いよいよ地獄の10月が始まる。
最低6試合、最大8試合をこなすことになる地獄のスケジュールだ。対戦相手も難敵揃い。その1つ目が苦手アウェイ広島だ。過去10年間で2勝3分5敗。カシマスタジアムなみの魔境である。
この試合をプレビューする。
サンフレッチェ広島の状況
- 塩谷司が4年ぶり復帰もグランパス戦の出場は微妙
- 出場停止なし
- ドウグラス・ヴィエイラ・永井龍・鮎川峻・土肥航大は負傷で離脱中
- 純粋なセンターフォワードと呼べるドウグラス・ヴィエイラと永井龍が離脱中のため、代役はウィングタイプのジュニオール・サントスか。浅野雄也1トップによるカウンター布陣の可能性もあり
- セカンドトップの候補はエゼキエウ、森島司、柴崎晃誠、浅野雄也ら。休養が十分なため、読みづらい。
IN | OUT |
DF 塩谷司 | GK 増田卓也(レンタル) |
MF 松本泰志 | MF 川辺駿 |
DF 住吉ジェラニレショーン | DF 井林章 |
サンフレッチェ広島の戦績
10勝12分9敗と、少し成績が伸び悩んでいる。本来の選手層と、やっているサッカーからすると不思議な成績ではあるが、引分けが多く、「勝ちきれない」というところがその原因かもしれない。
サンフレッチェ広島の戦い方
ベテランが多い老獪なチーム
2018年に就任以来、4年目となる城福浩監督のもと、熟成されたサッカーを行っている。サンフレッチェ広島は年齢層が綺麗に割れており、30代と若手の2山がいるところはグランパスとよく似ている。
- 30代:林卓人(39歳)川浪吾郎(30歳)野上結貴(30歳)佐々木翔(31歳)青山敏弘(35歳)清水航平(32歳)柏好文(34歳)茶島雄介(30歳)ハイネル(31歳)柴崎晃誠(37歳)ドウグラス・ヴィエイラ(33歳)永井龍(30歳)
- 25歳以下:大迫敬介(22歳)荒木隼人(25歳)住吉ジェラニレショーン(23歳)エゼキエウ(23歳)藤井智也(22歳)松本泰志(23歳)東俊希(21歳)浅野雄也(24歳)鮎川峻(20歳)
この試合でも青山敏弘・ハイネル・野上結貴・佐々木翔らの30代選手が多く先発予想される。1週間ゲームがなく、休養十分な彼らの老獪な戦いかたに注意が必要だ。
城福浩監督の名古屋対策
—名古屋の堅守を崩すには?
「相手のサイドハーフは献身的。かつ、2トップを含めた4人で攻め切るのと、6人で守り切る分業制の分担が物凄くハッキリしている。逆に言えば、我々は粘り強く押し込むような形でボールを持てば、彼らのカウンターの力も落ちると思う。我々らしく押し込んだ後にボールを回収していくことを目指したい。また、ボランチの守備力で言えば、そこに一番重きを置いているチーム。彼らをいかに無力化していくかは工夫していきたい」
前節北海道コンサドーレ札幌戦では、かなり効果的に得点を重ねたサンフレッチェ広島だったが、終始押し込んでくるコンサドーレの攻撃をいなす時間帯が長かった。グランパス対策としては、サンフレッチェが押しこみ、セントラルMFの2人を無力化する作戦のようだ。
サンフレッチェ広島のチームスタイル
数値にはっきり表れているのが、「ハイプレスから繰り出すカウンター」が強いチームであるということだ。名手ミッチがミスをして失点したのもサンフレッチェ広島のハイプレスからだった。城福浩監督が「押し込むつもり」というのはこのハイプレスのことを指していると思われる。
実はサンフレッチェ広島は常に押し込んでくるわけではない。北海道コンサドーレ札幌戦では前半30分過ぎからと、後半の最初と最後だけだ。そんなに長い時間押しこみきることは30代の選手が多いサンフレッチェ広島には難しい。サンフレッチェ広島が自陣に構えたときを狙いたい。
引用元: サンフレッチェ広島 2021 シーズンサマリー | データによってサッカーはもっと輝く
優秀なサイドアタッカーの宝庫
ベテラン茶島雄介・柏好文、若手の東俊希・藤井智也のうち、誰が出場するかはわからないが、どの選手も運動量が豊富で、スプリントも多数こなす。クロスも良いものが入ってくることが予想される。そのあたりはチームスタイル指標にも現れている。名古屋グランパスのサイドバックが彼らの攻撃に耐えられるかどうかがポイントになる。
サンフレッチェ広島のチャンスビルディングポイント
引用元: Football lab 31節広島対名古屋プレビュー
FC東京同様に、ドリブルの値が非常に高い。全体的に攻撃・パス・クロスも高く、攻撃的チームであることが伺える。
グランパスの状況
- 丸山祐市が全治8ヶ月の重傷(4ヶ月目)
- キム・ミンテが膝を縫う裂傷。サンフレッチェ広島戦は出場微妙。
- 中2日でFC東京戦を控えるため、戦略的に休ませる選手が出てきそう。長澤和輝や森下龍矢、ヤクブ・シュヴィルツォクなど。
- 出場停止はなし
サンフレッチェ広島対策
セットプレーに気をつけろ!
チームスタイル指標のなかで目を引く数値が攻撃セットプレーの値だ。実際、セットプレーから直接・間接合わせて12ゴールも挙げているのである。森島司に直接フリーキックを決められたことを覚えている人も多いだろう。
引用元: Football lab 31節広島対名古屋プレビュー
危険な位置でできるだけフリーキックを与えたり、安易にコーナーキックに逃れることも避けたい。
攻撃時5トップをどういなすか
城福浩監督が3バックを採用しているときは、浦和レッズ・北海道コンサドーレ札幌や大分トリニータ戦で体験した「攻撃時5トップ・守備時5バック」を追体験することになる。
5トップとなると、大分トリニータ戦でも終盤押し込まれていたことでわかるように、枚数が足りないために苦労することになる。そのときは5バックでしのいだが、最初からそうするわけにはいかない。
そうなると中盤がフォローをすることになるが、サイドハーフの2人がしっかり戻らないと枚数が足りず、セントラル(中盤中央)の2人が引き出されることになると真ん中がパックリ空いてしまうことになる。
サイドハーフの先発の選手の守備に対するモチベーションが重要だ。
城福版下平システムに対抗するには
「セントラルの2人(稲垣祥・米本拓司)を消す」とインタビューで答えている城福浩監督。もはや名古屋グランパス対策として定番化している下平システムの採用は間違いないだろう。
そうなるとキム・ミンテのように1個飛ばしのパスが出せる選手がいないことが厳しい。そうなると、サイドの選手がいかにボールを前線に届かせることができるかが勝敗をわけそうだ。サイドの選手の工夫に期待したい。
名古屋が刺しきるチャンスは、「あの選手」が上がったとき
広島の3バックは、最終ラインにベタ付きではなく、メリハリのついた配置をしていることが多い。
実は攻撃の最初の組立ては日本代表DF佐々木翔とベテラン野上結貴の間でかわされることが多い。ほとんどの時間帯がそうなのだが、サンフレッチェ広島が押し込もうとするときは佐々木翔のポジションもかなり高くなり、逆に荒木隼人1バックに近い形になることが多い。
佐々木翔が上がったときにカウンターをしかけることができれば、大きなチャンスに繋がる可能性は高い。
良い試合になりますように