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アクシデントの、そのあとで 2023年J1リーグ第22節 アルビレックス新潟戦マッチレビュー #grampus #albirex

豊田スタジアムのホームを思わせるような東京の暑さに負けないぐらいの会場のボルテージ。

国立に57058人が集まり、57580人だったら語呂が良かったのになんて思いながら電車で帰るのを諦め新宿まで歩いた鯱の大祭典開幕節。

中2日の超ハードスケジュールながらも、国立で自分たちの意志力を最後まで通した試合となりました。

試合情報

1.名古屋グランパス・アルビレックス新潟のスターティングメンバー・ベンチ
1.名古屋グランパス・アルビレックス新潟のスターティングメンバー・ベンチ

得点シーンについては、ラグさんの記事にお任せするとして、得点直後の負傷交代後からの名古屋グランパスを深掘りする。

プラン崩壊と選手の関係性

和泉竜司の負傷交代
和泉竜司の負傷交代

和泉が負傷交代となり、誰が投入されるかが注目ポイントだった。

コンディション面での問題なのか即断即決で前田を投入するという選択はされなかった。選ばれたのは米本。その時にピッチに向かって長谷川監督が立てた指は“3本”

ここから3センターでの試合運びがスタートする。

この選択で難しくなったのは天皇杯3点目とこの試合の先制点の“再現性”

稲垣がセンターの底を担う事になる事で内田がひとつ前のポジションへ。稲垣が行なっていた前線を追い越す動きを内田が担う事になった。それと同時に和泉が行なっていた高い位置で顔を出して前に出ていく動きは米本に託される

この一連の役割の変化は交代選手が1人にも関わらず3選手全員の役割が変化した。

2.中盤を3人にしたことで起きた役割の変化
2.中盤を3人にしたことで起きた役割の変化

内田がボールを運べる。するとスペースが創られる。そのスペースを使って稲垣が上がる。稲垣が上がるから和泉が入れ替わる。この三人の関係性を構築している役割が全てシャッフルされる交代をせざるを得なかったのが和泉の負傷交代。これが名古屋が被った“イレギュラー”だった。

(和泉が交代してから「奥を取る」動きは内田と永井に変更された)

但し、前半40分の密集の脱出のシーンのように、ボールを前進させながら展開出来る関係性やその後の崩しの形で内田と永井が米本と藤井が出せる楔のラインに顔を出す場面が増加。崩しの部分では、シーンの再現性よりも構造の再現性に変わったような印象も受けた。

この選手交代による崩しの再現の変化(楔を出せる選手が増えたことによる選手の眼の変化)で少しだけ割を食ったのが野上だった。

米本と藤井がチャレンジする係としてピッチに立つことで、野上を使った「外から相手の形をズラすような意識」から「奥を取ってボールを受ける選手が楔の最短ルートを優先する動き」に変化する。

3.役割の変化と、割りを食った野上結貴
3.役割の変化と、割りを食った野上結貴

そうなると野上にボールが付けられるときに込められるメッセージは「やり直したい」という意思表示になる。

高い位置で受けるだけあって野上としては「ここからもう一回チャレンジをしたい」という意思が見える動きをする。

しかし、そんな中で楔を受けられなかった選手達がやり直しムードでスイッチが切れている。そんなズレをこの試合で野上は感じただろう。

3センターの守りでの必要性

そんなにイレギュラーが起きるなら3センターじゃなくて良かったんではないのか?という疑問もある。しかし、この試合の新潟の選手の動きを見ると3センターを選択した意味が見えてくる。

新潟は2ボランチの片方を落として保持を試みる。それと同時に中盤でボールを受けに来る選手が外側へ流れて外から中へのボールのルートと、人に付かれても中央を無理矢理ボールが前進出来るような選手の配置をする。中央では鈴木が受けに降りてくるパターンが多かったが、それと同時に左サイドの小見が斜めに降りてくる形も非常に多く見られた。

4.新潟の中央2人の受け方とサイドの動き
4.新潟の中央2人の受け方とサイドの動き

小見や鈴木まで中央に絡む動きをされてしまうと名古屋としてはどこかのポジションから人を引っ張って来ないと人を当てることが出来ない。

前半24分の和泉が交代になる直前のシーンが分かりやすい例で、プレスに行く形を見せた名古屋だったが、新潟が中盤に人を集める。それによって河面までが大きく前に引っ張られた上に、外側のボールの供給レーンが大きく空いたために河面と稲垣はハメに行くところから引きに切り替えた。そこを狙っていたかのように裏返されて簡単に前進を許した。

5.名古屋が裏返されたシーンの仕組み
5.名古屋が裏返されたシーンの仕組み

この裏返される形に対応する為には外側に流れる新潟のボールを受けに来る選手に対して、その場所を潰してしまう事が一番手っ取り早い案だった。3センターにしてからは新潟の選手が受けたい場所に人を置くと同時に、プレス連動に行くセットを縦で固定した。

米本のサイドが出るなら必ず河面もセット。内田のサイドが出るなら藤井もセット。要するに人に付く為に担当する「人」を見続ける(自分が担当する人を見る)のではなく場所に対して来る「人」に対応する形を取った。

6.人を見る守備から場所を見る守備への転換
6.人を見る守備から場所を見る守備への転換

この形がかなり上手くハマった。新潟はボールを引き出すために露骨に誰かを降ろす。その降ろしたサイドのセットが一気に食いついてくる。

小島が受けてくる選手を待ってボールを出したところに内田が完璧にあわせられたり、米本が高い位置で相手を詰まらせる事が出来ていたのはこの形にしてからなので3センターにした効果は一定以上見られたと言って良いだろう。

そして場所に食いつく名古屋に対して新潟がだした答えが「人が食いつく前にボールを動かしてしまう」だった。後半やたらと受けた選手がフリックしてボールを逸らすのは3センターにした名古屋のプレスに対する解答でもあった。

試合雑感

  • この試合の個人的なMOMは野上。小見や三戸の動きに対応しながらもプレスの強度を落とさずに田上を抑え、攻撃では報われない時間があったのにも関わらず、高い位置で立ち続けて脅威となった。
  • 後半の内田のバテ具合を見るとあそこまで自分達のやりたいことを通さなくても。と思うが、国立で絶対に自分たちの意志を揺るがせたく無いという気持ちは感じた。
  • 中島デビューおめでとう。ハーランドって触れ込みがあった割に足元の納め方雑!というのはご愛嬌。27番でがむしゃらに頑張る姿とチームでかわいがられる姿はポルトガルにいる彼の面影を感じる。
  • 前田も復帰おめでとう!プレスバック免除感があったのはやはりコンディション面なのか?少しずつ感覚を取り戻してくれたら。
  • 新潟の方が密集で人とボールを動かしながら前進するのに苦労していた印象。米本、稲垣、内田で密集地帯を楽々掻い潜っているのはもはや爽快感を覚えた。米本のボールを前進させる為のサポートの嗅覚は助かる。
輝く星を
輝く星を

最後に

新加入が来たから出番が減るなんて選手はいない。上を追う為、残りのコンペティションで最後まで立ち続けるためにも全員必要。

ゆっくり休んで勝負の夏本番。

おまけ・ピクシーとたまちゃん
おまけ・ピクシーとたまちゃん

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