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リード後の戦い方の変化 2021年J1リーグ第28節 徳島ヴォルティス戦レビュー #grampus #vortis #喋る机

編集A:週中のレビューは #喋る机 シリーズということで、今日もよろしくお願いします

デスク:ゆってぃさんは次のACLを担当になる。今回も柔らかめのレビューっていうことで、気楽に最後まで読んでみて欲しい。

スターティングメンバー

当初予想していたフォーメーション
当初予想していたフォーメーション

編集A:当初予想したのは、福岡戦で見せた3バックでした。

デスク:俺は当初こういう予想をした。

編集A:ポヤトス監督は福岡将太を高く買っているようですね。

デスク:ビルドアップ能力が高いことを買われているんだ。

編集A:岸本武流と西谷和希は高い位置の予想だったんですね。

デスク:プレビューでも書いた通り、特に岸本武流は4バックであっても比較的高い位置にいることが多いからな。

名古屋グランパスのスターティングメンバーから見た狙い

編集A:グランパスは森下龍矢とシュヴィルツォクをスタメンで使ってきました。

デスク:柿谷曜一朗がいないので、2トップの代役はシャビエルか、阿部浩之か、シュヴィルツォクしかいない。その中からの選択だろう。そろそろ先発で使いたいと思うのは確かだ。

編集A:右サイドバックは成瀬竣平の起用です。

デスク:ジエゴと西谷和希を予想して、ハイプレスからの出口になれるのは成瀬竣平しかいない。

編集A:米本拓司ではなくて長澤和輝だったのは何故でしょう。

デスク:純粋にボール奪取とフィジカルコンタクトなら米本拓司のほうが上だと思うが、パスによる組立ては長澤和輝のほうが上だからだろうな。

デスク:結局3センターではなかったが、稲垣祥・長澤和輝で相手の鈴木徳真・岩尾憲にプレッシャーをかけるという点はその通りだった。

編集A:長いボールは米本拓司も上手いと思いますが。

デスク:その役割はキム・ミンテが担えるから、というのはあるかもな。

徳島ヴォルティスのスターティングメンバーから見た狙い

実際のグランパス・ヴォルティスのスターティングメンバー
実際のグランパス・ヴォルティスのスターティングメンバー

編集A:徳島ヴォルティスは蓋を開けたら4バックでした。

デスク:ジエゴが手の負傷で、100%のプレーができないということで、ボールを組み立てる能力の高いセンターバックである福岡将太を左サイドバックに起用したわけだな。さらに対マテウスの守備という点でも期待があったと思う。

編集A:ドゥシャンではなく、石井の起用にも驚きました。

デスク:恐らくクバ対策だ。クバには強さよりも、アジリティ(素早さ)のほうが必要と踏んだんだろう。

編集A:前線に移りましょう。宮代大聖はなんでいなかったんでしょうか。

デスク:理由は不明だがいなくて助かったな。彼は素晴らしいフォワードだから。

編集A:垣田裕暉の起用の理由はなんでしょう。

デスク:徳島ヴォルティスとしてはボールを握りたいので、ボールを収められるということを期待しているというのはある。ロングフィードであってもある程度競り合って収めるチカラがあるので、カウンターもイケる。

リーグサマリー:2021 J1 敵陣空中戦ランキング(プレースタイル指標) | データによってサッカーはもっと輝く

編集A:リーグでも14位というのは立派ですね。ただ、これほどの選手が今季25試合出場で3ゴールというのは、いかにJ1が厳しいリーグか、ということですね。

前半

編集A:序盤は徳島ヴォルティスペースの時間がありました。

デスク:西谷和希がやっかいだった。成瀬竣平の対面だったが、かなり手こずっていたな。

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編集A:予想通り、福岡将太のサイドからの組立てが多かったように思います。

デスク:ボールも奪えていたしな。マテウスも福岡将太のファール覚悟のプレーでなかなか自由にさせてもらえなかった。調子のいいときのマテウスは遊び心ありすぎで、変なヒールパスやトリッキーなパスを出してカウンターを食らうことが多いのが難点だな。

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編集A:いくつかそういうシーンがありました。決定機はありませんでしたね。

デスク:プレスがかなり厳しかったせいで、途中から攻撃の組み立て時に稲垣祥が下がって3バックを構成するようにしていた(サリーダ・ラボルピアーナ)。序盤はだいぶ押し込まれていたが、それでも涼しくなってきたせいか、マテウスも前田直輝も、もちろん森下龍矢もしっかり戻って守備をできていたからシュートは撃たせても決定機は防げた。

ポヤトス監督の声が響き渡る

編集A:ポヤトス監督の指示が丸聞こえでしたね。「アイダ!」「キリカエ!」など、ヴォルティスの狙いがそれだけでまるわかりだったような(笑)なかでも気になったのは「もっと後ろ」という指示でした。攻めているのにもっと後ろ、とは・・・?

デスク:みぎさんの5月のプレビューにもあったように、ポジションバランスを重視しているからだろう。前に押しこみ過ぎると、カウンターのリスクが高くなる。最終ラインが高くなるのは「守備がマネジメントできているうち」はOKで、そのバランスを崩してまで押し込んでは駄目、ということじゃないかな。

故にダニエルからよく聞かれる言葉は〝オーガナイズ〟で、ピッチ上の選手たちのポジションバランスには人一倍気を遣う。

みぎ

編集A:デスクのプレビューでもあった通り、徳島ヴォルティスの組立てのミスは確実にありましたね。

デスク:カカと石井でマークを受け渡しながら、クバへのマークは手加減なしだったから得点はできなかったが、クバは2回も組立てを破壊するパスカットを見せていた。ゴールできなかったのは残念だったけど。

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ヤクブ・シュヴィルツォクはどうだった?

編集A:ヤクブ・シュヴィルツォクの出来はどうだったでしょうか。

デスク:北海道コンサドーレ札幌戦に比べればもちろん上がってきている。5試合で3ゴールということで、マークが厳しくなってしまっているのが痛いな。

編集A:岩尾にギリギリでクリアされたシュートなんかは惜しかったですね。

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デスク:単なるパワーシューターなだけではなく、ああいう搦め手もできるところが本物のストライカーだな。素晴らしい選手だ。

編集A:少しポストワークにパワーを割きすぎなのでは・・・?

デスク:グランパスのフォワードはポストをしないとチームが前に進めない。だからそこはしょうがないだろう。

編集A:得点が取れなかったのは痛かったですね。

デスク:得てしてこういう試合ではカウンター一発で沈んでしまうことがあるので、そこのリスク管理は必要だな、と前半戦終了時に思った。

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前半のMIP

編集A:前半で気になった選手はいましたか?

デスク:やはり長澤和輝だろう。対面の鈴木徳真を消しにいくだけでなく、自分でも持ち上がったり、クロスに飛び込んでミドル。ほぼ完璧と言って良かった。やっとフィッカデンティ監督のサッカーに適応完了した、と言って良いのでは。

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後半

編集A:後半3分、危ないシーンがありました。

デスク:垣田裕暉の抜けだしはよかった。何回かあったが、こういうシーンでちゃんと粘って守備ができた上でランゲラックだから、クリーンシート18回は偶然ではないな。

編集A:待望の先制点が入ります。

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デスク:この写真はクバのポストに森下龍矢が反応して飛び出すところだったが、この時点で守備の要、カカが振り切られている。この高いポストは半端ないし、そこに抜け出せる森下龍矢も素晴らしい。

編集A:さらに二の矢で前田直輝が走っているという素晴らしさ。

デスク:完璧な攻撃だったな。

PKの判定

編集A:PKの判定はどうでしょう。

デスク:まず手をかけて、そこで抑えきれなかったから押した。この2つが見えていたらファールを取るのは不思議ではない。

編集A:ファールを取るのであれば、DOGSOですね。

デスク:攻劇さんの言うとおり、ボールにプレーしていないのでレッドカードも間違いない。これに対応できていない方が、これでレッドは厳しいという意見も見かけたが、ルールのアップデートをちゃんとして欲しいな。

62秒から、PK獲得のシーン

得点後のグランパスの変化

編集A:退場になったあとはグランパスは一気にスローダウンしました。

デスク:クバ・前田・森下を一気に下げたからな。それ以上に、「リードしているのだからリスクをかけてゴールを奪いにいかなくても良い。」という共通理解を感じた。

編集A:たしかに。そういう意味ではフィッカデンティ監督の意図が浸透してきているということなんでしょうね。

デスク:先制したチームがなぜ強いかと言えば、攻める=リスクを取る必要がなくなる。そこは当たり前なのだが、グランパスの場合はリスクを取らないからといって引きすぎてしまうケースがいままでは多かった。

編集A:ここ最近で言うとルヴァンカップ対鹿島第1戦の前半がそうでしたね。

デスク:そこで身にしみたのか、第2戦はリスクは取らない、しかしベタ引きではないという戦い方ができるようになってきたな。

編集A:それが複数得点のカギでしょうか。

デスク:SofaScoreのAttack Momentumだ。上がグランパスが攻撃をしているところ。グランパスがスローダウンした直後、ヴォルティスが人数をかけて攻めてきた後半20分前後以外はほとんど全部グランパスの側にグラフが寄っている。

編集A:ほんとうだ。今までのフィッカデンティ・グランパスっぽくないですね。いままでは得点後はベタ引きが基本でした。

デスク:もちろん、相手が1人減ったから、勢いが長く続かなかったということはある。とはいえ、ベタ引きしなくて良いんだ、というインプットが選手にされたことは大きい。これをきっかけにこれからもこういった戦い方を続けて欲しい。

その後の展開

編集A:その後の展開でなにか気づくことはありましたか?

デスク:やはりなんといっても金崎夢生だ。かなりコンディションが上がってきていることがわかる。得点こそPKのみだったが、復帰初戦のただ漂っているだけという状態ではない。しっかりボールに絡んで、チャンスを作っていた。

編集A:2回くらいヒヤッとするシーンがありました。

デスク:まだ接触プレーは怖いな。でも彼が万全なら強力なオプションになる。

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編集A:攻めたいときはヤクブ・シュヴィルツォクとの2トップもありえますね。

デスク:サイド一辺倒だった戦い方が一変することになるだろう。

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編集A:シャビエルはどうでしたか?

デスク:やはり上手いな。アジリティもある。守備でこそ柿谷曜一朗に劣るが、前線にボールを運んでいく役割というのは彼が最適かもしれない。

編集A:怪我さえなければ「魔術師」ですからね。

デスク:柿谷曜一朗を無理させなくても済んでいるのはシャビエルが戻ってきたからだな。そうじゃなきゃきっとフィッカデンティは柿谷曜一朗を使っている。

まとめ

編集A:それではまとめをお願いします。

デスク:金崎夢生、シャビエルが戻り、あとは山﨑凌吾と丸山祐市、柿谷曜一朗だけだ。この3人が抜けていてもちゃんと試合ができているというのは素晴らしいことだ。しっかりと補強をして準備をしてくれたチームにまずは感謝したい。

編集A:全員戻ってきたら、誰を使えばいいのか迷ってしまいますね。

デスク:まったくだ。
加えて、先ほども言った通り、リード後の戦い方に変化があったことがなによりも嬉しい。これを一番強調したい。これをもっとプレッシャーのきつい、そう、これからの大邱、横浜Fマリノスの2連戦でも発揮できれば嬉しい。

編集A:なにか苦言はありますか?

デスク:リードをしてスローダウンするのはいいのだが、インテンシティ(プレーの強さや激しさ)まで下げる必要はない。そこでピンチがあった。ミスを完全になくすことはできないが、ミスをいかにリカバリーをできるか。インテンシティが低くなったことで危ないシーンをいくつもあった。これがレアンドロ・ダミアンやマルコス・ジュニオールだったら決められている、というところだ。

編集A:強力なストライカーといえば、この試合には間に合いませんでしたが、ヴォルティスはムシャガ・バケンガも獲得しています。

デスク:強力なストライカーだ。垣田裕暉をポストプレーヤーとしてその相方で2トップを組めるならより怖そうだ。

編集A:間に合わなくて良かったですね。

デスク:ポヤトス監督は明らかに選手のやりくりで苦労している。やはりストライカーの一美和成をサイドで起用しなければならないというのは痛い。

編集A:予算規模の制約のなかで、どこも工夫して頑張っているわけですね。

デスク:逆にコマが揃っているビッグチーム相手に、いまのグランパスがどれくらい戦えるのか、これからの2連戦が楽しみだな。

編集A:8戦負けなしになりました。これを続けていってもらいましょう!

この試合のGood!

  • 前田直輝の好調。これまではサイドでしか活きなかったが、サイドと真ん中をうまく使い分けてきているのがわかる。カウンターを完璧にこなしていた。
  • 森下龍矢と相馬勇紀のポジション争い。ハイレベルで戦ってくれているのがとても嬉しい。
  • 裏を狙う意識を高めた成瀬竣平の成長がまたも見れたこと

この試合のMore!

  • 85分過ぎで脚の攣ったマテウスを代えずに稲垣祥を代えたこと。脚を攣ったあとにプレーを続けるのは良くない。

次も良い試合になりますように

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About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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