2023年2月14日、名古屋グランパスからヤクブ・シュヴィルツォクの退団が発表されました
自分がクバでしたら、もう2度とAFC管轄内でのプレーしたくないと思うでしょうから、致し方ない結果なのかもしれません。
ただあまりにも残念です。本物のストライカーであることは間違いなく、そのような人材をみすみす逃してしまうことになったことはチームにとって大きなマイナスになることは間違いありません。
移籍してしまうことは諦めるとして、大事なことは同じようなことを繰り返さないことです。そうでなければもしもう一度スターを迎え入れることができたとして、また悲しい別れを迎えることになるでしょう。
クバの1件から学ぶべき教訓を挙げておきましょう。
教訓1:国際大会の遠征時に摂取するものはチームが徹底的に管理する
今回、クバは普段使っていて認められているからと安心してサプリメントを摂取したらそれに禁止薬物が含まれていたという問題にひっかかりました。
今回チームが悪かった部分は、センシティブな大会で口に入るものを完全管理をできなかったこと。選手が口に入れるものはすべてチームが管理する、というのはオリンピックレベルの大会だと普通だそうです。サッカーでも日本代表では食材はおろか、水まで日本から持って行くそうです。それくらいしてもバチのあたらない大会です。
クバの悪かった部分は、ブランドを信用して、サプリメントを現地調達して摂取してしまったことです。
外国で売られているものは、同じブランドでも中身が違うことがよくあります。
たとえば食品などはわざわざ本国から輸入していてはコストに見合わないため、現地で材料調達・現地生産なものがほとんどです。(例外は原液を本社から調達されるコカ・コーラくらいでしょうか)単価の安いサプリメントなども事情は同じでしょう。これはあまりにもうかつでした。
教訓2:選手を守る
今回、クバにも悪い部分があったのは上記のように確かです。チームに対して気になるところは、守る、信じるような発信があまりなかったことです。別に発信をしなくても本人とコミュニケーション取れていれば良いのでは?という意見もあるかもしれませんが、こういうチームだよ、という姿勢を示すというのが発信だということは理解すべきです。
もちろん契約交渉などの際にはドライにいくべきですが、あくまでもそれ以外の部分では「チームは選手を守る」という姿勢を見せて欲しかった。
それはサポーター・ファミリーに対してだけでなく、今回の件を見つめている他の選手にも影響するからです。チームは選手の味方なんだ、とほかの選手に示すことも大事です。
また、今回の件は間違いなくヨーロッパの各国にも知れ渡っているはずです。真摯な対応をして、それを発信し、信頼を積み重ねることも大事だと思います。
教訓3:とはいえ、契約はキッチリと
契約とお金以外のところでは守り、信じて、温かく接するべきですが、逆を言えば契約とお金はドライにいくべきです。
どこからどこまでが責任範囲で、ここはどちらが責を負うのか、こういうところを切り分けるべきです。
今回の経緯を見ていると、契約解除条項や中途解約条項に関わる部分の想定が甘すぎたために、ここまで長期化したように思えます。契約書の案を精査する弁護士のレベルアップが必要そうです。
教訓4:サポーターも落ち着こう
CASのプロセスは、裁判です。裁判で戦っている途中に中間報告をすることはまずあり得ません。ましてや名古屋グランパスは裁判の当事者ではないので、詳細な情報は受け取ることができません。その状況では発信はムリですし、秘密保持契約なども当然結ばれているでしょう。だからこそ発表が遅れたのだと思います。
情報がないことで不安になるのは判ります。
しかし、それでデマアカウントの言葉に踊らされたり、その言葉で怒ったりしても意味はないです。だって、結果的に見てみると本当じゃない情報のほうが多かったでしょう?情報ソースが明示されないツイートは無視、これが鉄則です。
教訓5:AFCを全面的に信用しない
今回筆者が1番腹を立てているのは、AFCです。AFCはなんの斟酌もせずに出場停止4年の裁定を下してきました。
こちらの記事にも書いてあるように、4年というのは意図的ではないと証明できなかった、という場合の裁定です。
しかし、CASの3ヶ月の裁判であっさり覆りました。これはAFCの裁定プロセスに明白な間違いがあった場合以外にあり得ません。
どのような間違いであったかはわかりませんが、3ヶ月でほぼ正反対の裁定に落ち着くというのは、よっぽど酷い事情があったはずです。
これはAFCに非があるというかなりセンセーショナルな話であり、裁定結果が公表されていない原因ではないかと予想します。
教訓6:とはいえ、AFCとは付き合っていく必要がある
クバの裁定が出た直後、山口素弘GMが、AFCの裁定を是とする発言をしていたことは記憶に新しいでしょう。
日本人的な感覚では、お上が出した裁定なんだから受け容れるのが当たり前、くらいなところがあったかもしれません。それよりも重要なことは、名古屋グランパスが日本にいて、日本がAFCに加盟している限り、AFCと対決するには限度があるということです。
名古屋グランパスはAFCとは対決をせず、それでもうまく譲歩を引き出す、ということをうまくやれるようにならなければならない。これが今回の最大の教訓ではないでしょうか。
さようならクバ、またいつか
悲しい別れになりましたが、これを乗り越えていけるように、チームもサポーターも頑張って行きましょう