23年8月11日、デンマークのメディアから、ユンカーにサウジアラビアからオファーが来ていることが報道されました。
当たり前ですが、勝ち点差2で優勝を狙うことも可能な位置に付けている状態で、2人目のエースを失うかも、ということでパニックになっているかたも見受けられます。
そこで移籍の流れを整理します。
移籍の基本については、こちらの記事も読んでおいてください。
基本的に野球と違って、チームが選手を選手の意思に反して売り飛ばすということはできません。
オファーを出す側から見た移籍の流れ
a)候補選手をリストアップ
チームの強化部は、現時点のチームに必要な選手がどんな選手なのかを洗い出します。
ある程度条件を明らかにしたら、以下のサービスで選手を検索します。
資金の余裕のないチームだと無料サービスのトランスファーマルクトなどを使っている場合もあるでしょう。
調べる内容は以下の3種類です。
- 選手の基本情報(生年月日、身長、利き足、国籍、所属履歴など)
- 選手のプレー映像
- 選手のパフォーマンスデータ
これらをもとに候補を絞り込みます。
b)仲介人に現契約と移籍の条件確認
絞り込んだ候補者数名に対して、強化部は候補者の仲介人(代理人)に、現在の契約状況と、移籍補償金の取り決め状況を問い合わせます。
注意したいのは、この時点ではチームには何も知らされないことです。
c)移籍オファーを選手・仲介人に出す
候補者数名のなかから、1人に絞り込み、移籍オファーを選手の仲介人に出します。
移籍オファーにはだいたい以下の内容が含まれます。
- 契約期間
- 新チームでの年俸
- (必要な場合)支度金
- ボーナスの条件と金額
- 移籍補償金(契約解除のための違約金)
- その他重要な付帯条件
Jリーグチーム同士の移籍の場合は、この移籍オファーを出す前に「他クラブ在籍プロ選手との契約交渉開始に関する通知書」を出す必要がありますが、国際移籍の場合はこの手順は飛ばされることが多いです
d)選手・仲介人がオファーを受けいれた場合 現所属チームと契約解除交渉
選手・仲介人と新チームで移籍オファーを合意したら、現所属チームと契約解除の交渉に入ります。具体的には移籍補償金の値切りです。
ただし、ここまで来たら選手は移籍を同意しているので、基本的に決められた移籍補償金を払われたら現所属チームは対抗手段はありません。
e)移籍内定
現所属チームと移籍補償金で合意したら、あとは移籍内定です。細かい手続きを経て、正式発表です。
違った形の整理
登場人物ごとの細かい流れを整理すると以下の通りになります。
ユンカーの場合はどうなるの?
Q.ユンカーの場合は、いま流れのどのあたりになりますか?
A.報道にまったく具体性がないので、おそらくb)仲介人に現契約と移籍の条件確認の段階(詳細フローのほうでは②の段階)です
Q.浦和レッズが売る、と決めたら売れるんですか?
A.売れません。本人が移籍を希望し、名古屋と、浦和の両方が契約解除に同意して、全てが満たされないと売れません
Q.移籍の確率はどれくらいでしょうか?
A.候補の1人ということで、条件照会をしただけと思われます。名古屋と浦和の両方と交渉が必要という時点で面倒なので、もっとシンプルで実績のある選手にオファーを出したほうが簡単でしょう。まだ移籍の確率はそれほど高くないと思われます。だいたい20%くらいでしょうか。
というわけで、だいたいどんな感じの状態か、おわかりいただけましたでしょうか。
静観していくしかないと思われます。
参考文献:FIFA “Regulations and the Status and Transfer of Players” PDF注意