YBCルヴァンカップ決勝戦の日がやって来ます。決勝戦ですよ、決勝戦。なんと甘美な響きでしょうか。なんと血を滾らせられる言葉でしょうか。血が滾って血圧上がってもう大変です。ただでさえ血圧上がってしまうのに、直近の天皇杯準々決勝でセレッソにGYAKUSATSUされたもんだから、更に血圧上がって超大変。僕もあなたも、ひょっとして、ぶっ倒れるんじゃないでしょうか。あの試合はひどい敗戦でした。本当にひどい敗戦でした。思わず記憶から消し去りたいくらいですが、そうする間もなく次の試合がやってきます。たった中二日でリベンジする機会があるなんて僥倖そのもの。しかもそれがタイトルのかかった大一番。
「タイトルが欲しい」って言うと「タイトルが欲しい」って言う。
「勝ちたい」って言うと「勝ちたい」って言う。
「乾出てくるな」って言うと「シュヴィルツォク出てくるな」って言う。
そうしてあとでさみしくなって
「やっぱり乾出てもいいよ」って言うと「でもシュヴィルツォクは出てくるな」って言う。
木霊でしょうか。いいえ、誰でも………うっせえうっせえうっせえわ! 自分達の運命は自分で掴むんや!
さて、10年以上応援している古参ファミリーであっても、決勝戦は2010年1月1日の天皇杯(VSガンバ大阪)以来、なんと約12年ぶりとなります。ルヴァンカップ(=Jリーグカップ)に限れば、決勝戦は全ファミリー初体験です。人間、何歳になっても初体験のことがあるんです。当たり前ですが趣深いですね。何を言いたいかというと、ルヴァン決勝戦の日は、全ファミリーにとって平等に「初めての日」ってことです。
皆さんはどうですか? 浮かれた気分ですか? 正直に言えば僕は浮かれています。そして、同時に恐れてもいます。きっと皆さんも同じでしょう。勝てば天国、負ければ地獄、それが決勝戦。僕たちはHeaven or Hellの分岐点に立つグランパスの背中に乗っかっています。どっちに進めば天国なのかはわからないけど、グランパスが僕たちを天国に連れて逝ってくれるかもしれないのです。
ここまで本当に長い道のりでした。準決勝のテレビ実況で「オリジナル10のクラブでルヴァン決勝戦に未進出の唯一のクラブ」と教えられた時には、きっと皆が仰天したことでしょう。なんだよそれ。不名誉にも程がある。てゆーか準決勝2戦目の実況・解説が露骨に東京寄りでちょっとイラっとしたわ!………取り乱しましたスミマセン。しかし、決勝に勝ちあがったグランパスにとって、その不名誉は既に過去のものとなりました。
決勝戦に勝てば優勝、負ければ準優勝。つまり、仮に負けたとしても2位なわけで、既にルヴァンカップのクラブ史上最高成績が確定しています。試合前から負けることを考えるのは負け犬根性かもしれないですが、もし負けてしまっても何ら恥じることはないんです。負けたらきっと僕は泣いてしまいますけど……それでもクラブ史上最高成績を残した選手・スタッフたちに思いっきり拍手を送る心の準備はオッケーです。皆さんも、そうですよね?
……と、ここまで、口清いことを言ってきたけど……あのさあ、準優勝で満足できます? 勝ちたくない? 準優勝じゃなくて優勝したくない? 優勝したいでしょ!? 優勝したいに決まってるだろ!!!
勘の良い人なら気づいたかもしれないですが、ここまでが前置きです。
両チームスタメン予想
グランパスでは、天皇杯に出られなかったキム・ミンテ、温存された前田に加え、早々に交代したマテウス、柿谷、木本と、後半からの宮原と相馬をスタメン予想。フル出場した森下とシュヴィルツォクはベンチスタートではないでしょうか。その二人は展開次第で後半からの登場かな。
一方セレッソでは、直近のJ1マリノス戦で勝利したメンツがそのままスタメンと予想。コンディション整いつつある乾と坂元の両ワイドは脅威。後半途中から清武が出てくるでしょう。
鍵を握る選手は
トッププロのカテゴリで「決勝戦」を経験済の選手は少ないです。グランパスでは、柿谷、木本、長澤、ムー、ミンテあたり。加えて、シュヴィルツォクやランゲラックは国際舞台で大きな試合を経験済みです。ハッキリ言ってしまえば、それらの選手が鍵を握っていると考えます。決勝戦やビッグマッチの独特の雰囲気を知っている彼らが、初体験の他の選手たちが雰囲気に慣れるまでの間、チームを助けられるか? 基本的にはいつもどおり「まず守備をしっかり」で試合スタートすると思われるだけに、守備陣に万が一のやらかしは許されないわけで、ミンテと木本の働きは特に重要でしょう。
一方、攻撃では、やはり柿谷に期待したいところ。今シーズンの総ゴール数は物足りないものの、守備で走り回り、つなぎのプレーに身体を張り、準決勝1試合目とか、ここぞという時に印象的なゴールを決めてチームを助けてきた柿谷。天皇杯準々決勝もさることながら、カップ戦決勝での古巣対決とか、否応なしに気合入りまくりになることでしょう。そんな柿谷が決勝点なんか決めようものならヒーローです。グランパスファミリーの中で永遠に記憶されること間違いなしです。柿谷の柿谷がはちきれんばかりに爆発の瞬間を待っているように、僕たちもその瞬間を待っているのだ。
セレッソの中盤をスキップしろ!
乾、坂元に藤田と喜田の中盤は強力そのもの。攻撃力もさることながら、CMFの二人を中心にしたボール奪回力はお見事です。対し、稲垣・木本コンビは、ボールを動かすこと、相手を剝がすことに特徴を持つわけではありません。両サイドの選手も中に入って組み立てに参加するみたいなタイプではありません。真っ向勝負は恐らく不利です。ならばどうするか? 直近のJ1リーグ神戸戦を思い出してください。ボールを奪った木本がシュヴィルツォクに高速グラウンダーなミドルパスを突き刺してましたよね。「シュヴィルツォクがトラップしてくれれば問題ない」高速パス。神戸戦では、それによって相手の中盤のプレスをすっ飛ばすことに成功しました。単純なトラップ技術的には柿谷だって止められるはず。あんな感じでセレッソの中盤をスキップしてしまえれば、瞬間的に数的同数でこちらのアタッカー陣vs相手DFラインの勝負ができます。そんな場面を何回か作れたら、いつかシュヴィルツォクか柿谷が点取るやろ、たぶん。
サイドバックは気合で守れ! サイドハーフは気合で戻れ! あとはネ申に祈れ!
点を取ってもそれ以上に取られたら話になりません。Jリーグ屈指の質を誇る乾と坂元を宮原(たぶん)と吉田豊がどれだけ抑え込めるかが勝敗を大いに左右することでしょう。二人とも対ドリブラーはめっぽう強いのであんま心配してないですが、そこでサイドから押し込まれたら、今度は相手SBも攻撃に参加してきて危ない。じゃあどうするかというとたぶんスタメンの相馬とマテウスが気合で戻ってカバーするしかない。気合だ気合。去年からマッシモ・グランパスの守備は最終的には気合守備だったじゃないか。相手より早く足を止めない! 相手より強く当たる!(ただしノーファール!ノーファール!) もし抜かれてもすぐ追いつく! それを完遂すれば、あとはミッチが何とかしてくれます。ついでにセットプレーの守備もまあ……ネ申(と書いてミッチと読む)とミンテに祈りましょう。祈ればきっと通じるから……。
最後に
繰り返しますが、もし負けてしまっても精一杯の拍手を送りましょう。でも勝ちたいんや。勝ったその場にいて、数十年後に若いサポへ
「フォフォフォ……ワシはあのルヴァン決勝戦で現地参戦していたのじゃ……」
とか老害トークしたいんや。
勝利は全てを肯定する。現実を生き試合に勝つために生まれてきたイタリア人・マッシモよ、わかっているよね? 僕たちファミリーの想いと応援で、その背中を、そして選手達の背中を嫌というほどぶっ叩いて押すから、勝ってくれよな。欲しいのはただ一つ、勝利だから!
全ファミリーにとっての「初めての日」が、上書き保存するには勿体ない、最高の「名前をつけて保存したい日」になることを祈って、楽しみましょう、その時を。そして、思いっきり愛しましょう、フットボールを。