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知られざるシャチの世界

名古屋グランパス。そのグランパスとはなんなのか。2回に渡り、お送りする。

飛ぶシャチ
飛ぶシャチ

シャチなの?グランパスなの?

日本語でシャチと呼ばれる生き物は、キラー・ホエールと英語では呼ばれます。ホエールと名前がつくので想像つくかもしれませんが「クジラ」の一種と考えることができます。

クジラには2種類います。

  • くじらひげで小魚やプランクトンを濾して食べるヒゲクジラ
  • 歯を持っていて、イカなどを食べるハクジラ

そう、歯があるのです。

鋭い歯
鋭い歯

ハクジラはさらにマッコウクジラやカワイルカ、マイルカに分類され、そのマイルカの一種としてシャチが存在しています。シャチは小型のクジラなのです。

え?じゃあグランパスって?

あれ?キラー・ホエールでグランパスじゃないの?って思いますよね。

そこで調べてみました。

https://www.britannica.com/animal/grampus-mammal

百科事典で有名な「ブリタニカ」で調べてみました。

The term grampus is derived from the Latin terms for “great” (grandis) and “fish” (piscis), and it has been applied over the centuries to many large fish and also to some other cetaceans—including the killer whale (Orcinus orca), which is also a member of the family Delphinidae.

グランパスという用語は、ラテン語で「偉大な」(grandis)と「魚」(piscis)を意味する用語から派生したもので、何世紀にもわたって多くの大きな魚や、シャチ(Orcinus orca)を含むいくつかの他の鯨類にも適用されています(マイルカ(外洋性イルカ)の一種でもあります)。

なんと「偉大な魚」という意味だったのですね!

ただ、グランパスという言葉が使われていた頃は、今のようにクジラやイルカを細かく分類して、なんてことはできませんでした。おそらく小型のクジラ・イルカを総称して呼んでいたようです。

現在ではシャチに近い種類でもある同じマイルカ科の「ハナゴンドウ」の学名として使われています。

ほかの呼び方はあるの?

キラー・ホエールのほかには、逆叉(さかまた)という呼び名があります。叉というのは矛の一種で、先が分かれている種類のものを指します。

叉の一種
叉の一種

画像引用元:釵 (サイ) ブラック 筆架叉

シャチの背びれがピンと立っている様子が叉を逆さに海面に刺しているかのように見えるから、ということのようです。

もう1つカッコいい呼び名がありました。

アイヌ語のレプン・カムイ(=沖の神)という呼び名です。比較的寒い北海道沖に棲息していることの多いシャチなので、その頃から知られていたのでしょう。

「レプ=沖」、「ウン=いる」、「カムイ=神」の3つの語を繋げて『沖の神』を意味するレプンカムイは、アイヌの海において最高位の存在です。

その姿はシャチであると伝えられ、またシャチそのものが神と見なされています。

「海の王者」というとクジラも候補に上がりますが、何故アイヌ文化においてはシャチが優位とされるのでしょうか?

シャチはご存知の通り獰猛で、様々な魚を容易く捕まえてしまいます。時にはクジラをも獲物とし、人間の住む浜辺へ座礁させることもありました。量も栄養も豊富なクジラ肉は、人間にとってご馳走。

そんな海の幸をもたらしてくれるシャチに人々は感謝し、憧れの念を持って称えました。

引用元:レプンカムイ-カムイ

実は○○と仲間!?

シャチやクジラ・イルカは、人間と同じ哺乳類です。では陸上にいる動物となにが近いのでしょうか。

実は鯨偶蹄目という分類がされています。

鯨偶蹄目は大きく分けて、

  • ラクダ
  • イノシシ
  • ウシ
  • カバ
  • クジラ

で構成されています。

偶蹄目は、足先に「ひづめ」を持つことが特徴です。

え!シャチにひづめ?

シャチのヒレ
シャチのヒレ

シャチのこのヒレの部分がひづめ?!ちょっと信じがたいですね。

シャチの骨格
シャチの骨格

こうしてみると、ヒレのなかに人間であれば指にも似た、骨格がしっかりとあるのがわかります。

鯨偶蹄目のなかでも一番近縁なのがカバだそうです。カバの骨格を見てみると・・・。

なんと!なんだかそれっぽいです。

Wikipediaを見ると、最近の研究でこんな知見が現在ではもたらされているようです。

  • 水生。特に、カバと初期のクジラは淡水生である。
  • 水中で育児をする。
  • ほとんど毛がない(カバはほとんど無毛、クジラは一部の種を除き完全に無毛である)。
  • 皮脂腺がない。
  • 水中で音を使ってコミュニケートする。
  • 睾丸は陰嚢にない(カバでは鼠蹊部、クジラでは腹腔内にある)。
  • 複胃を持つ。

鯨偶蹄目 – Wikipedia

へえへえへえ!たしかに共通点があります。

遠い昔、淡水(地上の水)に残ったのがカバ、海に行ったものがクジラだったんですね。

知られざるシャチの生態

シャチは家族を愛する

ナショナル ジオグラフィックでは、アザラシを跳ね上げて気絶させる姿が放映されています。

たしかに、尾びれのキックは強力です。

シャチのオーバーヘッドキック
シャチのオーバーヘッドキック

トン単位の身体を、水から跳ね上げて宙返りができる、というのはとんでもないチカラです。これではねられたアザラシはひとたまりもないでしょう。

動画では「残虐」と取り上げていますが、実はコレ、最近の研究では群れのなかの子供たちに、強烈な衝撃を与えてフラフラに弱らせたアザラシを使って狩りを教えるのだそうです。(出典:北海道大学北方生物圏フィールド科学センター談)決してオードブルで遊んでいるわけではないのです。

ちなみに上級編としては親が起こした波で海氷の上にいるアザラシを落として、それを捕まえさせるということをするようです。元気な若いシャチは海氷の上に乗っかってキックで落として食べる、なんてことをするものもいるらしいのですが、戻れなくなる可能性もあるので、子供にはそんな捕まえさせ方はしないということです。

これらの食べ方のテクニックは、最近の研究では「群れに固有」のやり方があるのだそうです。群れごとに固有の狩りの仕方を代々引き継いでいくっていうところは、家族を重視する哺乳類っぽいところですね。

シャチは群れを作る

群れ=ポッドは小さいものだと5頭くらいから、大きいものだと30匹くらいで構成される、血縁関係にあるファミリーです。群れのリーダーはメスが務めます。実はメスのほうが寿命がはるかに長く、オスは30年前後で寿命を迎えてしまうようです。そのあたりも影響しているかもしれませんね。

群れの集合がコミュニティと言われ、ときには数百匹にものぼる大きなコミュニティを作ることもあるそうです。

バンクーバー島周辺の海域では、1年中そこで生活し、主として魚類を食べている定住型と呼ばれる個体と、海洋を移動しながらおもに海獣類を食べ、沿岸域にはときおり立ち寄る回遊型と呼ばれる個体が知られている。そして定住型では、すべての個体が母親のポッドで一生を過ごし、親密なポッドがいくつか集まって1つのコミュニティをつくり、子を産み育てている。交尾はポッド間で起こり、同じコミュニティのなかの複数のポッドが一時的に合流したときに行われるらしい。バンクーバー島周辺には、このような定住型のコミュニティが2つ知られているが、両者のあいだには繁殖のための交流は行われていない。

引用元:シャチとは – 生態や形態の特徴解説

日本近海には定住型のコミュニティはなく、すべて回遊型の群れだけだそうです。

シャチのオスとメスの見分け方

メスのシャチ(背びれ小さくてカーブを描いている)
メスのシャチ(背びれ小さくてカーブを描いている)

シャチのオスの背びれは最大で1.8m程度まで成長するのだそうです。

鴨川シーワールドで展示されているシャチ(写真)は小さく、メスであることがわかります。

シャチのオスとメスの背びれの違い
シャチのオスとメスの背びれの違い

画像引用元:シャチってどんな動物? / カナダ・ハンソン島で野生シャチの鳴き声の分析を続けたい! – クラウドファンディング READYFOR (レディーフォー)

メスとオスではこれくらい背びれが違うのです。こうしてみると「逆叉」と呼ばれたのもわかる気がします。

シャチが水族館で見られるのは、あと30年くらいかもしれない

世界的にイルカやシャチの水族館展示を止めようという流れがあります。

既にヨーロッパ・アメリカなどでは新規のシャチ受け入れを停止しており、展示も止めています。

鴨川シーワールドのラビーとルーナ
鴨川シーワールドのラビーとルーナ

現在日本にいるシャチは7頭。

日本のシャチ家系図(2021年)
日本のシャチ家系図(2021年)

すでに外国から新しいシャチを連れてくることはできません。

しかもほとんどのシャチがステラの血が入っており、近親婚になってしまうために新しいシャチが生まれることも難しくなっています。

このままいくと、リンとルーナが寿命を迎える30年後くらいには、もうシャチを見るためには知床羅臼のシャチウォッチングツアーにいかないと見ることができなくなりそうです。

知床ネイチャークルーズ | クジラ・イルカ・バードウォッチング | 流氷

※ちなみにシャチに出会えるのは6月ごろだとか。

ただこの流れに立ち向かおうとする流れもあります。それが名古屋港水族館による、シャチの繁殖実験です。

オスカーの息子であるアースを名古屋港水族館に移籍させ、ステラの末娘であるリンと「つがい」にさせようとする動きです。

名港水族館と三重大 全国初 シャチ繁殖挑む 野生 批判で入手困難

こういった流れもうまくいくといいですね。

それまでは、今逢えるシャチを大切に想いながら、逢いに行きたいと思います。

シャチのスパイホップ(偵察行動)
シャチのスパイホップ(偵察行動)

写真の提供は月光ながらさん @gekko_nagara からいただきました。クレジットのないシャチの写真はすべて鴨川シーワールドで撮影されています。

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About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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