引き分けにも色々あります。今日の引き分けは「なんとか勝点1を勝ち取った試合」と言っても良いんじゃないでしょうか。ざっくり振り返っていきましょう。
強かった東京
東京はキックオフ直後からアダイウトン&ディエゴ・オリヴェイラへボールを放り込んできましたね。しかもそれがテキトーなパスではなく、きっちり狙った高精度のものだったこと、受け手側が出し手の意図をわかっていたこと等が噛み合い、アダイウトン&ディエゴにボールを持たれ、グランパスはかなり押し込まれました。他にも、森重がシュヴィルツォクの守備を見切ってドリブルで前に運んできたり、青木や東が絡んできたりと、なかなか厄介な攻撃を仕掛けてきましたね。
しかし、この試合の東京の強みは攻撃面ではなく守備面にありました。東京、ハーフウェイライン近辺でのプレスがかなり強烈でしたよね。具体的には向こうの中盤から前6枚で稲垣と米本が包囲されてしまった。そうしてグランパスの中盤を殺す作戦だったのでしょう。そして相手の狙いどおり試合から消える稲垣と米本………これはつまり変則型下平システムじゃないか! おのれ長谷川健太監督、これを仕込んできたのか(# ゚Д゚)
失点シーンもまさにそんな感じで、中盤を消されてパスコースを限定され、DFラインから無理目のパスを出したらカットされてそのままカウンター。アダイウトンがボールを追いかけて右サイド気味の位置まで移動していたのもアンラッキーでしたね。結果的に、宮原が守備位置を離れてまでアダイウトンについて行かなかったから(普通ついていかない状況です)、アダイウトンがフリーになっていました。
さて、中盤死亡のグランパスとしては、前進するためには、サイドバック→サイドハーフの縦ー縦前進か、シュヴィルツォクに蹴っ飛ばすしかありません。ところが森重とオマリのCBコンビがほぼ完璧な仕事ぶりで、シュヴィルツォクも前田もロクにボールを収められない、マテウスがボール持たされても囲まれてロストする始末(余談ですが、マテウス対策が全チームに完璧に実装されてる感あって、最近のマテウス正直かなリしんどい)。たまーに相馬が抜けだしたらチャンスになるかも………くらいしか攻撃できなかったグランパス。こんなに苦しんだのは久しぶりでした。
正直コンディション差はあったと思う
9月に入ってから、東京はこの試合で5試合目。一方グランパスはACLあった関係で6試合目。しかもグランパスの直近2試合はACL大邱戦と先日のマリノス戦。おそらく、グランパスの選手達はそうとう消耗していたのでしょう。例えば稲垣の走行距離、マリノス戦では信頼と実績の12㎞だったのに、東京戦ではなんとたった9.6㎞! 驚きの2割減少です。試合展開等、色々ありますので、そのデータだけで決めつけるわけにもいきませんが、あの稲垣が10㎞走れてないという衝撃。やっぱり、東京の選手達よりも疲労はあったと思います。
長谷川健太式下平システムを相手にしても、万全のコンディションならもうちょい気合で何とかなったと思うんですが、この試合ではどうにもならなかったですね。作戦で後手を踏んで体力的にも劣っていた、正直、よく引き分けられたなと思います。
相手の退場後
フィッカデンティのコメントが端的によく解説してくれていたので、引用しましょう。
--相手が退場者を出して数的優位になったが、どんな指示をしたのか。
直前の勢いを考えると、東京がスピードや長いボールといった、FWの個人の特長を生かした攻撃をしていた。それが10人になってもなくなるわけでもないし、11対10になっても、10人のチームが得点を取るということも多くあるので、あらためて戦い方を根本的に組み替えるということはない。相手が11人で、ずっとコートを埋め尽くして攻め込んできていたなら、違った展開はあったかもしれない。こちらも残っていたカードを切って、森下(龍矢)が決定的なチャンスを作って、あれを決めていたら「1人多いところをうまく使って素晴らしい采配だった」という話になっていたかもしれない。だが、11対10になっても、あの時間帯なら試合を決定的に変えるものにはならないと私は思う。
引用元 https://www.jleague.jp/match/j1/2021/092202/live/#coach
試合展開、時間帯的に、数的優位は試合を決定づけるものではありませんでした。むしろ永井を中心としたカウンターでヤられかけたりもしたので、勝つためにリスクを増大させないフィッカデンティの選択は正しかったのかな、と。
この試合の良かったところ
- アウェー東京戦で負けなかったこと(相性的にはアウェー鹿島並みに悪い)
- あれが決まるシュヴィルツォクの神通力
- 柿谷復帰
- ミッチ本当に素晴らしい
この試合のウーン………
- マテウスのボールロストはそろそろマジで何か対策を考えて欲しい
- カード出なかったけど、相馬の軽率かつ危ないファールは自重してください
- 木本アンカーシステムで相手の攻撃を殺したのは良いが、それでこちらの攻撃も死んでしまっては……(結局4-4-2に戻しちゃったし)
最後に
相手に退場があったところまで含めて引き分けが妥当な結果だったなーと。内容は正直ほぼ完敗に近かったです。それでもシュヴィルツォクのゴールやディフェンス陣の最後のひと踏ん張りで勝点1をつかみ取った。ここで負けなかったという事実がルヴァンで勢いを与えてくれるかもしれません。次はグランパス選手陣ももうちょいまともなコンディションだと信じて、願いましょう、勝利を。つかみ取りましょう、ルヴァンカップを。