監督曰く「今日は上手くいかなかった日」だそうです。
https://inside.nagoya-grampus.jp/inside/detail/index.php?sid=2009&cid=105
ついに来ました。積み上げがしっかりしてるチームとの対戦。
気合VS積み上げは積み上げの勝利。名古屋の頭を疲れさせた鳥栖の勝ちでした。
スタメン
鳥栖は小屋松が前に出て、飯野が下がり目の4枚で構える場面も。
名古屋を誘導する
鳥栖は前三枚で壁を作り左右にボールを寄せる。名古屋が鳥栖のプレッシャーからの脱出を図るには
- マテウス、前田にボールを収める→反転orセンターを経由して前進
- ランゲラックまで戻して逆から速く。
の二択。その選択肢に対し鳥栖は、前三枚の壁を状況に応じて名古屋のセンター2枚の前後に動かすことでボールの流れをコントロールした。
具体的にはサイドから前田、マテウスを経由したい素振を見せる場合はサイドバックにプレッシャーをかけながら稲垣と長澤の前に立つ。
センターを経由されないようにサイドからのボールが入るであろう選手(稲垣、長澤)を前線の蓋+1で取り囲む。
こうなるとサイドの反転orやり直しの二択になる上にサイドが後ろ向きでボールを受ける以上、そこに強く当たりに行けばボールの動きは前にはいかなくなる。
サイドから脱出できない名古屋はランゲラックまで戻して逆側に振る。すると鳥栖の壁は戻している間に今度は長澤と稲垣の後ろに入り中央に蓋をした。3枚の壁+1枚でボールの抜け道を封鎖した。
そうなると名古屋はまた逆でやり直しを図る。今回は長澤と稲垣を後ろに押し出してるためそこにボール展開をさせて、逆に振られたときに前目の位置を取りづらくしている。逆に振った時に宮原、吉田にまで展開はできるが、そこに入る時にはボールの展開距離が長い為、鳥栖の前線の蓋のスライドが間に合い、サイドバックにプレスをかけ直す。というように同じ形を繰り返す。
鳥栖の試合後インタビューで酒井が「守備面では、簡単に中のボランチを使わせないことだったり、なるべく外回しで行かせることを特に意識してやりました」と話してるように、前線の蓋が意図をしっかり持って動いていたことが分かる。
参考:試合後インタビュー→https://www.sagan-tosu.net/match/schedule/2021041807/#st_gameDetailComment
名古屋側の対応
名古屋もこの鳥栖の形に黙って付き合っているわけでは無かった。前半15分、かすかに打開の光が見えた。
3枚の蓋+1で形成される壁の両端の基準点は名古屋のサイドバック。ならばサイドバックが高い位置を取れば蓋の端は剥がれてくれる。
長澤がCB間に降りたことで中谷が外へ追い出され宮原が高い位置を取る。そうすることでふたの端に当たる小屋松が宮原についていきスペースが空く。そこへ前田が降りて甘くなった蓋の裏にいた稲垣に落とし、前田と入れ替わった宮原へパスが通る。
27分過ぎも打開の光が見える。
鳥栖のケアしたいスペース(蓋+1で囲った場所)にマテウスが無理矢理入り鳥栖の選手を寄せる。そこから逆でやり直す時に本来、宮原を基準としている小屋松が鳥栖の選手の間に阿部が入った事でプレッシャーが遅れる。一手遅れた為、鳥栖の選手は連動して動いてる選手へ反応してしまう。マテウスにも釣られた結果ボールが鳥栖のプレッシャーから抜け出した。大きく空いた長澤の元へボールが入った絶好機だったがファーストタッチが大きくなってしまった。
給水後からは阿部が右寄りに立つことが増え、27分過ぎの再現を狙うと共に、長澤が左で詰まっていた問題も同時に解消。チームとしては左右で押し込めるような展開になったが長澤にとっては急にタスクが増える展開となり難しい試合となった。
(守備に加えて、展開、運搬、仕上げの役割が大きくなった。)
もちろん出来ない役目を与えるような監督ではないので、長澤の能力を信頼しての事。攻撃の部分が即興なだけに、慣れるまでの今の期間が苦しいと思うが乗り越えてほしい。
2失点目
一失点目は昨日のグラぽのレビューを見てもらうとして、2失点目を振り返る。直接的な要員は長澤のクリアミスなわけだが、その前に勝負は決まっていた様な気はする。
クリアしたボールに対してマテウスと吉田が詰めたことで(特にマテウスは後追い)エドゥアルドを見なければいけなくなった為、外にずれる事になった。それにより空いたスペースにヘディングでパスを入れられ、前田が酒井と本田に挟まれるミスマッチを背負う。そのこぼれをミスしたことでシュートに繋がった。
先制された状態でのセットプレーを経験してない以上、全選手同士で場面毎に「どう乗り切る?」をいつも以上に共有できてないと、防げたはずのミスは起きてしまう。
失点は44分での出来事。「守って終わるのか」「カウンターを狙うのか」をハッキリすべきだった。
- 4人に対して9人で守っていた。
- 前残りがマテウスや前田ではなく阿部だった。
この事を考えるとマテウスと吉田が詰めて長澤が難しい体勢でクリアするよりマテウスが後追いせずに長澤が正面からヘディングでクリアできる状況を冷静に作れてたら‥‥と悔やまれる。
いきなり隣の選手が後追いでマークを外して前へ出ていったら守備整理なんて概念はなくなってしまうし、困惑して当たり前だ。長澤だけを責めるのは違う。
後半から~
後半から狭い所で無理矢理受けれる柿谷とそこに出せちゃう米本を投入。それに対して鳥栖はハッキリと後ろを4枚に変更。前からプレスする名古屋をあざ笑うかのようにアバウトなボールを前線に送りつつ、ボールを持ちたい名古屋の心理を逆手に取り、あきらめずにボールにチャレンジしていった。後半開始5分間でピンチを2度迎える事に。
一方で名古屋は米本、丸山の縦の楔を使いながら点で合わせる攻撃も。いままで擦り合わせてないだけに後半はひたすら引き出しを増やすチャレンジが続く。
森下と相馬を投入後は蓋があった時より整理されていないサイドをひたすらに殴り続けた。
囮の理解者
稲垣の得点シーンの直前。木本は森下に逸らした瞬間、足を止めずに全力でゴール前へ駆け抜けて行った。あの状況下では森下からスルーパスが出るのは非常に薄い選択肢。しかし、その「薄い選択肢」に対して最速全力でプレーする事で合流が遅れた山崎が脅威に見え、稲垣のシュートスペースを作った。
囮(死に役)の唯一の理解者、相手を崩すのに必要な役割を理解している選手がパワープレイ要員だったという悲しい結末。
まとめ
ゴールになりうる打数としてはいつもと変わらなかった印象。その上で打率をあげるための囮もいない、引き出しも無い中でゴールにつながる可能性のある打席で「入らなかった」だけという感覚。
この試合がいつ来てもおかしくなかったのでそこまで悲観する内容じゃないのかな?と
良かった所
- 森下初出場&期待が膨らむプレー
心配な所
- ホントにデコイする人もなしでこれからもやるんすか…
- 阿部、柿谷いたらなんとなく形になってしまう所(攻撃がチームとしての枠組みの影響が薄い)
- いよいよ米本は外せないピースに…(CBよ、早くあの頃を思い出すのじゃ)
最後に
ホームでは現地観戦をしているが、明らかに最近声量が大きくなっている。特に鳥栖戦では審判に対するヤジもDAZNで見返して気になるぐらいの声量で入っていた。
心の声が漏れてしまう人は勇気をもって「観に行かない選択」を勧める。
こんな状況だからこそ
「スタジアムに来る人が嫌な思いをしないような、見えない他人への優しさを。」
ガンバ戦は選手も見てる人も気持ちのいい試合を作る協力がスタジアムにいる人みんなで出来たらいいですね。