グラぽ

名古屋グランパスについて語り合うページ

メニュー

負けられないマッチアップ 2021年J1リーグ第15節 徳島ヴォルティス戦マッチプレビュー #grampus #vortis

三度の飯より四国遠征が楽しみだった皆さんご機嫌様。ようこそ自宅観戦の現実へ。コロナによって楽しみを奪われたと決めつけるのはまだ早い。助けてやるさ楽しみの自家発電。

早速だがこの試合のポイントはたった二つ。この二つを念頭に観戦すれば頭の中だけはきっと四国。では対徳島戦の予習を始めよう。

まずは〝徳島のビルドアップ〟だ。

Embed from Getty Images

そもそも名古屋と徳島、チームのカラー自体が大きく異なる。名古屋の根幹にあるものが〝自陣ゴールをどう死守するか〟だとすれば、徳島のそれは〝相手ゴールまでどうボールを運ぶか〟だ。

そんな徳島、昇格後に新監督を迎えるまさに激動のシーズン真っ只中だが、指揮官がダニエルに代わってもその点に何ら変わりはない。とはいえボールを〝どう運ぶか〟については強い拘りがありそうだ。

では彼らのビルドアップの基本的な配置をおさらいする。両センターバックと左サイドバックを務めるジエゴ(or田向)の3枚がスタート地点。一列前の中央に陣取るのが鈴木徳真、そして徳島のキャプテン岩尾だ。つまりベースはこの5枚、彼らがいわゆる〝ビルドアップ隊〟となる。昨季まで徳島を率いたリカルドロドリゲスとの大きな違い、それは左サイドバックのジエゴが高い位置を取らずむしろビルドアップの起点役となること、その結果として両ボランチが最初の組立てに出来るだけ関与せず(=列を降りない)、一列前でレシーバー役を務める点にある。故にダニエルからよく聞かれる言葉は〝オーガナイズ〟で、ピッチ上の選手たちのポジションバランスには人一倍気を遣う。

今季の徳島を振り返れば、まさにこのビルドアップと対戦相手が繰り出すハイプレスとの死闘だったといえるだろう。〝ボールを保持したい相手(徳島)からはそのボールを取り上げる〟これはまさに常套手段だ。何故ならその手のフットボールはボールを保持する前提で攻守のメカニズムが作られ、またその前提の上でこそチームが循環するからである。裏を返すとボールを取り上げれば結果的にそのメカニズムごと破壊出来る可能性もあるわけで、その攻防にどのクラブも躍起となった。

中でも印象深い戦いをしたのが柏レイソルとサガン鳥栖。彼らの戦い方に共通した特徴は、徳島のビルドアップでスタート地点となる最初の3枚(両センターバック+ジエゴ)にハイプレスは敢行せず、その後の中継地点となる両ボランチ、またはビルドアップの〝出口〟となる残りの前5枚に対しほぼマンマークで対処したことだ。この戦術における肝は〝何故徳島の最終ラインも含めオールコートでマンマークしなかったか〟にある。ここで対戦相手からして問題となるのが徳島のゴールマウスを守る〝神〟こと上福元。先ほど徳島のビルドアップ隊は5枚と記したが実際は〝5+1枚〟だ。徳島の大きな武器は、彼らのビルドアップを相手が深追いすればするほど神の出番を増やし、彼をそのビルドアップに組み込むことで数的優位を生み出すことにある。

つまり柏と鳥栖が取った策は、ボールの〝出元〟ではなくむしろボールの〝出先〟を徹底的に潰すことであり、その際には少しのズレも許すまいと〝ゾーン〟ではなく〝人(マンマーク)〟を基調とした守り方にした点も秀逸だった。結果起きた現象は、徳島の最終ライン側がボールを〝持たされ〟出す場所がないと困り、焦れた結果チャレンジして出した先では背後からのプレッシャーに飲み込まれる中盤の選手たちの姿だった。

さて、ここで最大の見所となるのは〝名古屋がどんなアプローチを取るか〟にある。

徳島に対し最もやってならないのは、中途半端なアプローチを取ることだろう。行くのなら行ききる、構えるなら徹底して構える。四国に行こうか行こまいかと悩んでいた貴方達、それ一番良くない。例えば誰かが四国へ(奪いに)行こうとし、しかし他の仲間たちは四国へ(奪いに)行こうとしない。こうなるともう最悪。ピッチ上に生まれるのは〝ズレ〟であり、徳島がビルドアップに拘るのはまさにこの〝ズレ(スペース)〟を起点とし、相手ゴールまでボールを運びたいからなのだ。それで失敗したのが清水エスパルスで、こうなると徳島は手がつけられない。ズレが新たなズレを生み、対峙する相手からすれば守備の基準点(誰が誰を見るのか)が曖昧になる。全てのアプローチが後手になる、と解釈して欲しい。

ではやはり我々も前から奪いに行くべきだろうか。しかしながらそう断定出来るかといえば実はそんなこともなく、矛盾するようだが〝構える〟戦法も決して否定されるものではない。何故なら〝前から行く〟ことは当然こちら側にも相応のリスク(背後)が発生するわけで、それを嫌いそうなマッシモからすればむしろ構えることで網にかけてしまうのも一つの手ではないだろうか。

徳島のビルドアップが日に日に向上しているのは間違いない。柏や鳥栖相手になす術がなかった過去を思えば、前節の広島戦では目を見張るようなプレーも生まれ始めている。彼らに対し〝行くなら行ききる〟をやりたくなければ、残された選択は〝構えるなら構えきる〟ことでしかない。そして名古屋側のポジティブな材料として、徳島が現在抱える問題点が〝残り⅓をどう攻めきるか〟だったりするから尚のこと面白い(余談だがこれは下位で苦しむ大分も同様だ)。

つまり極論すれば、残りの⅓を〝余裕をもって抑えられる〟自信があるのなら構えてしまってもいいのだ。重要なのは、〝どちらの選択がより勝利への近道となるか〟である。あえて彼らにボールを持たせることでこちら側に引き込んでしまい、守備時とは大きくポジションバランスを変えている徳島の穴を徹底的に突く。そうなれば当然狙い目となるのは右サイドバック、攻撃時はビルドアップに極力関与せず高い位置を取る岸本の裏だ。相馬よ、五輪に出たいのなら殴れ、岸本の裏を殴るんだよ。また名古屋が前からハイプレスをかける場面があれば、岩尾も鈴木徳真も我らが米本には要注意。我がクラブの闘犬は柏と鳥栖以上に獰猛よ。

マッシモ体制になり約2年。相手との力量を測り勝利に向けて最善手を考えるにあたり、マッシモがその相手の力量を見誤った唯一の存在は川崎フロンターレだ。つまり構えて守れると皮算用し、蓋を開けたら全くもって守れなかった相手が川崎であり、今回でいえば徳島のラスト⅓のクオリティと自チームの守備力をどう評価するかに懸かっている。ここでしくじれば守れもしないし奪ってもハイプレスの餌食となり、その土俵は徳島のものとなる。表現を変えれば、同じゾーン(名古屋陣地)で試合が進んでも、それが名古屋の土俵なのか徳島の土俵なのかは、ひとえにこの力関係に懸かっていると言っていい。

余談をすると、ここで上回られる危険性があるのであればやはり前から奪いに行くべきであり、ひいては〝対川崎〟で勝てるチームを目指すのなら、常にそのアプローチにも磨きをかけておいて欲しいというのは欲張りだろうか。リーグで確実に勝ち点を積み重ねる戦い方を貫くのか、或いはてっぺん目指してあの苦い過去を糧とするのか、名古屋の置かれている立場はあの等々力以降、実に複雑な状況にある。勝てていれば良しとするか、川崎に勝てなければこれ以上の成長はなしと捉えるか、皆さんはどちらの意見だろう。

さて、話を戻すが徳島は面白いチームである。

Embed from Getty Images

技術に全特化だった風間時代の名古屋と一概に比較はしづらいが、しかしながら後方からいかにボールを繋いでいくかに心血を注ぐ姿はどことなく懐かしさがあり、またそれでやっちまった光景なんか見た時にはあの日の我々を思い出す。攻撃時は勿論のこと、相手にボールを奪われる前提も当然加味し〝盤面〟を意識するのが徳島だが、一方で無駄なタッチを減らしゴールに迫ろうとするその理想はまさに〝速いフットボール〟そのもので、(あの日の名古屋と)手法は違えど目的は近いと思えば徳島への理解も深まるだろうか。徳島のここ数年の文脈で語るのなら、各々が〝寄る〟ことなく可能な限り〝場所を維持する〟からこそ選手の距離感は昨年とは違うもので、柏や鳥栖のように〝人〟に当てられた際にどう打開するかが目下徳島に課せられた課題である。そしてこの過密日程ではその課題へのフィードバックもそこそこにしか行えないのが徳島の悩みの種だ。レアルだったら黙っていても選手が解決するだろうが、徳島の場合ダニエルはこれをどう解決するだろう。当然ながら徳島の試合後に残る談話の数々は『今チームが何合目にいるのか』との話題であり、『いやいや答えはまだ手探りだ』と答えるのがキャプテン岩尾。まさに積み上げ真っ只中、それが今の徳島の現状だ。そうそう、そんなクラブであるからして、試合後のインタビューの質でいえば徳島は今やJ屈指。特に岩尾憲とライター柏原氏等のやり取りはマジでやべーぞ。これは必読、試合後まで心の四国遠征は終わらない。

では一方、名古屋目線で楽しめることはあるだろうか。せっかくなので今更ながら改めて言及するが、マッシモ体制における名古屋最大の楽しみ方は〝相手のアクションに対しどうリアクションするか〟であり、これぞまさに〝知略戦〟である。確かに我々が毎試合目に見える形で積み上げるそれは乏しいかもしれない。しかしながら相手の長所と短所をあぶり出し、自チームとの力量を測りながら試合へのアプローチを決定するマッシモの戦い方もまた味わい深い。伊達にジローラモに最高級のワイン奢ってないぞなあマッシモ。

徳島がロマンに溢れたチームなら、我々名古屋はそんなロマンに徹底して現実を突きつけるチームである。一戦ごとに積み上げる徳島に、一戦必勝で有無を言わさぬ強さを見せつける名古屋のバトル。そしてアクションをしてくる相手にこそ牙を剥くのが俺たちのマッシモ(とブルーノ)だ。どうだろう、心の四国遠征の前哨戦はこれで万全。

最後になったが二つ目のポイントで締めに入ろう。

Embed from Getty Images

お待たせしました杉森考起。

遂に名古屋と対峙する日がやってきた。あの日、名古屋からの卒業を決断した彼の姿に、推しのアイドルが卒業する時の悲しみを初めて知ったことを今告白するが、我々のアイドルはまだ芸能界(Jリーグです)まで引退したわけではない。

ダニエルになってからというもの、怪我の影響もあり全くもって出番がなかった序盤戦。そんなヤキモキした気持ちを吹き飛ばすが如く、この名古屋戦に間に合わせるかのようにがっつりレギュラーを掴みにかかる考起はもう立派な徳島ヴォルティスの主力である。しかも今季はポジションがまさかの左サイドハーフ。待て待て、対面にいるのは成瀬だぞ。まさかまさかの四国の地で起こり得るユース同士のマッチアップ。

Embed from Getty Images

しかも徳島には徹に吹ヶくんがいて、名古屋には柿谷に山崎と、両者感慨深いメンバーが勢揃い。

Embed from Getty Images

ただの同窓会じゃないかこの一戦(ちがう)。

感慨に浸ってる場合じゃないが縁もゆかりもありそうなこの一戦。なんで四国に行けねーんだコロナのバカ野郎!と唾を吐きつつ、緊急事態だからこそ自宅のテレビでゆっくり観るのもまた一興。

最後に一言。杉森考起よ、成瀬竣平は成長したぞ。

Leave A Reply

*

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

Share / Subscribe
Facebook Likes
Tweets
Hatena Bookmarks
Pocket
Evernote
Feedly
Send to LINE