点でプレーする事に長けたシャビや阿部では起きなかった得点ではないだろうか。

まとめ

1トップになり密集から展開する速い攻撃。0トップで培った「チャレンジ」。主体性のあるチームと闘い経験を得た「気合の守備」全部が詰まった最終節。名古屋グランパスがこの異例のシーズンで培った経験を全部モノにした結果がACL出場可能圏内につながったのだと思う。経験値をレベルアップに使えました!と胸を張って言えるのは何時ぶりだろうか。

1年だけじゃなくいままでレベルアップできなかった分もまとめてレベルアップした今シーズン。来シーズンのレベルアップの経験値をためる旅がまた始まる。

さいごに

レビューの話からはそれますが、1シーズン通して何処の誰かもわからないような自分のレビューを暖かく受け入れていただき、ありがとうございました。

毎試合反応をくれたグラぽを見てくださる皆さんに本当に感謝しています。

皆さんから反応をいただく度に自分も成長する事ができました。

グラぽの他の素晴らしい筆者や他媒体のブロガーの方々と違い、自分はデータに強いわけでも、文才があるわけでもありません。隣の芝生が青く見え、自分の特徴のない文章に悔しさで唇を噛み締めた事も沢山ありました。

そんな中でくじけなかったのは、勝敗に関わらず「サッカーを理解する事の楽しさ」や「ピッチで起きてる事のおもしろさ」を伝えたいと言う気持ちが支えでした。

レビューを通して少しだけでもその「楽しさ」や「おもしろさ」が伝わっていたら嬉しく思います。

Jリーグはこれからオフシーズンになります。その期間でまたパワーアップして来シーズン機会があればまたこのグラぽでその姿を見せれたらと思います。

シーズンお付き合い頂き、本当にありがとうございました。

see you next season!

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