久々に現地に行きました。鯱の大祭典関係のイベント楽しかったですね。めちゃめちゃ暑いのに、暑そうな衣装で踊るアイドルや各団体の皆さんには思わず頭が下がりました。さて、試合は、そんな楽しいイベントとは裏腹に、好意的に言えば「規律の行き届いた」、逆に言えば「お互いにリスクを恐れた」内容でした。順番に見てみましょう。
前半
守備はいつもの4-4-2セットでスタート。森下が左サイドハーフ、柿谷と前田がトップに入る。
清水がボールを持っている状況では、柿谷と前田が二人がかりで清水の松岡を見張る。一方、松岡の相方のホナウドや清水CBがボールを持っている状況では柿谷・前田はほぼノーチェック。松岡以外は捨てていたんだと思われる。清水の試合を毎回見ているわけではないけど、この松岡封じは単純に効いていた。清水はFWのサンタナに放り込んで何とかしようともしていたが、ロティーナ監督の試合後コメント
「我々は後ろからつないでビルドアップをして、攻撃を組み立てていくというスタイルを信じている。もちろんあのようなリスクはあるが、リスクを冒してでも得られるものが大きいと思うので、そのスタイルを取り入れてシーズン当初から続けている。」
名古屋グランパス戦 (2021年8月29日) レポート | 清水エスパルス公式WEBサイト (s-pulse.co.jp)
を信じるのであれば、放り込みをしてしまったのは恐らく不本意だったのだろう。
そこで仕事をしだしたのはホナウド。清水の左サイド寄り低い位置=マテウスの前のスペースでボールを受け、左SH、SBと連携してボールを前に運ぼうとする。前半のグランパスはハーフウェーライン近辺だとほぼプレスに行かなかったため、このホナウドの動きを捕まえられず、2回ほどあわや……というシーンも作られた。
しかし、ホナウドは遅攻時にはまずまず仕事をしていたのに対し、プレスバックは明らかに遅く、また清水の両SHも守備の戻り・立ち位置がなんかテキトーだった。そのため、グランパスとしては、ボールを奪った後に早めにサイドへ繋ぐか、あるいはサイドに人数をかけてボールを動かし、清水の守備の穴を広げて突破しようとする展開となった。特に、前半39分ごろのチャンスは「こういうボール回しから突破しようと思えばできるんだぜ」という選手の心の声が伝わってきそうな攻撃だった。
しかし、両チームともミッチ&権田を突破するほどの威力・精度のシュートを生み出せず、前半は0-0のまま終了。
後半
両チームともまあまあ狙い通りの内容だったのか、後半から劇的に何かを変えるという感じもなく、前半同様に淡々と試合が流れる。こうなれば決定的なミスをするかどうかが勝敗を左右するものだ。
清水とグランパスに、決定的なミスがそれぞれ1回あり、失点に直結したため、引分は妥当な結果だっただろう。
まずグランパスの得点シーン。
グランパスゴールキックからのこぼれ球を清水の松岡が回収→松岡の縦パスを受けにきたサンタナを中谷がチェックしサンタナのトラップミス誘発→長澤が回収→前田へラストパスとの状況だった。中谷の出足が良かったとも言えるだろうが、これは松岡の致命的なパスミスだ。自陣中央で縦パスをカットされてショートカウンターなんて、やってはいけない。
ただし、前田のシュートは大変見事なものだったと強調しておきたい。数試合に一発あるかないかレベルのファインゴールだ。こういうシュートを早い脚の振りから蹴られるのは前田最大の長所の一つなので、中央で前田を起用したフィッカデンティ監督の采配は当たりだったと言えるだろう。
続いて清水の得点シーン。
失点後、清水は両SBも攻撃時に前線に上げ、2-2-6(または3-1-6)のような形でグランパスDFラインを殴りに来ていた。そうなるとどうしてもグランパス両サイドも対応して下がり気味の位置になってしまう。
嫌らしかったのは藤本。押し下げられたグランパスDFラインから離れ、稲垣の脇に陣取ってボールを貰いに降りてきていた。その藤本へルーズなパスが入り、ルーズだったからだろうか、むしろ奪えると判断したのだろう、相馬が競り合いに行き、結果的に入れ替わられてしまった。これを「ミス」と評すか「事故」と評すかは悩ましいところだが、個人的にはミスだと思う。あの状況において競り合いに突っ込むならば、極論すればファールしてイエローカード貰ってでも相手に入れ替わられないようにしなければならない(イタリア的に言う、「カードを上手く使え」てやつですね!)。
とは言え、前田のゴール同様に、サンタナのボレーは「普通は決まらない見事なシュート」だったことも強調しておきたい。ミッチならなんとかしてよと言いたくもなるが、あれはキーパー的にはほぼノーチャンスだ。
その後は金崎ムー(・Θ・)の復帰出場なんかもあり、グランパスに勝ち越しのチャンスもあったのだが、試合はそのまま引分となった。
この試合の良かったところ
- ものすごい蒸し暑さだったトヨスタ&トヨスタには珍しく荒れていたピッチとの状況でも、最後まで戦っていた両チームの選手たち
- 前田のゴールはとにかく素晴らしかった(サンタナのゴールも敵ながら見事だったグヌヌ………)
- やたら球離れの良かったマテウス(今日の半分くらいでいいからパスの選択肢を持っておいてほしい)
- 途中までは的中していたフィッカデンティ采配
- 動けてボール収められるムー(・Θ・)は流石の一言
この試合のウーン…
- 球離れ以外のマテウス
- 吉田豊の酷使され具合がそろそろ見てて辛い
- 2点目の遠い攻撃
- いや、阿部を使えば良いのでは………?
最後に
相手のミスを突いたと言えば聞こえは良いけど、中谷の個人能力がたまたま相手のミスを誘っただけで、現状では「相手のミス待ち」または「主にマテウスやシュヴィルツォクによるどうにもならんシュート」くらいしか得点気配のないグランパス。そんなの1試合に何回もあることではないので、このゴール数の少なさ(そもそもシュートの少なさ)も納得せざるを得ない感じ。手っ取り早いところでは、シュヴィルツォクとムームー(・Θ・)のコンディション向上に期待するしかないのだろうか。それとも「2点目を取りに行くサッカーをしようとした」と仰るフィッカデンティ、何か改善策を持っているのだろうか?
気づけば残り試合も段々と少なくなっていく中、まあ、どうなるか見てみようじゃないか。