薄氷の勝利とはいえ、3連勝で一時期の不調を脱したかのように見えるグランパス。対するは清水エスパルス。この夏もベンジャミン・コロリ・ホナウド・松岡大起と大型補強してのゲーム、侮れない。この試合をプレビューする
清水エスパルスの状況
- 出場停止なし
- ヘナトアウグスト、鈴木義宜、加藤拓己、カルリーニョスジュニオ、菊地脩太、千葉寛汰、エウシーニョが怪我で出場微妙
- 多くの移籍加入・放出あり
IN | OUT |
MF 松岡大起 | DF 福森直也 |
FW 藤本憲明(期限付き) | FW 栗原イブラヒムジュニア(期限付き) |
MF ベンジャミン・コロリ | MF 石毛秀樹(期限付き) |
MF ホナウド | MF 成岡輝瑠(期限付き) |
DF 井林章 | MF 金子翔太(期限付き) |
DF ウィリアム・マテウス |
清水エスパルスの戦績
得点力は1.0とほぼ互角。失点の数が成績を分けている。
5勝10分11敗、5位のグランパスに対して16位と残留争いのまっただ中のチームとの難しい一戦になる。
清水エスパルスの戦い方
清水エスパルスのチームスタイル
引用元: 清水エスパルス 2021 チームスタイル[攻撃セットプレー] | データによってサッカーはもっと輝く
清水エスパルスは数値で見てみると特筆すべきところがあまりないチームに見えてしまう。特に攻撃から守備の切り替えの「29」は信じられない数字でもある。
これは実はロティーナのチーム特有の数値になる。
これは2020年、4位でフィニッシュしたセレッソのスコアだ。ほぼ傾向が同じことにお気づきだろうか。その理由をセレッソ大阪を長年追いかけてきているakiさんのブログから引用しよう。
しかしロティーナのサッカーは違っていた。ロティーナのサッカーは「スペースを管理し、どれだけ試合をコントロールできるかを競い合う競技。得点や勝敗はその先にある」という捉え方だったのではないかと思う。
引用元: セレッソ大阪 2020年シーズンレビュー vol.1
「試合をコントロールできている状態」と聞くと一般的にイメージされるのは、攻撃が上手くいっていて守備も機能している、「試合を支配している」もしくは「ペースを握っている状態」ではないだろうか。多くの場合はボールを持って相手ゴールに何度も迫ることができていて、「勝てそうだぞ」という試合展開の時に出てくる言葉なのではないかと思う。(中略)ロティーナのサッカーにおける「試合をコントロールする」というのは、「自分たちでスペース管理ができている状態」のことを指している。なのでボールを持っているか持っていないかというのが決定的な違いにはならない。
引用元: セレッソ大阪 2020年シーズンレビュー vol.1
ボールを保持することにはこだわらない。だからポゼッションの数値は大きくならない。スペースをしっかり管理しているからコンパクトネスが高くなる。攻撃の回数をむやみに増やそうとしないので、攻撃系の数値はあまり大きくならない。
シーズン前半はそうではなかったが、ほぼ8割方のレギュラーを入れ替えた後半戦では、やっとロティーナがやりたいことができてくるはずだ。
清水エスパルスのチャンスビルディングポイント
全体的に清水エスパルスのチャンスビルディングポイントは低調だ。松岡大起・ホナウド加入前のエスパルスの中盤は、決して強いほうとは言い難かった。それが奪取のポイントに表れているし、失点の多さに繋がっている。攻撃もパスも少なめだが、中央に強いチアゴ・サンタナがいることもあってクロスの数がとても多い。大きなクロスをチアゴ・サンタナが折り返し、中央の選手が決める、というパターンも大きい。
引用元: 名古屋グランパス 2021プレビュー | 8月29日名古屋 vs 清水 | データによってサッカーはもっと輝く
またグランパスに比べて守備機会が多いこともあって、守備やセーブのポイントが高い。グランパスの場合は守備陣を越えられてきたときはほぼゴールキーパーにとってノーチャンスの状態が多いせいか、セーブのポイントはエスパルスを大きく下回る、19位となっている。ミッチが悪いキーパーではないし、失点の数は少ないほうなのに、失点の多いエスパルスよりも悪い数値になってしまうのがデータの不思議なところだ。
チャンス構築率では面白いデータが出ている。
引用元: 名古屋グランパス 2021プレビュー | 8月29日名古屋 vs 清水 | データによってサッカーはもっと輝く
なんとエスパルスの攻撃回数は全チームを通じて最下位。しかし、チャンス構築率はグランパスを上回る7位になる。
全体の攻撃数が少なすぎてスタイルには現れていないが、現在の清水エスパルスはショートカウンターで確実に少ない攻撃をチャンスに結びつけている。
シュートも10位と、17位のグランパスを大きく上回る。
特に気をつけたいのが松岡大起が加入後の変化だ。松岡大起とホナウドの2枚が入ることで、これまでのサイドを崩すカウンターから「中央からのカウンター」をできるようになった。サイドに引っ張り出されて中央を空けると痛い目に遭う可能性が高い。そこに注意したい。
グランパスの状況
- 丸山祐市が全治8ヶ月の重傷(2ヶ月目)
- 山﨑凌吾が離脱中(最低3ヶ月/1ヶ月目)
- シャビエルがハムストリング負傷(おそらく1ヶ月程度。2週間経過)
- 木本恭生が足首負傷(おそらく1週間~2週間程度)
- 金崎夢生がベンチ入りも出場はなし
- 出場停止はなし
清水エスパルス対策
権田修一を振り回せ
名古屋グランパスが良いところなく敗れた横浜Fマリノス戦で、清水エスパルスは引分けに持ち込んでいる。グランパスもミッチの好セーブがあってこそではあったが、エスパルスも権田修一がいくつ決定機を止めたか、が大きな影響を与えている。
権田修一はさすが日本代表ゴールキーパーだけあって、工夫のないシュートは止められると思って良い。
ここ10試合の清水エスパルスの失点を見る限り、よほどスーパーなシュートではない場合でゴールが決まっているのは
- ファー(シュートを打つ選手から見て遠い方)ギリギリへのミドル(権田修一はファーへのシュートの反応が遅れたり、反応が出来ないことが多い)
- キーパー1:アタッカー2以上で、シュートを打つと見せかけてもう1人のアタッカーに短い距離でラストパスをしてのシュート(これを止められるキーパーはそうはいない)
ばかりである。そもそも止めるのが難しいシュートばかりだ。いつもの単独突破からのシュートではなかなかゴールは得られないと思った方がいい。
クロスからクバのゴールを期待!
前回のコンサドーレ戦は先発だったが、それは前線でのキープをして欲しいというミッションがあってのこと。今節はヤクブ・シュヴィルツォク “クバ”は55分から60分くらいの出場になることが予想される。そこで注目したいのが、清水エスパルスの失点パターンだ。
引用元: 名古屋グランパス 2021プレビュー | 8月29日名古屋 vs 清水 | データによってサッカーはもっと輝く
清水エスパルスはセットプレーとクロスからの失点が合計で57.9%もある。アビスパ福岡も比較的高い方だったが、50%は越えていない。質の高いクロスをクバに提供できれば、ゴールを期待することができる。
クロスに気をつけろ
引用元: 名古屋グランパス 2021プレビュー | 8月29日名古屋 vs 清水 | データによってサッカーはもっと輝く
エスパルスの得点パターンは失点パターンでも多かったセットプレーとクロスからの得点で驚異の60%になる。これまでグランパスが弱かった範囲だが、ここでは2020年、自陣空中戦のランキングで第1位のキム・ミンテが活躍してくれるはずだ。
良い試合になりますように