補強優先度高:
- 強度と稼働率に問題のある左CBの補強:補強ポイント記事第1回:宮大樹にオファー
- 永井謙佑の次世代が欲しい:補強ポイント記事第2回:細谷真大(破談済み)・武藤嘉紀にオファー
- 質の高いフィニッシャー:補強ポイント記事第2回:山岸祐也・キャスパー ユンカーの復活待ち
- ビルドアップに参加でき、ストップ能力も高いスーパーグレートGK:補強ポイント記事第3回:シュミット ダニエルにオファー
優先度中:
- 手薄なセントラルMFの補強:加藤玄の入団内定
- 左WBのレベルアップ:徳元悠平の完全移籍獲得
- 強度を上げたいがアスリート能力も求められる右CBの補強:原輝綺にオファー
優先度低:
三國ケネディエブスの流出への備え:谷口栄斗にオファー(破談済み)
右WBのレベルアップ:野上結貴の次世代が欲しい:原輝綺にオファー
デスク:前回の記事はおかげさまで大きな反響をいただいた。
編集者:早速、宮大樹選手へのオファーが報じられました。記事との整合性ありましたね。(またグラぽは公式からカネ貰ってやってるとか言われちゃう…)
デスク:そしてその後、報じられたのが柏レイソル細谷真大選手へのオファーだった。
編集者:移籍金3億5000万のオファーということで驚きがあったと思います。
デスク:予算のかけ具合からして、左CBと同様にFWがポイントになりそうだな。
一番補強が必要なポジションはFW?
編集者:赤鯱新報での長谷川健太監督のインタビューでもFWの補強を求めていました。
Q:新しい戦力についてはどういうタイプの選手がさらに加われば、来季の積み上げ、成績にもつながってくるというイメージでしょうか。
https://www3.targma.jp/akasyachi/2024/11/29/post118745/
「もうフォワードです。もう今年は謙佑がクラウン賞を受賞しましたけど、とはいえリーグ6点なので。ルヴァンカップを含めて非常に頑張ってくれましたけど、やっぱり10点以上を今シーズンは取る選手が前線に1人もいなかったというのは、なかなか順位が、連勝がずっと、という部分に直結してると思いますし。(後略)」
デスク:これを見て、「単に点が取れる選手が欲しいとか・・・」みたいな批判も出ていたな
編集者:しかし点が取れる選手、というくくりでいったら、今季6得点の細谷真大選手というのはオーダーと違うのではないでしょうか?
デスク:どうだろう。「必要なのは10点以上獲れる選手がいること」と言っているだけで、「10点以上獲れる選手を獲得して欲しい」とは言ってないのではないか?
編集者:ああっ、なるほど。
じゃあ、細谷真大選手は「点を獲らせる選手」であるということですか?
たしかに万全ならば点を獲れる選手は、キャスパー・ユンカーと山岸祐也という2人が既にいるわけですものね
デスク:残念ながら残留を決断した、という報道があったが、2番目の候補として挙げられたのが武藤嘉紀選手だった。この2人の特徴からそこを深掘りしてみたい。
点を獲らせる選手とは?
編集者:Jリーグ.jpからデータをまず抽出してみました。
デスク:見て貰ってわかると思うし、みんなも既に判っている通り、永井謙佑も山岸祐也もシュート数が少なすぎる。そもそもシュートできる位置に進んでいないということが原因だ。
AGIという指標があり、「どれだけ相手ゴールに近づけたか」という目安になる。
編集者:AGIは13位なんですか。やっぱり攻め込む割合が低いんですね。
アレ?でも攻撃回数は17位で、しかもシュートの数は20位です。
シュート成功率が5位なおかげで、ゴール自体は14位におさまってますが・・・
デスク:そこから推論できるのは「少ないながらも攻め込んでいるのに、シュートにいくまでの最後の崩しができてない」ということなんじゃないかな。
編集者:さらに最後の崩しのところに貢献できる選手ということで、チャンス創出関連データをJリーグ.jpからまとめてみました。
チャンスクリエイト数は「PA内へのスルーパス成功+PA内からのクロス成功+ラストパスの合計値」です。まさに最後の崩しのところです。
デスク:90分あたりチャンスクリエイト数では、永井選手や山岸選手に比べて1周り多い数字を細谷選手も武藤選手も出している。
得点が少ない理由を因数分解すると、以下の2つではないだろうか
1. ゴールに近づけていない(AGIの低さ)
2. 最後の崩しができていない(チャンスクリエイト関連データの低さ)
※決定率は高めなので問題はない
編集者:なるほど。でもチャンスクリエイトの総数で言えばさらに上のマテウス・サヴィオ選手やルーカス・フェルナンデス選手、ヤン・マテウス選手らがいますよね?
デスク:だが、その3人は全員サイドのプレーヤーだ。名古屋グランパスのサイドは守備能力を求める。山中亮輔選手や中山克広選手が苦労しているのはそこで、その3人にどれだけ守備を求められるかというと、疑問符が残る。
あくまで前線でチャンスを作れる選手を求めているということではないだろうか
編集者:じゃあ、AGIの低さはどう解決しましょうか。もっと敵ゴールに近づきたい。
デスク:敵陣でパスが繋がらず、っていうのを何度も見たのではないだろうか
上のリストの「敵陣パス成功率」を見てほしい
編集者:うわ、細谷真大選手も武藤嘉紀選手も60%以上なのに、永井選手は50%切り…
デスク:敵陣での組立てのパスセンスが上がれば、絶対にAGIの値は改善される=ゴールに近づける
だから、敵陣パス成功率の高い選手が増えれば良くなるはずだ
編集者:ほかに細谷真大選手と武藤嘉紀選手に見ることができる特徴はなんでしょうか?
デスク:2人に共通する特徴はアスリート能力の高さだ
編集者:スプリント能力の高さは細谷真大選手も武藤嘉紀選手も高いですね。そしてトップスピードも90分あたりの走行距離も高いですね。
デスク:山岸祐也選手と比較してみて貰って、山岸選手は決してアスリート能力が低いわけではない。永井謙佑選手も含めてこの3人のアスリート能力が高いんだ。
編集者:なんで名古屋グランパスのFWはアスリート能力が高くないといけないんですか?
デスク:それはファストブレイクという言い方を長谷川健太監督が良くするが、
1)積極的に守備を行うことで相手の攻撃を防ぐ
2)相手のミスを誘い、相手が守備に切り替えるよりも早く攻めきる
というカウンター戦術を採用しているからだ。
編集者:守備を積極的に行うにはスプリントが必要ですし、結果として総走行距離も長くなりますね。
デスク:そしてカウンターで素早く仕留めきるにはスピードも必要なんだ。
なので、名古屋グランパスのようなカウンター型のチームのFWはアスリート能力が総合的に高いことが求められるんだ。
編集者:保持型のチームなんかだとアスリート能力よりもテクニックとセンスでしょうしね
デスク:いつもお世話になっているFootball Labさんのプレイングスタイル指標でも比較してみよう。
このなかで注目して欲しいのはパスレスポンスの値だ。パスを受けてシュートに持ち込むことができる、というのもこの値で表現されている。この細谷選手も武藤選手もこの値が抜群に高い。
編集者:うわあ、武藤選手の数値の高さが光りますね。さすがMVP。
いろいろ説明して貰うと、マテウス・サヴィオ選手でも、大迫勇也選手でもないという理由がわかりました。
点を獲る選手(=フィニッシャー)は必要ないんですか?
編集者:「点を獲らせる選手」を必要としているということはわかりました。では「点を獲る選手=フィニッシャー」は必要ないのですか?
デスク:上でも書いたが、名古屋には2人のフィニッシャーがいる。山岸祐也選手とキャスパー・ユンカー選手だ。
編集者:うわあ、今シーズンはこの2人で6ゴールというのが切ないですね。
デスク:だいたいこの値が0.3以上をキープできると2桁得点が期待できる。長谷川健太監督の期待通りだな。だからこの2人の復活が可能かどうかがカギになる。
編集者:今シーズン後半多用された、3-4-1-2のフォーメーションですと、片方に「点を獲らせる選手」を起用したら、「点を獲る選手」の枠は1つしかありません。
ファーストチョイスはどちらになるんでしょうか?
デスク:山岸祐也選手の場合はフィニッシャーとしてだけでなく、前線で起点になったり、守備でも貢献できる。決定力の点ではベストフォームだった2023年でも0.31ということで、条件としてはギリギリだ。
やはり圧倒的なのはキャスパー・ユンカー選手だ。リアルストライカーといっていいだろう。
編集者:2023年のゴール集を見ると、やはりキャスパーはフィニッシャー特化の選手なんだな、と思います。点を獲らせる選手を獲得できたら、カチッとハマる可能性はありますよね
デスク:心配は昨年の使われ方で、激しくキャスパーのプライドが傷つけられているであろうことだよな
編集者:垣内記者のYouTubeでも、チームが移籍先を探しているという発言がありました。
デスク:いまの時点では山岸祐也選手がファーストチョイスになりそうだが、それは保持型チーム(アルビレックスやF・マリノスなど)に対しての形だ。
相手が非保持できた場合などではキャスパー・ユンカーの決定力が必要になることもあるだろう
うまく契約がまとまってくれることを祈っている
結論:このマーケットで名古屋がFWに求めているポイントとは?
デスク:以上のことをまとめるとこうなる。
- シュートを多く打てて決定率が高い
- 敵陣でチャンスクリエイト(スルーパスorクロスorラストパス)をできる
- 敵陣でもパスを繋げる
- スプリントをたくさんでき、総走行距離も長く走れる
- トップスピードが一定水準以上
編集者:こんなのスーパーマンじゃないですか
デスク:国内でこの条件を満たせそうな選手というと、既にオファーを出している2人くらいしかパッと思いつかない。
編集者:候補2人がなぜ巨額オファーを出してでも必要だったのかは判りました。
現在の戦術ではこういった特徴の選手が必要ということですよね
でも武藤嘉紀選手は正直MVPですから神戸も条件を積み増して、結局残留になってしまいそうな気がします。
デスク:そこが最大の問題だ。この2人をしのぐ候補を1人思い当たるのだが、セルティックの前田大然選手だ。現役日本代表にして、UEFA Champions Leagueでも活躍する選手で、来るわけがない。
編集者:同じような特徴と言うと、京都サンガの原大智選手、東京ヴェルディの木村勇大選手、アルビレックス新潟の谷口海斗選手らが思いつきますが、もちろん全員チームの主力選手で、獲得は難しそうです。
デスク:そうなると高いことは承知で、外国籍選手に頼るしかないかもしれない。
編集者:稲川さん(外国籍選手得意なフットボールエージェント)と和解していてよかった
デスク:あとは稲川さんに丁寧に要件を説明して探して貰うしかないな。
編集者:ヨーロッパからでもなんかいい選手が取れれば…
デスク:ドル高・ユーロ高だからな…。
でもなんとなくストライカーが欲しい、とかじゃなくて、きっちりと要件が固まっているのはいいことだ。あとはそれに合う選手を頑張って見つけよう。
編集者:本当に良い選手が見つかりますように