連載第1回: 勝利は選手がつくるけど、最高の1日は私たちがつくる。試合運営ボランティアという選択 #1 「困った」に寄り添う、もう一つのプレーヤー はこちら
1日の流れ:こんな風にお仕事します
意外なほどに早い集合時間から皆さんで手分けして試合の準備をしていきます。
おもてなし隊の皆さんは、開場の前はポスターやPOP貼りなどをお手伝いするようです。
⚽ ボランティアの一日 スケジュール表
タイミング | 活動フェーズ | 活動内容・詳細 |
試合開始 5時間前 | 1. 集合&準備 | ● ミーティング開始。結構早いです💦 (例:14時試合開始の場合、9時集合) ● ミーティング後、担当に分かれて準備を行います。 |
試合開始 4時間前 | 2. 広場オープン | ● 西・東イベント広場がオープン! ● キッチンカー等の営業開始と共に、ボランティアブースやエコステーション(ゴミ分別)のお仕事が始まります。 |
試合開始 3時間前 | 3. 開場 | ● 開場時刻。サポーターがスタジアムへ入場。 ● ゲート前での挨拶や席案内など、全体でのお客様対応がスタートします。 |
試合開始 1時間前 | 4. 入場ピーク | ● この頃から入場ピークが始まります。 ● 席案内、おもてなし隊、各ブースなど、大忙しとなる時間帯です! |
試合開始
(前半) | 5. 休憩タイム① | ● 試合開始10分後辺りまでで、一部を除き休憩。 ● 控室で食事や、TVでの応援をします。 (※直接試合を見ることはできません) |
ハーフタイム | 6. 列整理 | ● スタジアム内の売店やトイレの列整理。 ● お客様が多い時は列も長くなり大変ですが、規律よく並んでいただき感謝です。 |
後半開始 | 7. 休憩タイム② | ● 控室に戻り休憩。 ● TVで試合を見守ります。点が入ると歓声、取られるとため息が…。 (※直接試合を見ることはできません) |
試合終了
~解散 | 8. お見送り&解散 | ● 試合終了10分前頃から出口でお客様のお見送り。 ● 勝利時のみ行われるハイタッチ🤚はテンションが上がります! ● その後、クロージングミーティングを行い解散です。 |
ボランティアの人に伺うと、勝利後のハイタッチは本当にステキな体験だそうです。今年は1回でも多くできるといいですね。
試合運営ボランティアはなぜ必要なの?
「プロの仕事」と「サポーターの熱量」の融合
よくスポーツの現場でも、高度なおもてなし=ホスピタリティを求める声があがります。イングランド・プレミアリーグやワールドカップなどでもそうですし、Jリーグもそういった方向性を求められています。
最近、Jリーグや世界のサッカー界でも「ホスピタリティ」という言葉が注目されています。でも、これは決して「VIP席で高級な食事を出すこと」だけを指すのではありません。 もっとシンプルに、「友人を家に招くときの、ちょっとしたお節介」と考えると分かりやすいでしょう。「今日は寒いから部屋を暖めておこう」「迷わないように駅まで迎えに行こう」。そんなふうに、相手のことを想像して準備する優しさのことです。
例えば、チケットを正しく確認するのは「サービス(やるべき仕事)」ですが、そこに「暑いので気をつけてくださいね」と一言添えるのは「ホスピタリティ(相手への思いやり)」です。このプラスアルファの気配りが、お客様の「また来たい」をつくります。
そして、この「相手を想う想像力」があるからこそ、見えてくるものがあります。 スタジアムには、複雑な再入場ルートやトイレの混雑など、初めての方がつまずきやすいポイントがたくさんあります。 ホスピタリティとは、笑顔でいることだけではありません。こうした「お客様が困りそうな場所」に先回りして気づき、不安になる前に声をかけること。それこそが、名古屋グランパス、そしてグランパスボランティアが目指す最高のおもてなしなのです。
そのためには「困らせない設計と、困った瞬間の初動」が大事です。
警備員や運営スタッフ(プロ)は「安全とルール」を守るのが仕事ですが、少し事務的になりがちです。
そこでボランティアがいると何が変わるかというと、
- 困りごとが「大きな不満」になる前に止められる(クレーム予防じゃなく、体験の保全)
- しかもやる人が「観戦者目線」だから、対応が的確になりやすい
- 「どこで迷いやすいか」「何が見えにくいか」「どこが不安か」を知っている
なによりサポーターでもあるボランティアは、「楽しんでほしい」という純粋な熱量(ホスピタリティ)を乗せることができます。
「ようこそ!」この一言の温かみが違います。
結果として、「また来よう」が増える。これはクラブにとって超重要な戦力です。
「一番の理解者」だからできるサポート
初めてスタジアムに来る人は、「チケットはこれで合ってる?」「美味しいスタグルはどこ?」と、分からないことだらけでドキドキしています。
そんな時、いつも応援している皆さんの「わかるわかる、そこ迷うよね」というサポーター目線が一番の助けになります。
皆さんのちょっとした気配りこそが、初めて来た人を「また来たい!」というファンに変える一番の魔法になるんです。
- 初めて来た方には: 「席はどこ?」「再入場は?」といったドキドキを、「安心」に変えてあげる。
- お子様連れには: トイレ待ちやベビーカーの移動など、パパ・ママの「焦り」にそっと手を貸してあげる。
- 雨や暑い日には: 足元の滑りや体調の変化など、危険がないよう「安全」を見守る。
- お帰りの際には: 駅までの混雑の中でも、「楽しかったね」と笑顔で帰れるようお見送りする。
そうした「あと少しの気配り」ができるのは、ボランティアの皆さんがスタジアムをよく知る人たちだからこそです。 選手が試合をつくるなら、ボランティアはその日を「最高の1日」に仕上げる、最後の仕上げ役なんです。
クラブを「私たち」にする
一般の観戦者は、「クラブが提供するエンタメ」を「客として消費する」関係性と言って良いでしょう。
よかったらこのあたりについては以下の記事も読んでみてください。
ボランティアが増えると、クラブにとって何が嬉しいか。
- クラブを「自分ごと」として考えてくれる仲間が増える
- 「どうしたら観戦が良くなるか」を一緒に考える人が増える
- それは単なる人手じゃなくて、「現場の知恵」が増えるってこと
- さらに、そういう人が周りにいると、スタンド全体の空気が変わる
- 初観戦に優しい、困ってる人に自然に声がかかる、みたいな文化が育つ
ボランティアに参加することで、クラブは「運営してもらうもの」から「自分たちで作るもの(自分ごと)」に変わります。
この「当事者意識」を持つ人が増えるほど、クラブの地盤は盤石になります。
ボランティアで「得られるもの」
スタジアム運営ボランティアの話をするとき、つい「人手が足りないから」「必要だから」といった「やるべき(義務)」という言葉になりがちです。しかし、本当に大切なのは、そこに「やりたい」という気持ちが生まれるかどうかです。
義務感だけで活動を長く続けることは困難です。逆に、自分自身にとっての「やってみたくなる理由」が見つかれば、人は自然と自分の意思でその場所に戻ってきます。では、ボランティアを通じて具体的に何が得られるのでしょうか。
1. 「観戦者」から「運営者」へ、視点が変わる
一番の大きな変化は、いつものスタジアムがまるで別の場所に見えてくることです。
今までは「長いなぁ」としか思わなかった入場待ちやトイレの行列も、「なんでここで人が詰まるんだろう?」「ここがストレスの原因かな?」と、その理由や裏側が見えてくるようになります。
試合の見方も変わります。単なる勝ち負けだけではなく、「自分たちのクラブが作り上げているイベント」だと思えるようになるはずです。
これは「ただ観る人」から「楽しい時間を作る人」への変化でもあります。サポーターとして、ひと味ちがう深くて面白い体験ができると思います。
2. 「ありがとう」という手触りのある承認
試合の勝敗は、サポーターの力だけではどうにもできないことがあります。
しかし、ボランティアの成果は違います。 迷っている人に声をかける、一歩先回りして混雑を解消する、来場者の不安を「大丈夫」に変える。
その瞬間、観戦者から直接「助かった、ありがとう」という言葉が返ってきます。
これは、SNSの「いいね」よりも遥かに強い、現場ならではの「手触りのある報酬」になります。
3. 「人の役に立つ」が、実践的なスキルになる
「案内」や「誘導」というと雑用のように見えるかもしれませんが、その中身は高度なビジネススキルを含んでいます。
初めて来た人にも伝わるように情報を翻訳して伝える力、クレームになる前の火種の早期消火、混雑時の瞬時の優先順位判断、そして相手の状況を読んだ距離感の設計。
これらは、サービス業やマネジメントに直結する「現場力」を鍛えるトレーニングになります。
4. クラブの「内側」を知り、解像度が上がる
クラブ運営を外から見ているだけでは、どうしても誤解が生まれがちです。
しかし、ボランティアとして内側に入ると、「なぜこの導線なのか」「なぜこのルールが必要なのか」「どこにリスクがあるのか」が見えてきます。
クラブが日々戦っている課題を肌で感じることで、サポーターとしての解像度が上がり、クラブへの視線が単なる「批評」から、より建設的な「改善」の目線へと変化していきます。
5. スタンドの知り合いより深い「仲間」ができる
これが活動を継続する最大の燃料になることもあります。
年齢も立場も違う人々が、「同じクラブを支える」という共通の目的でつながることができる。
ここで知り合った仲間は、単にスタジアムですれ違う知り合いよりも、一歩深い関係性になります。 応援の楽しさは「一緒にやっている感」に比例します。
ボランティアはその感覚を共有できる濃いコミュニティへの最短ルートと言えるでしょう。
6. 「自分のクラブに自分の居場所がある」という感覚
これはメンタル面での大きなリターンです。
スタジアムに行く理由が「試合観戦」だけではなくなるため、チームの調子が悪い時期でも関わりが途切れにくくなります。
応援の熱狂や勝敗の波にのまれすぎず、地に足をつけてクラブと関わり続けられる。
クラブを支えるという行為が、いつしか自分の生活のリズムに溶け込み、誇りになっていきます。
まとめ:自分の中に「やりたい」を作る場所
試合の日、入場口で迷っている初観戦の家族がいる。トイレの列に焦る子どもがいる。雨で導線が詰まり、空気がざわつく。そんな場面で「こちらです」「大丈夫ですよ」と声をかけ、相手の表情がすっとほどけていく瞬間。
勝敗は自分では動かせませんが、誰かの観戦体験は、自分の一言と一歩で確実に変えられます。その「手触り」こそが、ボランティアを「もう一度やりたい」に変える最大の燃料です。
案内や誘導は、決して誰でもできる単純作業ではありません。相手の目線で情報を翻訳し、トラブルの火種を消す立派な現場スキルです。そして運営側に立つことで、クラブが抱える課題への理解も深まります。
ボランティアは、単なる善意の無償労働ではありません。観ているだけでは得られない「学び」と「仲間」と「居場所」を、スタジアムの中に作る行為です。誰かに「やるべき」と言われて動くのではなく、自分が「やりたい」と思える場所があること。
その入口として、試合運営ボランティアはとても豊かな選択肢なのだと思います。
連載第3回: 「サッカー詳しくない」でも大丈夫? 1人参加は浮かない? 試合運営ボランティアの不安を全部聞いてみた #3 試合運営ボランティアのリアル(1月31日公開予定)
以下は連載中、すべての記事に掲載します。
参加の仕方:名古屋グランパス 試合運営ボランティア(二次募集)応募ガイド
1. いま応募できるのは「二次募集」です
- 二次募集期間:2026年1月25日〜2027年3月31日
- 活動開始の目安:2026年特別シーズンのホーム第2戦以降
- 説明会はありません。代わりに、説明資料がメールで届き、確認して進む形式です。
2. 応募できる方(ざっくり確認)
- 18歳以上(高校生不可)です。
- 連絡は基本メールなので、メールを確実に受け取れる環境が必要です。
3. 応募前に準備しておくとスムーズです
- メール受信設定:応募後の連絡が届くように、
volunteer@nagoya-grampus-eight.co.jp からのメールを受信できる設定にしておくと安心です。
(迷惑メールフォルダもあわせて確認してください) - 応募フォーム入力に必要な情報:氏名・住所・電話番号・生年月日などの基本情報に加えて、
応募理由やボランティア経験などを入力します。 - メールアドレスは1人につき1つ(1つのアドレスで複数人登録はできません)
4. 応募の手順(ここだけ見ればOK)
- 公式の募集ページを開き、活動のイメージと注意事項を確認します。名古屋グランパス ボランティア募集
- ページ内の案内に沿って、応募フォームへ進みます。https://yyfb.f.msgs.jp/webapp/form/21604_yyfb_1/index.do
- フォームに必要事項を入力して送信します。
- すぐに届く応募完了メールを確認します(届かない場合は迷惑メール・受信設定を見直します)。
- その後、二次募集の方には説明資料がメールで送られますので、内容を確認し、案内に沿って手続きを進めます。
→ 必要事項の確認が完了すると、登録完了となり、試合参加の連絡が来るようになります。
※応募しても、状況により参加できない場合がある点は念のためご留意ください(人数調整など)。
5. 登録後の動き(参加は「毎試合自動」ではありません)
- 参加希望は、原則として 活動月の前月上旬に確認連絡が来て、そこで回答する流れです。
- 当日の集合時間や担当などは、直前(前日メールなど)に確定連絡が来る想定です。
(※試合や運営都合で変更になる場合もあります)
6. 当日に向けた大事なポイント(不安を減らすために)
- 活動時間の目安は キックオフ5時間前〜試合終了45分後と長めです。
- 動きやすい服装・歩きやすい靴は必須です。雨具や防寒も各自で準備すると安心です。
- 連絡・集合の前提がメール中心なので、メール確認が習慣化できるとスムーズです。
- ボランティアは運営の一員です。困ったことがあれば、自己判断で抱え込まず、運営・社員・警備へすぐ相談するのが基本です。
- 活動中の観戦はできません/選手へのサイン・写真撮影などは不可、というルールがあります。