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2018年明治安田生命J1リーグ第25節ジュビロ磐田戦レビュー 理想と現実、似て非なる者の戦い

ジュビロ磐田vs名古屋グランパスはとても注目していた試合でした。と言うのも、磐田について色々と伝わってくる情報や、見た試合内容で、名波さんは『流動的・能動的に選手が好きなプレーをやって勝つ』というサッカーを志向していると僕には思えたからです。そんな名波磐田に対して『選手の一番良いプレーの組み合わせ・相乗効果で最大の結果を生むサッカー』の風間グランパスは、『選手の自主性が重要』という点において似た志向のチームだと言えるでしょうし、名波さんと風間さんも似た部分を持つ監督だといえるでしょう。似たチーム・監督どうしの対決はどうなったでしょうか。

試合は、選手の自主性が重要≒攻守ともにそんなに細かい決まりごとの無い(ように見える)チームどうしが戦うとこんなことになると、興味深い内容でした。勝敗を分けた要素は色々あるでしょうけど、特に大きかったのは、そういう戦い方への選手の習熟度の差だと断じてしまっても良いと思います。結果は1-6でしたが、実質的には0-2となったところで勝負あり。グランパスの3点目以降は、現在のコンディションのジョーを要するグランパスに対して、後方の守備のリスクを度外視して攻めたらカウンターで潰されるというショーのようなものでした。では、グランパスが2点目を奪い勝負が決まった後半10分まで、どんなことが起きていたのか? 振り返ってみましょう。

形の無いことへの習熟

試合はグランパスの4-4-2とジュビロの3-5-2でスタート。試合開始から一進一退の押し合いが続きます。

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グランパス目線で見れば、両WBがピッチ一杯に幅を取り(おそらくこれは名波さんの指示)、3CBも含め人数をかけてこちらを押し込んでくる磐田の攻勢に手を焼いたのでしょう。決まった前進経路を持たない(ように見える)磐田相手では、経路が決まっていないだけにどこでボールを奪えばいいのかグランパスの選手としては決め辛かったと思われます。一方それはグランパスの攻撃でも同じで、ネットや小林、あるいは丸山といったボールの出し手こそいるものの、決まった前進経路があるわけではないグランパス相手に磐田はなかなかボールを奪えなかった。結果、ピッチ上で起きていたのは『前線の守備でボール奪えたらカウンターチャンス』『でもなかなか奪えないし、これといったボールの奪いどころが無いので引いて守備ブロック形成』という、相手のビルドアップにはほぼ無抵抗な守備のぶつかり合いでした。そんな試合の勝敗を分けた習熟度の差とは何だったでしょうか。

習熟度の差は形に表れる

最近のグランパスではいくつか見えてきた形があります。しかし、決まった形を仕込まないことで有名な風間監督だけに、きっとこれは選手の話し合いと共通理解、つまり『目が揃ってきた』結果として生まれた形なのでしょう。

まずは攻撃の形から。これまで解説者やファンが『流動的』と言い、流動的であること=形の無いのが形だったグランパス。しかしながら、各選手の得意なプレーやお互いの意図の理解が積み重なれば、流動的な動きの中にもパターンは生まれてくるものです。

8月の連勝の末、グランパスに生まれてきたパターンが『二つのロータリー』です。

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最前線ではジョー、シャビエル、前田が、中盤では玉田、小林、ネットの二つのユニットが位置をグルグル変えながらボールをつなぎ攻撃する。その動きは、『相手の逆を取る』『ボールに顔を出す』『空いた場所を他の誰かが埋める』プレーの連続によってそう見えるのだと思います。例えば、最近の試合中、ジョーが少し下がりトップ下のような位置でボールを受け、最前線にシャビエルと前田が張る場面が見られますよね。

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それを図にすると上の図のようになります。誰かのプレー意図に周囲の選手が反応して動いている。もちろん3人だけのことではなく他の選手も絡んでくるのですが、その関係が特に観察できるのがジョー、シャビエル、前田であり、玉田、小林、ネットなのです。

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磐田側に目をやると、磐田の選手達はグランパスのロータリーユニットをなかなか掴まえられず、ボールウォッチャーになっている時間が増えていきました。

グランパスの先制点

先制点は磐田のボールウォッチャーしがちな傾向をネット&金井が利用したものでしたが、それには前フリがありました。8分50秒頃の状況です。

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この状況ではネット→金井の浮き球スルーパスがオフサイド判定となりました。ですが、ネットも金井も、グランパスが中央でボールを保持している際に磐田の右WBが金井の走りこみをほぼノーチェックだと把握したはずです。

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先制点の状況では、前フリの経験を活かし、オフサイドラインに気をつけながらタイミングを合わせ裏抜けを狙った金井と、ネットの針の穴を通すようなスルーパスで勝負ありでした。

グランパスの守備の形

攻撃に形が見えてきたグランパス、一方、守備でも形が一つ定まってきたようです。それは、完全に相手を押し込んだ場合を除き、4バックの内3枚が必ず残り、相手のカウンターに備えるというもの。

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丸山、中谷、宮原の3枚が残ったり、

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丸山、中谷、金井が残ったり、

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あるいは中谷、金井、宮原を残した上で丸山を比較的プレッシャーの弱い左サイドに張り出させてロングボール発射台として使ったりしていました。

これらの形も風間さんが指導したとは思えないので、選手達の話し合いによって生まれたのでしょう。今のグランパス守備陣は、本人たちの公式インタビューコメント等でもわかるとおり、「最終的に自分たちが中央ではね返せば失点しない」との覚悟を持って守っているようです。そのために自分たちでどう守るかを話し合って決められる、それこそがきっと風間さんの求める選手の自主性(=風間さんの評する「うまくやれ」)でしょう。

グランパス前線の守備

先制してから前半終了まで、試合はどちらかと言うと磐田のペースでした。

何故そうなってしまったのでしょうか?

恐らく、前線3人が守備をちょっとだけサボったからではなかったでしょうか。今のグランパスの良い時間帯では、ジョー、シャビエル、前田の3人は相手DFにかなりプレッシャーをかけ、ビルドアップを阻害しています。ところがこの試合の先制後、磐田の田口がフリーでボールを受け、展開する場面が目立ちました。それは田口のポジショニングの上手さだったのかもしれませんが、前線の守備と無関係ではないはずです。

ハーフタイムにそこに修正が入ったのか、後半に入ってのグランパスの2点目は、磐田のスローインに対し、ジョー、シャビエル、そして玉田がプレスをかけてボールを奪ったことで生まれました。0-2となった以降は面白いようにグランパスのカウンターが決まり、1-6で終了しました。最後の1失点は余計でしたが、トータルとしては完勝と言っても良いでしょう。

最後に

選手の「目が揃ってきた」ことを感じさせてくれた磐田戦。このチーム状態ならばどことだって良い試合をしてくれると思わせられました。

ところが、試合終了間際のシャビエルの怪我。試合数日後のシャビエル本人のコメントから、年単位の大怪我ではないものの、数週間~数ヶ月の離脱が予想されます。試練の後に新たなる試練ありです。

さらに大学生組が学校に帰ってしまったこともあり、目の揃ったメンバーが欠けることになってしまいました。

そんな今だからこそ和泉や秋山、青木、佐藤寿人の奮起が期待されます。試されるのはチームの総合力。残り10試合で勝点を積み上げて、残留だけではなく、一つでも上の順位になるように、選手・スタッフには頑張って欲しいし、ファンも心から応援しましょう。

 

想定残留ラインの勝点40まで、あと9

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