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19歳の若い力とチームの為に腐らずに準備を怠らなかった32歳 2022年YBCルヴァンカップ GS第6節 vs 徳島ヴォルティス戦マッチレビュー #grampus #vortis #ルヴァンカップ

閉ざされかけた「連覇への扉」こじ開けたのは19歳の若い力とチームの為に腐らずに準備を怠らなかった32歳。そして起用を決断した監督と引き出しを仕込んだコーチ。サポートしたスタッフ。役割を全うした選手達だった。

試合情報

徳島ヴォルティス・名古屋グランパスのスターティングメンバー・ベンチ
徳島ヴォルティス・名古屋グランパスのスターティングメンバー・ベンチ

試合後の移動が次の日になり、リカバリーが金曜日の午前まで伸びてしまう可能性もある為、休ませたい選手はなるべく休ませる判断を取った名古屋。

徳島も今週末に中0日で試合がある為、どうしても休ませたい選手は休ませる形。両チーム共になんとなく「省エネで当たりたい」雰囲気を感じる試合の流れとなった。

守備の要「柿谷曜一朗」

名古屋は3421で挑むが、リーグ戦でも中央3枚の相手に対して最前線の選手が降りてきて中盤に蓋をする形をこの試合でも取る。徳島のウイング(西野、西谷)に対しては名古屋のウイングバック(吉田豊&相馬)と両脇のセンターバック(藤井&宮原)で蓋をする。例えサイドを攻めたくて徳島のサイドバックを上げて攻撃参加させても「数的同数」にしかならず、その上、阿部や甲田が守備で張り付いてくるため、徳島はサイドバックを攻撃参加させても崩せたとは言いづらい状況になってしまった。

柿谷が基準となる守備の形
柿谷が基準となる守備の形

そうなると、徳島は中央から攻めていきたいがここで「柿谷曜一朗」が効いてくる。常に長谷川を観ている事でアンカーの位置にいる限りは柿谷のプレッシャーを受ける。そのプレッシャーから逃げるためには最終ラインに吸収されるしかないが下がって楔を入れると稲垣と吉田温が受けに来た浜下、玄にタイトにプレッシャーに行く。そこで交わされても爆速で柿谷が戻って対応するシーンなど。「柿谷曜一朗」で守備が回っていた。

特にチームとして守備で良かった形は柿谷とチアゴが長谷川とバケンガを見張れている事が前提で徳島が中央から攻めずにサイドを使って中にボールを通そうとした時。

川上にボールが入ると、相馬が縦方向のパスを塞ぐように寄る、それに合わせて甲田は斜め方向のパスを切るように川上に寄っていく。その制限で川上はビルドアップのやり直しを選択する。逆方向に長いボールを蹴った松澤だったが、逆サイドは名古屋の選手の数的優位の状況。そこでボールを回収したシーンがあったがチアゴと柿谷の役割が機能している前提でチームの守備の手札が共有されていた瞬間だった。

名古屋の守備手札の共有が生んだシーン
名古屋の守備手札の共有が生んだシーン

徳島の名古屋攻略

徳島は玄や浜下が長谷川の横まで降りてきて吉田温や稲垣を引っ張ってくる。引っ張ってきていなくなったスペースに長谷川が入れ替わって上がる事もあった。稲垣や吉田温が引っ張られる事で名古屋のセンターバックの前が空き、そのスペースを見張らないといけなくなる意識の逆手を取って名古屋の最終ラインの裏にボールをいれてくるなど。名古屋の最終ラインとの駆け引きを仕掛けて来た。

徳島の名古屋の攻略法
徳島の名古屋の攻略法

しかし、エリートリーグでキャプテンマークをまいてラインコントロールが実は出来ちゃうチアゴ、そして足の早いHV(両脇のセンターバック)がいる事でラインコントロールはかなり安定していた。それに加えて勝負する場所が明確になっていた(センター2枚が釣られたスペース)状況はチアゴの守備力が遺憾なく発揮される状況となっていた。バケンガに対しての対空性能だけではなく、スペースへのチャレンジの仕方も素晴らしいものがあった。

90分間で「チアゴありがとう」ボタンを何度押したことか。

基本の形から外れる

名古屋は長谷川を柿谷が見てるという「基本形」だと話したが、阿部の二点目のゴールはそれを逆手に取ったものだった。恐らく徳島の選手達は稲垣に取られる前の瞬間「長谷川が空いている」事、柿谷がそばにいない事、甲田がセンターバックへ走り出している事を認識した(視界に入っている。)

そして長谷川が受けた時に長谷川当人が視界内に捉えたのは、柿谷が「自分の反転に備えて寄らないプレー準備」だった。そこで長谷川は周りに誰も寄って来ていないと判断しプレーの速度を緩めた。そこを「基本の形ならいないはずの稲垣」がかっさらって行った。

「基本の形から外れる」という事で言うと、名古屋がボールを持っている時の藤井や宮原のあがりも以前までは相手がプレスに来た時のロングボールでの逃げが増えてた形から考えると基本から外れた行為になるだろう。

長澤→丸山がつないできた「センターバックが上がる形」を藤井が入ってもやれたという事はこれからの名古屋の「新しい手札(基本の形)」が完成したと言えるのかもしれない。

相手のプレスが始まると…

徳島が思い出したかのようにプレスをし始めた時間帯。そこから雲行きが怪しくなってくる。稲垣、吉田温は動き直しで相手と勝負してボールを循環させるタイプではなく(プレスを脱出する際、吉田豊のパスがミスになり相手ボールになったシーン。あそこが「ビルドアップの為の動き直し」というシチュエーションとしては分かりやすい。)、相手のハイプレスの圧に負けて最終ラインに吸収されることもしばしば、最終ラインに吸収されてしまいボールを前につける選手がいなくなることもあり回収したボールをロングボールで手放す展開が増えて来てしまう。後半ではプレスに屈してしまわないように解決策を考える名古屋だった。

後半:ボールを持てる時間

後半開始早々、名古屋がボールを持てる時間が来る。名古屋は両脇のセンターバックを目一杯に広げてウイングバックを押し出して徳島のサイドバックをサイドに貼り付ける(ピン留め)長谷川とサイドバックの間の空間を広くとることで阿部と甲田のプレーエリアを広げる。徳島のウイングがセンターバックへ引っ張られると稲垣と吉田温のプレーエリアと考える時間が増え、浜下や玄がセンター(稲垣、吉田温)にプレッシャーに行くと阿部や甲田が完全に浮いてしまう為、中盤以降は撤退をするしかない状態に徳島はなってしまった。

ほんの少しセンターバックが開く距離を変えただけが相手の盤面に大きな変化を産むきっかけになった。

名古屋が持てるようになった解決策
名古屋が持てるようになった解決策

持てるようになった理由として、解説の田淵さんがおっしゃっていた通り「阿部と甲田が徳島の最終ラインにプレスに行く頻度が増えた」ということが挙げられる。これは「縦の楔のパスコースを早めに空いていると見せておいて中央で回収する」名古屋の守備の形の変更と持つ時間での名古屋の対策両方がハマっていた時間だった。

そして選手を変えてからは541で構えて危なげなく試合を終えた。 

試合後感想

とにかく稲垣や吉田温が守備でチャレンジできたのも、チームの守備が回ったのも柿谷曜一朗の頑張りなくしてはこうならなかっただろうという感じ。

点が取れない、ボールが収まらないという批判を耳にするが、あれだけピッチにいる他の選手を輝かせられるフォワードの選手はそうそう見つからない。(長谷川監督的にどうか?と言われたら知らないが)

センター2人が華麗に受けてから前を向けるタイプでは無く、試合前は心配があったが、センターバックが絡む形が安定して出来ていたのは良かったのではないだろうか?(まだ時間帯ではロングボールに逃げてしまう時もあるのでこれから練度を上げたいところ)

阿部が我慢できずに降りて来たシーンは印象的。

チームとして「どこで誰をどう使うのか?」は後半のボールを持てている時間でチーム全体で共有出来ていたような感じはする。後はその成功体験を増やすだけ。

「若手の選手がカップ戦に出てリーグに絡むように競争していくチームを作るのが僕のスタンダードだ。」

(JリーグYBCルヴァンカップ グループステージ第6節 徳島戦後 監督会見)

と試合後会見で話していたが、チーム構築の最中にこれが出来る芯の太さは単純にすごいと思った。

最後に

今シーズンどれだけもがいてもなかなか前に進めないチームがある中で、就任してからもがいてる時間も絶対に止まらなかった名古屋。

これから前へ進む歩幅が大きくなることを信じて。

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