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対名古屋か自分達のスタイルか? 2024年J1リーグ第36節 鹿島アントラーズ戦マッチレビュー #grampus #antlers #グランパス Y0194

お互いに相手の力を使って勝ちたい形を取る中で、人数不利になってからもスタンスを変えなかった鹿島と、相手が勝ちに来ない事に面喰らった名古屋。

試合情報

1.鹿島アントラーズ・名古屋グランパスのスターティングメンバー・ベンチ
1.鹿島アントラーズ・名古屋グランパスのスターティングメンバー・ベンチ
ポジション名鹿島アントラーズ名古屋グランパス
GK(ゴールキーパー)早川ランゲラック
CB(センターバック)関川・植田(うえだ)野上(のがみ)・三國(みくに)ケネディ・河面(かわづら)
SB(サイドバック)安西・三竿(みさお)
WB(ウイングバック)和泉・徳元(とくもと)
CMF(セントラルMF・ボランチ・センター)柴崎・知念椎橋(しいはし)・稲垣
IH(インサイドハーフ)・シャドー・トップ下森島
SH(サイドハーフ)・WG(ウイング)仲間・樋口(ひぐち)
FW(フォワード)鈴木・師岡(もろおか)永井・山岸
各チームのポジション名と選手名

対名古屋か自分達のスタイルか?

もはやシーズン佳境になり、名古屋相手にビルドアップをしたかったら4バックで幅をとってスタートする事で中盤の空洞化に繋がる事が晒上げられている中で、センターバック間の幅が狭い鹿島。

ボランチ&センターバックの四角形が崩れにくい中央が整理された形は稲垣と椎橋としてはやりやすかったのだろう。

鹿島の中央の四枚に対して森島&永井、椎橋&稲垣の形で迎え撃つ。それに加えて安西もビルドアップ部隊の一角に入ってくれるので山岸も比較的守備で迷うことは無かった。安西が何処にいるか?を基準とするだけでよかった。

編注:サッカーでは守備につく際のポジショニングは決められたゾーンに位置するか、担当する相手選手の位置に合わせて位置取りをするかの2通りで決まります。グランパスの場合は後者の手法を取っていて、今回鹿島はそこまで対名古屋の位置取りではなく、自分たちがやりやすい位置取りをしていた、ということです

センターバック間が狭いとビルドアップ時の2ボランチの立ち位置の自由度で縦の自由度が作りにくい。縦の自由度が無い分名古屋のセンターは後ろ向きの矢印に意識を割く余裕があった。

2.名古屋と鹿島のCMFのマッチアップ
2.名古屋と鹿島のCMFのマッチアップ

逆に2ボランチ対2センターの構図で苦労したのは鹿島だった。名古屋陣でボールを奪われた際、鹿島の守備は2センターの回収に対して2ボランチが対応する必要があった。これにより、ファーストディフェンスが2ボランチとなり、センターバックとボランチの間に自然とギャップが生まれる。

特に、三竿が名古屋のセンター脇にポジショニングしている時や、ビルドアップ時にボールが来ないことで追い越す動きをするため、センターバックとボランチの間のスペースのケアが攻守の切り替え後に難しくなった。

3.名古屋のCMFがボールを回収したときにファーストディフェンスが鹿島ボランチになってしまう
3.名古屋のCMFがボールを回収したときにファーストディフェンスが鹿島ボランチになってしまう

両チームともほぼ同じタイミングで攻撃を仕掛けた。 

鹿島は鈴木と師岡がセンター脇に降りることで、ボランチラインとの縦関係を構築。しかし、守備時には永井がトップ下に入り、柴崎をマンツーマンでマークするため、縦のギャップの構築がそれほど効果的ではなかった。

一方、名古屋はセンター対ボランチの構図に加え、鹿島のSHが左右のCBに当たりに来るという不均衡を利用し、IHがボランチの裏でボールを受ける形を選択した。(3-4-2-1に対して4-2-3-1で対応した。)

4.鹿島が仕掛けたFWの落としと空いたIH(山岸・森島)を外経由で使う名古屋
4.鹿島が仕掛けたFWの落としと空いたIH(山岸・森島)を外経由で使う名古屋

名古屋スタイルとイレギュラー

後半に入ると、名古屋は前線からプレッシャーをかける形を取った。名古屋が前からプレスをかけると、鹿島のセンターバックが自然に広がり、名古屋のSHや逆サイドの選手がフリーになる状況が生まれた。そこで、センターがカバーに行くと中央が空くため、プレスの代償として中央かサイドを捨てる選択肢を迫られる。今回はサイドを捨てる選択がなされ、クロスの数が増加。

この展開の中で、鹿島は1枚退場となった。

その結果、鹿島は4-4-1で守る形をとった。

名古屋は両ウイングバックを上げるため、センターバックを内田に変更し、守備を強化。内田が求められる理由の1つに、「後ろ向きの走りに対応する能力」があり、ここはそれが求められるシーンだった。また野上によって、ウイングバックにボールを預けた後のリスクを相手ゴール側で取るため、攻撃的なシフトが見られた。

森島と永井はサイドバックの裏を取る動きを続けたが、鹿島が守備体制に入った段階で、彼らの動きに周囲が反応しなくなった。しかし、内田が入った時間帯から中央に留まる時間が増え、内田、野上、稲垣の3人でワイドの奥を取る形でラストシュートの人数を増やしていった。

左サイドのサポートが手薄になるものの、徳元が水準以上のクオリティでこなしたパスとドリブルの2つの役割で何とか対応できた。

サポートが薄くなることで、鹿島もマークが緩む展開に。

この状況で名古屋は山中を投入することを選択。山中の投入により、サポートの偏重を変えずに済んだが、徳元ほど奥深く仕掛けるプレーがないため、キックの精度が重要となった。

吉田温紀が適切な対応を見せるものの、連携経験の少なさが左サイドの課題として浮き彫りになった。

5.鈴木優磨退場後、外を捨てて中を締める鹿島と名古屋の打ち手
5.鈴木優磨退場後、外を捨てて中を締める鹿島と名古屋の打ち手

試合雑感

  • 見返すと相手を見て前半は遅く攻める部分を突き詰めようとしたなという印象。後半は相手があれだけ内側に4-4で組まれてしまったらさすがに崩し辛い。WBも放置されて「名古屋はリスクをかけてこなかった、圧力が少なかった」といわれるのは謎。
  • 後半に入って名古屋は10分以上も前線から当たりに行く形。鹿島からしたらやって欲しい展開で組みあったにも拘わらず、結局はその時間帯でも個人の質(師岡と鈴木が人を集めて時間とスペースをどう使うか?)に頼っていたので、鹿島側はそもそも盤面支配の設計が無い事に課題があるようにも見えた。
  • WBを捨てられる後半の展開で、スっと奥まで仕掛けられる点では中山の投入もあるかと思ったが、大外の縦方向は苦手という事もあり、大外で奥まで取れる選手の少なさが露呈した。(そもそも和泉、徳元、内田、野上。全員できる役割が複数ある上にリーグでやれる基準値以上という異常なWBという事)
  • 構えられることが少なかったので、「だれがどうやって何をずらしていくのか?」は迷って当然といえば当然。(鹿島同様、個人の質でズレ待ちしてるのは確かなので。)これができないから悪いのではなくて、次やらなきゃいけない事として繋がっていくことのほうが大事。できないから組織自体を変える選択を支持しても盤面のどこか他に穴が開くだけ。

さいごに

残留が決まったからと言って簡単に試合に出してくれるチームではありません。ここからは相手と戦いながら選手たちも最後の勝負。

このチームで出来るのもあと2試合。

吉田温紀
この試合で気の利いた動きを魅せた吉田温紀

Comments & Trackbacks

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  1. 初っ端の「もはやシーズン佳境になり…」の文章から理解ができず心が折れかけたので編注すごく助かります。もっとあればありがたい。

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