補強優先度高:
- 強度と稼働率に問題のある左CBの補強:補強ポイント記事第1回:宮大樹にオファー
- 永井謙佑の次世代が欲しい:補強ポイント記事第2回:細谷真大(破談済み)・武藤嘉紀にオファー
- 質の高いフィニッシャー:補強ポイント記事第2回:山岸祐也・キャスパー ユンカーの復活待ち
- ビルドアップに参加でき、ストップ能力も高いスーパーグレートGK:補強ポイント記事第3回:シュミット ダニエルにオファー
優先度中:
- 手薄なセントラルMFの補強:加藤玄の入団内定
- 左WBのレベルアップ:徳元悠平の完全移籍獲得
- 強度を上げたいがアスリート能力も求められる右CBの補強:原輝綺にオファー
優先度低:
- 右WBのレベルアップ:野上結貴の次世代が欲しい:原輝綺にオファー
- 三國ケネディエブスの流出への備え:谷口栄斗にオファー(破談済み)
デスク:ミッチが帰国して、はや1週間が経った
編集者:夏に退団が発表されて、そこから後継者がいまだに発表されないことでヤキモキしているひとも多そうです
デスク:既に五ヶ月経っているからな
編集者:ただ、シュミット・ダニエル選手へのオファーが報じられています。
デスク:なんでシュミット・ダニエルなのか、ということを考えていこう。
ミッチはどんなキーパー?
編集者:ミッチと言えばセーブは鉄壁!っていうのが一番最初に来ますよね
大迫勇也選手と武藤嘉紀選手が「ランゲラックなら届きそうだねあそこ」 「ランゲラックなら届く」っていいながら練習している動画があるくらいですね。
デスク:とはいえ、DFがしっかりしてくれないと失点をゴールキーパーだけで減らすことはできないんだがな。実際、今年の名古屋は失点が多かった。(失点数47:20チーム中8位)
編集者:2023年は41点ですから、失点は6増えてしまったわけですね。
失点が多かった理由はなんなんでしょうか?
デスク:被ゴール期待値:1.231に対して平均被ゴール:1.24とわずかながらも危なそうなシーンで比較的確実にゴールされている、ということだ。グランパスはフィッカデンティさん以来、被ゴール期待値に対して実際の平均被ゴールが大幅に低いところが伝統だった。しかし、DFライン総取っ替えの今年はそうもいかなくなったということだろう。
次の統計を見て欲しい
編集者:低い位置でボールを持っ割合は、過去に比べて大幅に減っているのですが、自ゴール近くでボールを持ってもあんまりシュート撃たせないし、撃たせても決められない、ということですね
デスク:2023年のデータを見てみよう。2024年は大幅に改善していたことがわかるだろう。2023年は相手シュートの成功率は15%近かったりする。
編集者:なるほど。じゃあ一部で「ミッチももう衰えが…」なんて言われていたのは気のせいだったんですかね。
あれ?じゃあなんで失点増えているんです?
デスク:失点パターンを見て貰うとわかるのだが、グランパスはクロスの守備が弱い。これは今年だけの話じゃなくて、ずっとなんだが、クロスからの失点がグランパスより悪いのは磐田・鳥栖・横浜FM・新潟・川崎だけだ。
3バックの弱点でもあるのだが、サイドの裏を突かれて、そこからクロス、沈められるというパターンだ。
編集者:クロス対応ですか・・・3バックにしていることのデメリットが出ちゃう感じですかね
デスク:特に、カウンターで枚数が揃っていない状態で送られるクロスに弱いようだ。
クロスからのシュートって本当に至近距離からのシュートになるので、それはさすがにミッチでも止められない。
編集者:失点増は、ミッチだけの責任ではないということはわかりました
ミッチの弱点とシュミット ダニエル・一森純・朴一圭との比較
編集者:ではミッチの弱点はどこなんでしょうか?
デスク:それは誰しも判っていることだと思うが、やはりキックの技術だな。
編集者:なるほど。キックがうまいというと朴一圭選手や一森純選手、そして補強候補にもなっているシュミット・ダニエル選手ですよね。キック精度に小久保玲央ブライアン選手もびっくりしたという。
デスク:その3人との比較を見てみよう。
編集者:うわあ、パギさん(朴一圭)無双じゃないですか。セーブ数関連の数値凄すぎる
デスク:鳥栖は最多失点タイだからな、あのDFラインだからシュート撃たれる量も半端ない、
そこも考慮に入れる必要はある。
編集者:ボールタッチ数も圧倒的ですね。パスの総数系もパギさんが多いです。
一方で、シュミット・ダニエル選手は成功率が半端ないですね。
デスク:一方で、やはりミッチは1試合あたりのパス数も1人だけかなり少ないし、成功率もかなり低い。ここが弱点と言って良いだろう。
編集者:なるほど、ミッチの退団をきっかけにここをなんとかしたい、という強化部の意図はありそうですよね。
ただ、パギさん・一森選手のようなキーパーはメチャメチャ希少種です。あとは飯倉選手もいますが38歳、パギさんも35歳、一森純選手もそれより若いと言っても33歳です。
デスク:意図があるのは間違いないだろう。もう一つ興味深いデータがあるので見て欲しい。
編集者:うわあ、パギさんと一森選手はPA外に派手に飛び出ていますね。
意外なことにシュミット・ダニエル選手のヒートマップがかなり狭いです。ミッチのほうが広い。
デスク:チーム戦術の影響の可能性もあるが、あまり飛び出てどうにかするというタイプではなく、それでも高いキックの精度で長短のパスを配球しているということだろう。
チップパスが守備の頭越しに飛ばせる短い浮き球パスなんだが、これが4人のなかで抜群にうまい
編集者:そうなると、無理にキーパーがあがらなくても良くなりますね。一方で守備でランアウト(飛び出してカウンターに対処)はあまり得意ではなさそうですね。
デスク:数値上はそうなるな。おそらく彼の弱点はそこになるんだろう。
タイプ的にはセーブ能力は少し落ちる代わりにパス・キック能力を大幅向上したタイプという感じだ。
編集者:パギさんや一森選手じゃなくてシュミット・ダニエル選手なのはそういう攻撃面でのミッチ強化版だというところが理由ですかね
デスク:ちょうどパギさんとミッチの中間タイプという言い方も出来そうだ。
なので、いきなりパギさんがグランパスに来るよりもDFラインに溶け込みやすいのではないだろうか
なぜシュミット・ダニエル選手の加入は発表できないの?
編集者:正式オファーを出したという報道から、1ヶ月以上経ってリリースが出ていないのはどうしてでしょうか?
デスク:まず、ベルギーは秋春制なので、まだシーズン中だということ。控えのキーパーであってもシーズン中にキーパーを抜かれたら相手のチームも困るだろう?
編集者:名古屋で考えてみれば武田洋平抜かれるってことですもんね。控えがずっとピサノ、だとちょっと不安がありますよね。実績ある選手が欲しい。
デスク:シーズン中ということは契約の途中なので、オフシーズンとちがって相手チームも契約の話し合いに関係者として参加できる。(違約金が発生するため)
後任のキーパーの目処が立たないとチームが首を縦に振らないだろう。そこがポイントだな。
編集者:もうちょっと時間がかかる可能性もありますね
デスク:1月4日にベルギーの移籍シーズンが始まる。そこで決まりそうだ。
プランB、Cはありますか?
編集者:垣内記者のYouTubeでも、シュミット・ダニエル選手自体は移籍に前向きということなので、シュミット・ダニエル選手に期待したいところなんですが、万が一となると外国籍選手になるでしょうか。
デスク:そうなるな。外国籍選手といえば、あの人に登場いただくしかないな!
yosuke
https://x.com/maimaidenden
杜の都、仙台を中心に活動している20代。小学生の頃にアジアのエスニックなユニフォームデザインに魅力を感じ、独自に情報収集を開始。歳を重ねる毎にアジアサッカーの虜となる。FKでの得点が大好物だが、これまで10年以上のアマチュア選手キャリアの中で1度もFKを蹴ったことがない(なかなか蹴らせてもらえない)。またベガルタ仙台やソニー仙台、コバルトーレ女川といった地元クラブの応援にも熱を注いでいる。
デスク:そうなるな。最新の記事はこの2つだ。Twitter(X)も外国籍選手情報が満載なのでフォロー推奨だ。@maimaidenden
編集者:yosukeさん、昨年に引き続きありがとうございます。外国籍GKでオススメはありますか?
yosuke:よろしくお願いいたします。まず1人目、「名古屋サポーターが好きそう枠」は元U-19ポルトガル代表GKヴラジミール・ストイコヴィッチ(28)です。
編集者:ストイコビッチ!yosukeさん名古屋サポのツボをわかってますね。どんな選手なんでしょうか?
yosuke:かつてセルビア代表として活躍した同姓同名の選手の甥で、サウジアラビアのアル・オクドゥード在籍時代は叔父さんもアル・フェイハに在籍していたので、叔父と甥が共に同じ国の、同じリーグでプレーするという珍しい現象が起きました。 今は叔父さんは引退し、甥のヴラジミールは2部のアル・ファイサリー・ハルマに在籍中。ただ監督が変わって以降はベンチに座ることもあり、今冬は放出されるのでは?と予想しています。191cmとサイズがあり、シュートストップには定評があるサウジリーグ好みのGK。お父さんもGKで、ポルトガルリーグ在籍時に生まれたのでポルトガル国籍も持っています。
デスク:なるほど!だがシュートストップ系のキーパーだと、名古屋グランパスでも東ジョンという優秀なキーパーがいたりする。足元に優れたキーパーで、オススメはいないでしょうか。
yosuke:なるほどそういうオーダーですか!ふむふむ。では彼はどうでしょうか。
「yosuke本命枠」はオーストラリア代表GKトム・グラバー(26)。個人的に名古屋が獲るなら彼一択かと!動画はメルボルン・シティ時代のものです
編集者:ミッチに続くオーストラリアの系譜!どんな選手なんでしょうか?
yosuke:彼はユース年代に海を渡り、イングランドのトッテナムのアカデミーで育成された196cmの大型GKです。長い手足を生かしたセーブはもちろん、足元の技術もあります。
トッテナム・アカデミーではサイ・ゴダードと同期でした。ただトップでの出場はなく、オーストラリアへ帰国。
19年から加入したメルボルン・シティで大ブレイクして、イングランド移籍を果たします。
現在はイングランド2部のミドルズブラに在籍中です。 ただやはりイングランドの壁は厚く、現状は第3GKだとか。
年齢や今後のキャリアを考慮しても、ランゲラックのように日本でブレイクする姿が容易に想像出来ます。
編集者:なるほど、それならキャリアの転換点としていいかもしれないですね。
yosuke:グラバーは本当に勿体無いというか、本当に当時のランゲラックのような「出場機会があれば…」という立場にあります。完全移籍という形でなくとも、ローンでも獲得はあり得そうです。オーストラリア国内でも「早く移籍すべきだ」との声もチラホラ聞きますから。
オーストラリア代表としては主将のライアン、サブのガウチも所属クラブではレギュラーではないのですが、やはり市場価値が高いというか..。ローマとアストン・ビラなのでリーグ戦の最中に出せないと踏みました。で、グラバーと。
ちなみに「グローバー」と発音する人もいます。
デスク:これはいい選手を推薦していただきました。yosukeさん、ありがとうございます!
結論:このマーケットで名古屋がGKに求めているポイントとは?
デスク:以上のことをまとめるとこうなる。
- シュートをストップ能力は平均以上必要
- パスの成功率が高い
- ロングパスの精度が高い
- 相手のGKへのプレスをチップパス(短い浮き球のパス)でかわせる
- プレーエリアがある程度広い
編集者:シュミット・ダニエル選手は5)以外はすべて満たしていますね
デスク:すべてを満たした選手なんてそうそうはいないから、大部分満たしている選手であれば強化になる
編集者:全部ダメでも、武田洋平選手がいますからそこまで深刻ではないですね。
デスク:相模原・琉球でレギュラーを張った東ジョンもいるし、長谷川健太監督が大きく期待を寄せるピサノアレクサンドレ幸冬堀尾もいる。彼はシュートストップを鍛えれば、序列を変えられるという期待をされていた。
編集者:そう考えてみると裏条件として、若いこの2人に繋げる、ある程度のベテラン層である、ということも求められそうですね
デスク:そうだな。そう考えるとシュミット・ダニエル選手はちょうどいい感じなのかもしれない
編集者:うまく契約がまとまることを祈りましょう
デスク:本当に良い選手が来てくれますように。