後半戦の6連勝について、「風間八宏はサッカーを変えた」「降格危機に日和った」「ロングボールとクロス使いまくってるじゃないか」そんな声も聞こえてきます。でも果たして本当にそうなんでしょうか?なにが変わったから勝てるようになったんでしょうか?そこについて普段軽妙なネタツイートでおなじみのコンウェンさん @ konwenga に真面目に語っていただきました。
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はじめましてこんにちは。コンウェンと申します。
縁あって書かせていただくことになりました。
始めに断っておきますと、今回の記事は、「サッカー経験なし」、「今季観戦ほとんどDAZN」、「風間監督時代の川崎も知らない」、ごく一般(以下?)グラサポの特に根拠のない解釈(妄想)なので悪しからず。
それなのに何故この記事を書いたかというと、自分のツイートを読んでいただいたグラぽさんにそれを記事にまとめてみないか、と誘われたからです。
そのツイートというのは「風間サッカーの誤解を解きたい」というブログが掲載されたり、Twitterでも「風間用語集が必要かもね」という意見も多くみられた中、なんとなく書き殴ったようなものでした。
『よりゴールに効果的で成功率の高い場所(ルート)を感じ、共有する。これが目を揃える。
その場所に出す、受けるをやるのがチャレンジで必要なのが自信。
自信と成功率を高めるのが技術(トメルケルハズス)。
どれかがかけると何やってんのかわからなくなる。時間かかるよなぁ。』
いい機会なので自分の頭をまとめる意味でもつぶやきにからめ、私の考える風間サッカーについて語りますので少々お付き合い願います。
前提にした用語
私の書いたツイートには前提があって、私が勝手に定義を拡張した「場所」と「成功率」という言葉を使っています。今回の記事でも使います。
「場所」
ゴールを決められるスペース及び最終的にそこに繋がるスペース。「目を揃える」ことで味方全員がそのスペースに気づき、使うために意識を共有できる
成功率(出)
ボール保持者が場所にボールを届けられる率
- 距離が離れたり相手DFのポジショニングや能力で低下
- 技術(止める蹴る)で向上
- 場所に気づかなければ成功率は0
成功率(受)
場所でボールを受け次へコントロールできる率。
- 相手DFの能力(マーク、コンタクトなど)で低下
- 技術、フィジカルで向上
- 場所に気づかなければ成功率は0
よくないときの風間サッカー
これらをもとに、風間サッカーについて書いてみます。
よく名古屋はロングパスやサイドチェンジをしない縛りの「パスサッカー」でプレイしている、と言われますが、自分はそうは思いません。
チームは「ゴール(場所)へむかう×成功率が高いの最大値」を意識してプレイしているのだと自分は考えます。式の二項のどちらに比重が置かれているかといえば、「ゴールへむかう」のほうです。
ただ、そこで技術がないとどうなるか。
成功率が高いだけの距離の近い、敵のいない安全な所(not場所)を使うプレーをしてしまいます。結果、「ゴールへ向かう」が失われてしまいます。
「目が揃ってない(=「場所」を使う共通認識がない)」とどうなるか。
出す側も受ける側も「場所」に気づくことができないので、効果的なパスを出せませんし、そこに受けにいけません。
これがロングパスサイドチェンジもなく(できず)、ゴールに向かわないまま怖くないゾーンで短く回し続ける縛りプレイに見える「パスサッカー」です。これが良くない時の名古屋。
成功率が高くてもゴールへ向かわないから怖くない。成功率が高いとはいえ怖くなければ相手にも積極的に詰められ、いずれ奪われます。
良くない時、繋ぐことが目的となっている、とか言われますが、そうではなく繋ぐしか出来ない状態だったんです。特に去年に比べカテゴリが上がり、相手DFの能力が上がり、場所の広さもそこへのルートも厳しくなり成功率は下がっているのです。
サッカーを進化させるには
こうなった時チームとしてとれる選択肢は大きくわけて2つ。
1、高確率(受)の選手に低確率(出)で大体の場所にいれ続ける方法にシフトする
2、場所に気づいてそこに出せる目と技術を鍛える
1だとそのうち点が入ることもあるでしょう。
でも運よく入って勝ったり入らなくて負けたり。
Jôクラスの選手がいればそれでもそれなりにやれるでしょうがそれだけ。常勝チームにはなれません。
2は時間がかかります。良し悪しではなくそういうやり方には合わない選手もいます。実際苦しんで、適応できずに残念ながらチームを去った選手も出てきました。しかし、全員が目と技術を手に入れたとき、運ではない得点力とボールを失わないサッカーで相手を蹂躙できるのです。
常勝チームを目指して
勝てなかった時期、小西社長と風間監督は不思議なほど落ち着いて前を見ているように見えました。その場しのぎでは選手は成長しないと考え、時間がかかっても今苦しくても、選手を育て常勝チームを作り上げる覚悟があるんでしょう。
8月、Jôの爆発により得点が量産されています。
Jôに長めのボールが入ることも多くなりました。
これを風間サッカーを諦めた、現実路線に入ったと言う人もいます。
そうではないんです。補強、成長によって長い距離の先にある「場所」に気づく目と、そこに「高成功率(出)」で入れられる技術がある選手が増えたのです。
あくまで私の主観ではありますが、距離の長いパスであってもしっかりと見て意思意図のあるパスが出せているように見えます。
そしてその先には同じ目を持ち高成功率(受)のJôが待っています。得点が増えるのは必然です。
これが今のサッカー。「ゴールへむかう×成功率が高いの最大値」の選択を実践できた結果です。決して逃げではないんです。
鳥栖戦の金井のゴールのように連動して場所を繋いだショートパスによるゴール「も」名古屋の目指すサッカー。シャビエルや前田が足業で場所に持ち込んだ結果のゴール「も」そう。どちらも「ゴールへむかう×成功率が高いの最大値」を選択実践したサッカーです。
大事なのはパスの長短やドリブルかどうかではなく、相手によって、流れによって変わる場所を技術を使いゴールを奪うことです。それが今できるようになってきている。耐えて、意思をもって練習、編成してきた結果です。
もちろん相手も必死で勝ちに来ます。相手のDFがうまければうまいほど、場所が相手にとって危険であればあるほど「場所」は狭くなり成功率は受・出ともに下がります。どんなに技術をあげても100%にはならないでしょう。
そこで大事になるのが「自信」です。
監督はよく自信をもってやってほしいと話します。
成功率100%は無い以上どこかでチャレンジしなきゃいけない。躊躇してたら場所はとれない。
「自分達は目は揃ってるし技術があるから大丈夫。」
その自信でチャレンジしてほしいといっているのだと思います。成功率を上げ、チャレンジする自信をもつ。そのために徹底的に技術を鍛えているのです。
つまり、
「高い技術とそれに裏付けられた自信によるチャレンジで、あらゆる効果的な手段を用いゴールを奪う。」
これが風間名古屋の目指すところだと考えられます。
まとめてしまえば当たり前のこといってるだけですが、実現の大変さは想像を絶します。実際この2年間にも多くの痛みがありました。
ただ、私は今、就任時に監督が言っていた「沢山ゴールの生まれるサッカー」が目の前まで来ている気がして、楽しくてしかたがないです。
苦しい時期は越えたのか、もう一谷あるのかわかりませんが、私はこの途方もないチャレンジを応援し続けたいと思っています。
最初に書いた通り私の妄想が大部分である上、
勢いで書いたのでいろいろおかしいところもあるでしょうが容赦ください。
拙い内容ですが皆様がサッカーを語る上での叩かれ台になってくれれば幸いです。一緒にサッカーを楽しませてください。
ちなみに中の人の本質はしょうもないネタでキャッキャしたいヤツなのでそちらの相手もお願いします。
長々とお付き合いありがとうございました。
風間さんはネットが加入した好影響の一つとして他の選手も「見える場所」が増えてきた旨の発言を何度かされてますね。
今まではそこに通せるのか分からなかった所にネットはバスバス通しますから。通るんだと分かればそこを使える選手が増える。
これは受け手にも言えることで前半戦にはDF裏やトレーラーゾーンを狙って使える選手がいなかったんですよ。
でも今は金井や前田がそこを意図して狙える。そこがチャンスになると分かると和泉にだって使えるようになる。だから昨日のような点が生まれる。
そして積み上げてきた止める蹴る外す。どんなにいい場所に走り込んでいいパスが来てもトラップでボールが浮けば相手に詰められますから。
昨日の試合は風間さんの理想とする攻撃が随所にあったと思いますよ。金井と和泉のゴールは美しかったです。