3連勝!
編集A:ACL3連勝ですよ!素晴らしいですね!
デスク:ひとまず安心というところだろうか。
編集A:なにか含みがありますね。
デスク:手放しで喜べる勝利ではなかったと思う。ACLのグループステージは、リーグではあるものの一発勝負のようなものだ。その中では、勝利こそ絶対優先だ。だから勝てばいい、といえば勝てばいい。ただ俺は少し心配になってしまったんだ。
編集A:なんでですか?0対4、しかもシュート29本に対して相手には4本。圧倒的じゃないですか、我が軍は。
デスク:そのあたりは最後に話そう。まずは試合を振り返ろう。
勝ち点1をもぎ取りに来たラチャブリ
編集A:ラチャブリは、開催国代表としての意地があるので、なりふり構わず勝ち点1を取りにきました。センターバック経験者を4人入れ、そのなかでも3人を3バックに、5-3-2のフォーメーションで守備的に準備してきました。
デスク:実際、スペースがまったくなかったな。
編集A:グランパスはやはりサイドの攻めが中心になりました。
デスク:両サイドバックの守備がそれほどタイトでもなく、スピードもなかったので相馬勇紀のやりたい放題だったな。
編集A:いくらサイドをやぶっても、ペナルティエリア内に5人以上の選手がいるような形になって、まったくスペースがありませんでした。
デスク:そうなるとできることは
1)パスを使ってDFをずらし、スペースを作る
2)クロスを入れて点で合わせる
のどちらかしかない。
編集A:198cmのDFヴァファがいたこともあって、最初はグランパスもクロスは避けて、サイドにロングボールや、中央での早いパス回しも使おうとしていた形跡もあります。
デスク:10分前後の前田直輝のプレーなんかはだいたいそんな感じだったな。
あっさり取れてしまった先制点
編集A:ところが13分に相馬勇紀があっさり#36タナセットを置き去りにできると、クロスが大幅に増えました。
デスク:あれだけイージーにクロスが上げられたら、そうなってしまいそうだな。
編集A:実際、先制点も2点目もクロスからのヘディングでした。
デスク:特筆すべきなのは、これまで多かったふんわりクロスではなく、ライナー性の速いボールがゴールになっていたことだ。
編集A:これまで山﨑凌吾には、そんなにヘディングが強いというイメージはありませんでした。
デスク:確かに泥臭いゴールのほうが多かった。自分の身体の使い方を知る良いきっかけになったんじゃないだろうか。
編集A:これからに期待したいですね。
山﨑凌吾の真骨頂はこのプレー
編集A:3点目の山﨑凌吾のスルーパスは見事でした。
デスク:あれこそ山﨑凌吾の真骨頂だったな。実は前線で身体を張りながら出すパス、これが上手い。
編集A:前田直輝はゴール取りたかったですね。
デスク:チャンスはあったのだが、この日は彼の日ではなかった。
ゆるくなってしまった後半
編集A:後半に入り、マプク・ジュニオールが下がり、#16カシデートが入ります。雨は相変わらず降り続き、ピッチはかなりぐしょぐしょでした。
デスク:一気にスローダウンしたな。それ自体はいい。3-0はセーフティーリードと言って良いと思う。オレの考えるイタリア的価値観なら、ここはリスクを取らずに45分ボールを回していてもいいくらいだ。怪我が怖いからな。
編集A:確かに、このピッチ状態では疲れも溜まりそうですし、怪我も怖いな、と感じていました。
デスク:中途半端に攻め上がり、カウンターされるというシーンが増えた。オレはフィッカデンティは激おこだったと思うよ。攻撃するならシュートまで行って、ゆっくり戻れるようにする。現実は何回もカウンターを食らってしまっている。
難しくなった交代策
編集A:51分に木本恭生が脚を痛めたときは、ヒヤッとしましたね。
デスク:こういう試合で攻撃にリスクをかけると、怪我の可能性が増える。カウンターを食らわないボール回しをするか、フレッシュな選手に入れ替えるか、という選択肢になる。どちらも取らなかった結果、怪我人が出てしまった・・・とドキドキしたな。
編集A:この試合では前線はともかく、中盤・守備では長澤和輝や阿部浩之といったあまり出場時間の多くないベテランを休ませており、怪我のシャビエルもおらず、児玉駿斗、吉田温紀という若手しか入れていませんでした。
デスク:チームの柱である米本拓司とマテウスをどう休ませるのか、というビジョンが見えない。
編集A:最初の交代は59分相馬勇紀・山﨑凌吾から齋藤学・柿谷曜一朗という前線の交代でした。
デスク:休ませた方がいいのはベテランの米本拓司と吉田豊、あとは怪我されると換えの効かないマテウスだよな。
編集A:次の交代は71分の前田直輝・木本恭生→森下龍矢・藤井陽也でした。
デスク:吉田豊を休ませないのか、というのが意外だったな。森下龍矢を入れると聞いて、さすがに吉田豊も休ませるか、と思ったのだが・・・。
編集A:51分に木本恭生が痛めていたことが影響した可能性もあります。
デスク:藤井陽也を入れて、木本恭生を上げて米本拓司を休ませるというプランがあったのだと思うが、それが使えなくなったな。
編集A:この試合では途中から前田直輝が右サイドに出て、マテウスは中盤トップ下というには低めのポジションになっていました。森下龍矢を前田直輝の位置(右サイドハーフ)にいれたのは意外でした。
デスク:そこで使えそうなのは豊田晃大か、石田凌太郎、成瀬竣平ということになるが、実績があるとはいえ森下龍矢に先んじられた石田凌太郎は忸怩たる思いだったろうな。
編集A:森下龍矢は「出場できたら爪痕を残したい」と言っていただけのことはありましたね。
デスク:ポスト直撃のシュートなど、もしも次も出場できたら次は結果を残しそうな匂いはあった。
編集A:守備でも危ないところをペナルティエリア内まで戻ってクリアするなど、良いプレーがありましたね。
デスク:フィッカデンティは少ないチャンスのなかで、良いプレーを見せないと使いたがらない。
編集A:石田凌太郎も、なにくそって思って爪痕残して欲しいですね。
デスク:その石田凌太郎も86分にイン。この時間帯もフィッカデンティらしさだな。
編集A:なにかトラブルがあってもなんとかなる時間帯っていうことなんでしょうね。
デスク:それよりも森下龍矢・マテウスのインサイドハーフはどういうことなんだろうな。
編集A:怖いからどうしても吉田豊とマテウスは外せない、ということなんでしょうか。
デスク:第2戦はあっさり休ませたはずなのにな・・・。
編集A:森下龍矢がまたユーティリティーぶりを見せつけてしまいました。IH(中盤中央)でも危なげなく、それどころかそこから攻め上がってシュートっていうシーンもありました。
デスク:これから出番が増えそうだな。
編集A:齋藤学のゴールも見事でした。
デスク:あの1トラップからシュートは素晴らしい。一時期は日本代表を背負うのでは、と期待されただけのことはある。
ラチャブリ戦・JDT戦で連勝するしかない
編集A:さて、なんでデスクが納得いっていないのか聞かせて下さい。
デスク:かなり運も悪かったが、JDTも浦項に4-1で敗れた。JDTにはイエローカードが5枚出ている。
第1戦:#22(左SB)、#33(右CB)、#10(左IH)、#29(右WG)、#9(CF)
第2戦:#1(GK)、#20(左SB)、#30(CMF)、#42(右WG)
第3戦:#2(右SB)、#33(右CB)、#14(左CB)、#20(左SB)、#4(右IH)
で、次戦#20(左SB)と#33(右CB)が出場停止になる。
編集A:随分派手にイエローが出てますね。
デスク:JDTの先制弾の後、浦項の同点になるPKが物議を醸していたからな。これは荒れそうだ。
編集A:これは確かに選手たちも吹き上がりそうですよね。
デスク:主力選手2人が出場停止となると、浦項の連勝の可能性は高い。そうなるとグランパスは次のラチャブリ戦、確実な勝利が必要になる。
編集A:2強パターンになると、他チーム次第ですが、勝ち点12では2位通過も危ない可能性がありますからね。
デスク:そうなんだ。名古屋だけ3試合消化、他のチームはHとJがやっと2試合消化したってところなのでまったくわからないが、勝ち点15取れば基本的に2位敗退はあり得ない
編集A:このまま浦項と名古屋が連勝を重ねて、最終戦に4点差以上で敗れると順位が逆転するんですよね。
デスク:その場合でも勝ち点15で2位抜けができないというのは、既に引分けがグループHとIで出ている以上、なさそうだ。浦項は、雪辱に燃えてなりふり構わず勝利を目指してくるだろう。そうなったときに勝ち抜けについて背水の陣を敷く状況はしんどい。
編集A:勝ち抜けほぼ確定になっていることが求められる、ということですね。
デスク:そのため、勝ち点15を積みたい。名古屋は引き分け狙いでOK、という状況が作りたい。
編集A:引分けならば問答無用で1位ですからね。
デスク:ただ、今日の後半みたいな雑なプレーを続けていたら、ラチャブリ戦・JDT戦も厳しい試合になることが予想される。それが素直に喜べない理由なんだ。
編集A:なるほどわかりました。
デスク:おそらく次の試合は今回ベンチ外だった阿部浩之・長澤和輝が戻り、齋藤学、場合によっては森下龍矢の先発もあり得るかもしれない。
編集A:米本拓司は休めるかもしれませんが、吉田豊は難しそうですね。
デスク:こういった大勝した試合の次が難しい。選手も休ませたい。次の試合が勝負になるな。
編集A:どういう手を打ってくるか、楽しみですね!