グラぽを愛読されている皆さま、お久しぶりです。
「菊地が名古屋にくるなら鳥栖サポと言わずとも、近場にうるせえ奴がいるじゃねえか」と白羽の矢が立ちました。お任せください。ほぼ全試合観てきています←
長々と筆を取る前にまずお伝えしておいていいですか。
サガン鳥栖のファンサポーターの皆さま、正直すまん(とりあえず詫びることでお茶を濁す)。
オッケーです。「みぎ大丈夫だよ!菊地頼んだよ!」そんな声が九州のどこかから聞こえてきました。もう気にしません。最近はインテンシティを意識しているので。
さて、 菊地泰智についてご紹介させてください。
初めて観たのは彼のプロデビュー戦、2022年2月19日に開催されたサンフレッチェ広島対サガン鳥栖の試合でした。この年の鳥栖は、前年の主力が大量に流出しまして、大学生をなんと6名も獲得しています。その中で唯一、開幕スタメンを勝ち取ったのが我らが菊地くんです(すいません言ってみたかったので)。
当時、3-4-2-1(つまり今の名古屋と同様)のシステムにおいてシャドーの一角として躍動。たしか、前半にいきなりクロスバー直撃のシュートを放ったんですよ。
コイツはやべえと思いました。即戦力や!胸踊りましたね。点も獲れる技巧派シャドーの爆誕や!
当時はそこまで思ってました。
安心してください。今日に至るまで、プロでの得点はございません(どーん)。
すいませんすいません。めちゃくちゃ好きな選手なので悪いことなぞ書きたくないんですよ。でもこの手が止まらない、イジりたくて仕方ない(筆が乗ってきました)。
この流れで先にお伝えしておきます。
菊地の課題はとにかく決定力です(ガンギマリの眼で)。あそこでバーに当てたのが命運を分けましたね(やめてやれ)。なぜシュートが入らないんだ、ゴールに呪われてるんじゃないのか。そう思っていたので、本拠地を豊スタに変えてみる施策は悪くないと思います。少し前に(長谷川)健太さんが(森島)司に対してボヤいてたじゃないですか。「アイツもっと点獲れればなあ….このままじゃ代表の二列目はキツイやろ(意訳)」と。
一緒です。その課題、菊地もまんま一緒です(完)。
ひとしきりイジって満足しました。話を進めます。
得点力に難アリ(やめてやれ)の菊地くんですが、とにかく器用なんですよ。もうそんな負の情報(本当にやめます)など余裕で超越するだけの魅力が彼にはあります。初めて彼を生で観たときの感想ツイートを見てくださいよ。
ね、絶賛でしょう?安心してください、彼はやります(正しい使い方)。
プロ一年目は器用ゆえにどうにもポジションが定まらなかったんですね。当時の鳥栖は一芸に秀でた選手(例えば飯野七聖や岩崎悠人、小泉慶)が多く、非保持でもアグレッシブに奪いに行くスタイルだったこともあり、そこに菊地がどう割って入るのか、もっといえば「プロの世界で彼のような選手がどう生き残っていくか」が問われていたと思います。左利きなのに右のウイングバックで出場することもありましたしね。どこをやらせても器用にやるものの、一方では強烈なインパクトを残すタイプでもない。「ただの上手い選手で終わってしまわないか」正直にいえばそこを心配していました。
しかし、2年目に転機が訪れます。
鳥栖が後方から繋ぐフットボールにチャレンジし始めたんです。運動量でなんとかする、ではなく、相手の陣形やプレッシングに対して各々が盤面を意識しながら〝技術〟を駆使して打開していくフットボールへの挑戦。
でもこのフットボール、やっぱり最終ラインがプレッシャーを受けてキツくなるし、いわゆる〝逃げ道〟が欲しいじゃないですか。「コイツに預けとけば少なくともボールは奪われない、或いは、なんとか前進させてくれるだろう」そんな安心感のある選手が必要です。
そこで白羽の矢が立ったのが他でもない菊地でした。
そもそものスペックが左利きだったこともあり、まさかの左サイドバックに抜擢。あれです、風間八宏が小林裕紀をセンターバックで使ったみたいなものです。懐かしいなあ、本人嫌がってましたよねえ….ヘディングの練習いっぱいして頑張ってたよね。俺、トヨスポの自主練で彼が酒井隆介とひたすらヘディング練習してたの忘れらんねーんだわ。おっとすいません、脱線したままあと五千字はいけそうなので話を戻します。
実は菊地の左サイドバック、鳥栖のファンサポーターには不評でした。もう一つのスペック、160センチの身長に加え、そもそも最終ラインの免疫も皆無だったので、相手の狙い所になってしまったんです。そうだなあ、ジョアンシミッチのセンターバック思い出せます?あそこまで酷くはなかったですけど(失礼)、まあ苦労してましたよ。目も当てられない、そんな杜撰な守備応対も確かにありました。でもですね、私自身は当時のこのチャレンジを高く評価しています。鳥栖がやりたいフットボールを実現するためには、彼の存在は貴重でした。
いわれる「偽サイドバック」化した菊地は素晴らしかった。立ち位置の取り方、トラップの質、ボディアングルの作り方等々。彼を起点として、前線にボールが入っていくのが鳥栖の形でした。実際のところ、当時の鳥栖に彼と(同等のクオリティで)同じ役割を果たせる選手はいなかったと思います。ですから、どれだけ守備で穴だと言われようが、あのときの鳥栖は左サイドバックが菊地である必然性があった。その想いは今も変わりません。
さて、そしてプロ3年目、今季の話に移ります。
苦しみながらも前年のリーグ戦で32試合をこなしたことで、プロの舞台(スピードや強度)にも慣れ、なにより鳥栖のスタイルにも馴染んできたことは間違いないでしょう。菊地の代わりとなる左サイドバックも鳥栖は確保しました。遂に本来のポジションである前(シャドー或いはボランチ)で起用される機会がやってきたわけです。
いやはや、気づいたら全然中央もこなせるじゃん菊地!おまめっちゃ上手いな!そもそもテクニックに関しては前述の通り申し分なかった。加えて、今季は前線でも巧みな立ち位置の取り方で相手に捕まることもなく、受けたら受けたで必要最小限のタッチのみでボールを展開することができる。お気づきですか。要は名古屋における(森島)司とやっていることは似ています。乱暴にいえば左利きの司ですよええ。そんな彼の進化を評価していたのは、川井健太監督だけではありません。健太繋がり長谷川健太監督も菊地を大絶賛。鳥栖戦の試合前会見では「(前節、脳震盪の疑いがあった)菊地がいるかいないかが大きなポイント。キーマンはアイツ。いっそ出てこなくていい(脚色)」とまで言わしめました。
そう思うと、今回の電撃移籍の背景には「長谷川健太監督直々のリクエストがあったのではないか」と思わざるを得ないわけです。健太さん、ボールを扱える選手が欲しいんですよほんとに。「は?健太らしくないわ」やかましい!ボールは保持したいが結果ひたすらに走って戦っている。理想と現実の狭間で揺れ動き続けるのが名古屋の魅力だろうが!
さて、つい本音がでて流れが良くないので、気を取り直してここからは名古屋での起用法について考えましょう。
〈候補① シャドー〉
最近、口癖のように司のボランチ起用を示唆してきた健太さん。やっと優秀なレシーバー(菊地)を手に入れたと考え、司のボランチを本格始動、かわりに菊地が受け手として司がもといたポジションに収まるのがイメージし易いのは事実です。
〈候補② ボランチ〉
シャドーをやらせた結果、「菊地….おまシュート苦手なのか?」と健太さんが気づいた場合、結局は司がシャドーになる世界線も既に目に浮かんでおります(アッハッハ)。その場合は左利きのボランチとして、エドゥアルドネット以来の技巧派ボランチ爆誕と考えましょう。なお、強度なんて言葉は知りません。美味しいんですかそれは。
〈候補③ 左ウイングバック〉
これも健太さんならやりかねません。個人的にはとっととFC東京から徳元悠平を連れてこいと思っておりますが、失敗した場合はますますこの線が濃厚となるでしょう。イメージは完全に小野雅史です。その場合、鳥栖でやっていた左サイドバックと期待していることはほぼ同じとなりますが、今回は「ウイングバック」ですから、守備のボロは隠せても縦への推進力が問われることも忘れてはなりません。菊地に関しては、長い距離を走って縦に深くえぐるイメージはあまり湧かないんです。その場合は、コンビを組む左シャドーに誰を置くか、が重要でしょう。永井や倍井に期待ですね。
〈大穴 左インサイドハーフ〉
今、健太さんの脳内で「菊地が獲れた….オリンピックで中断期間もある….あかん、やっぱ諦めたくない」と思考が回っているようだとワンチャンあります3-1-4-2。「はよ諦めろ!」「うるせえ!今季の俺たちは『可変』だっつってんだろうが下がれ下がれい!!」ああ….この議論が待ち遠しいですね(遠い目)。ただですね、実はこのポジションが一番ハマる気がするんですよ。アンカーにロドリを置き(いません)、両インサイドハーフを司と菊地が担当する。これ優勝でしょ。デ・ブライネとダビド・シルバだよほんと。ありがとうございます、書いて満足しました。
さて、熱を帯びて長くなりましたが最後です。
これだけ読むとマジでダビド・シルバ加入のお知らせ感がありますが、実際は菊地です。あえて課題になり得ることも書いておきましょう。
もう、これははっきりしています。昨年の司と同じパターンです。
「前(所属)のチームと選手の距離感もスタイルも違いすぎてマジで適応できん….」
これが一番危惧される状況です。「1人で剥がしてボール運んでとか自信ないわ」覚えていますか、司が稲垣祥にボヤいたこの一言を。あんな感じで病むパターンが微レ存(初めて使った)です。
ただ、あのときの司はマジで(プレースタイル的にも)孤立無援でしたからね。今回はその司がチームメイトでいることに加えて、絶賛同じ迷路に迷い込んでいる山岸祐也もいるわけです。
同じ感覚を共有できる選手がこれだけいる、その事実が菊地を助けてくれることに期待しています。アビスパ福岡における紺野和也みたいになってくれたらね、山岸も後半戦だけで二桁はとるでしょう(希望的観測)。
また、守備面でも面食らう可能性があるので、我々は優しい眼差しで見守る必要がありそうです。
どんだけ広大なスペース埋めたらええねん!そっから狩るまででワンセットとか健太鬼。長谷川の方がマジで鬼。そうなる可能性もまた微レ存です(楽しい)。
菊地の運動量は保証しますが、もちろん米本みたいなピラニア型ではありません。その力までついてくると真面目に代表だって見えてくる可能性はありますが、そこは鬼の健太さんに期待しましょう。ボランチ起用の弊害はそこだと覚えておいてください。
あー楽しかった。皆さんも、中断明けが楽しみになりましたか?聞こえます、「楽しみになったよー」の温かい声。ありがとうございます、ビール奢ってください。
では、菊地のテクに酔いしれましょう。獲得に乾杯。