はじめに
昨年の7月に天皇杯4回戦のセレッソ大阪戦において当時16歳でプロデビューを果たした貴田選手について寄稿させて頂いて9ヶ月、17歳とクラブ史上最年少でのゴールを決めたこの興奮を寄稿させて頂きます。
彼のプレーの内容や、試合全体については試合のレビューをご覧ください。
私の今回の記事は、この高揚感をみんなで共有しようよって趣旨の記事になります。
最後までお付き合いください。
小ネタですが、貴田選手のU-18でのチャントは「お前の魂 さぁ今示せ 光り輝け さぁ貴田遼河」です。公式のツイートにも使用されているので、ぜひ見返してみてください。
ルヴァンカップ2試合連続スタメン
前節、豊田スタジアムで開催された横浜FC戦でインパクトを残した貴田選手でしたが、
週末に行われたトップチームのリーグ戦の川崎戦はベンチ外、U-18の磐田U-18戦もベンチ外となりました。怪我などではなくトップチームに帯同しており、ルヴァンカップへの出場は間違いないと予想されました。
前回の試合でJ1基準でも戦えることを示した一方で、貴田選手のインタビュー記事からはゴールを取れなかったことの反省、そしてゴールへの渇望が感じられました。
その中での今回のスタメン起用、練習期間が確保されたことで周囲との連携も深められたでしょうし、前回の反省を受けて成長した貴田選手の姿を見れることに期待感が溢れていました。
プロ初ゴール
多くの人の期待を背負って出場した今季2試合目。
見せ場はいきなりやってきました。
貴田選手のスルーパスに抜け出した河面選手が相手選手に倒されてPK獲得。出し手としての能力の高さを見せつけます。
このPKは惜しくもセーブされてしまいますが、こぼれ球にいち早く反応したのが貴田選手。プッシュしてのゴールかと拳を握り締めますが、ここも相手に阻まれます。
しかし、歓喜の時はこの一連の流れから生まれます。
河面選手の蹴ったCKをニアの酒井選手がフリックし、詰めたのが貴田選手。
待望の、歓喜の初ゴールとなりました。
ネットが破れるんじゃないか?ってくらい力強いシュートで奪ったプロ初ゴール。
オレンジのスパイクが拳をあげて喜ぶ姿に「貴田!?貴田!?」と混乱しながら大興奮しました。
ちなみにこのゴールは17歳9ヶ月4日とクラブ史上最年少記録となりました。
「こっち(名古屋ゴール裏側)でゴール決めて欲しいねー」なんて話をハーフタイムにしていたら、やってくれました。
ターレス選手からのパスを抜群のトラップで最高の場所に置き、右足一閃。ゴール裏に駆け寄る貴田選手。叫びながらゲーフラを掲げるやまぐち。貴田選手のゴールに歓喜大爆発の名古屋グランパスの雰囲気に、「あぁ、こんなに多くの人を熱狂させる選手、ありがとう」って思ったらボロボロと涙が溢れてきました。
これから先、貴田選手は絶対に日本を代表する選手になるでしょう。
「私は貴田選手の初ゴールを生で見たよ」一生自慢します。伝説の始まりの目撃者になれた。
貴田選手のここがすごい!
①柔軟でいて剛健なところ
しなやかな身体の使い方でうまくボールを扱うのに、屈強な相手とぶつかってもビクともしない前線でのタメ。「得点を奪う」そのための能力が非常に高いです。
②前線からの守備をサボらないところ
U-18で試合に出るためには、前線での守備に参加することは絶対条件です。どんなにスペシャルな選手でも、前線での守備を放棄する選手は絶対に、起用されないです。
その意識付けがトップチームでもしっかり活かされています。
③熱い漢でチームを鼓舞するところ
これは先日のソウソウさんの記事でも言及されていましたが、U-18ではチームを鼓舞して引っ張っていく存在になっています。トップチームでも先輩たちに物怖じせず、むしろ貴田選手がチームを引っ張る存在になってくれるでしょう。
④とにかくゴールを決める
この試合大切だな、この時間点が欲しいな
そんな時にいつも決めてくれるのが貴田選手です。
ゴールへの貪欲さはもちろんのこと、シュートの技術が非常に高く、枠内に飛ばす能力は非常に高いです。
総合的に自分の印象としては、神戸の大迫選手を現代版にアップデートした選手だと思ってます。
名古屋U-18の選手はいい意味で、「いい子」タイプの選手が多いです。優しくて、思いやりがあって、本当に自慢の選手たちです。
もちろん貴田選手もいい子なのですが、相手を圧倒するぞという闘志を、俺が決めるという自信を、それを裏付ける技術を持っています。
昨年の夏のクラブユース選手権での鳥栖U-18との前半はとにかく守備に奔走させられました。
そのハーフタイムに、「俺は守備をするためにFWをやってるんじゃない、点を取るためにやってるんだ」と想いを爆発させていました。
当然、現代サッカーではFWも守備をやらなくてはいけないです。ですが、FWの仕事はやはり点を取ることです。
「点を取る」そのためにも貴田選手にはただのいい子にはならず、原点に近いその想いを持ち続けて欲しいです。
熱く、愛される選手
1点目のゴールを決めた後、名古屋のエンブレムにキスをした貴田選手。
2点目のゴールを決めた後、名古屋ゴール裏に駆け込んでくる貴田選手。
どれだけ私たちサポーターの心を掴み、心を熱くさせてくれたことでしょうか。
単身で東京から愛知にやってきて、昨年は怪我にも苦しみ、寂しい思いも悔しい思いもたくさんしたと思います。「絶対このクラブの中心になる覚悟」その覚悟を結果で示してくれました。
弱冠17歳のまだあどけなささえ残る青年に、名古屋のサポーターは心を鷲掴みにされ、勝利の余韻に沸く横浜の夜に「貴田遼河」のコールを鳴り響かせた。
これからの未来
自身の価値をこれだけの結果で示したからには、次はリーグ戦での活躍も期待したいです。試合後の本人のコメントにあるように、週末の湘南戦を視野に入れているでしょう。U-18は同日に大津高校戦を控えているため、両方の試合に出場することは現実的ではないですし、今週末に限らずトップとU-18両方の活動を続けることは過去の事例からもないでしょう。今後しばらくはトップチームでの活動が中心となるでしょう。次はリーグ戦での出番を得ること、ゴールを決めることが次の通過点になります。名古屋の中心として活躍する日はそう遠くなさそうです。
一方で、近年は若手の海外挑戦が主流となっており、より若い年齢のうちから移籍するケースが増えています。鳥栖U-18からドイツに渡った福井選手や、神村学園高校から同じくドイツに渡った福田選手など、高校卒業から即海外のケースも珍しくなくなっています。貴田選手の能力は福井選手や福田選手と比べて劣っているとは思えず、プロのステージの結果という面では彼らを上回っています。比較的早い段階で海外挑戦を選択することも想定できるので、その日が来たら貴田選手の挑戦を暖かく後押ししたいと思います。
ちなみに、貴田選手のチャントのフレーズにある「光り輝け」という部分ですが、現在日本代表の右サイドバックのレギュラーである菅原由勢選手と同じフレーズが使われています。菅原選手も若くして活躍の場を海外に移し、日本代表の中心選手にまで上り詰めました。同じフレーズをもらった二人の名古屋U-18出身選手が、日本代表のユニフォームをまとって「光り輝く」そんな日を心待ちにしています。
最後に
貴田選手という新たなスターの出現に名古屋サポーターは心躍っていることでしょう。
しかし、U-18にはまだまだ次のスターたちがいます。
貴田選手の活躍に対して、「次は俺がやってやるぞ!」と今回ベンチ入りした鈴木選手も長田選手も燃えているでしょうし、同じ2種登録の大田選手も内田選手も、まだ2種登録されていない選手もみんな燃えているでしょうし、そういった次世代を担っていく選手達の台頭が名古屋を強くしていきます。
現在、名古屋U-18は日本最高峰のプレミアリーグWESTで唯一の3連勝を飾り、リーグ首位につけています。
今週末にはトップチームの湘南戦が豊田スタジアムにて15時キックオフでありますが、U-18の試合が同日の11時キックオフでトヨタスポーツセンターにて、大津高校戦が開催されます。U-18の試合を観戦してから、移動してトップチームの試合を観戦することも時間的に可能です。ぜひU-18の会場で名古屋の未来を目撃してみませんか?