ラグさん命名の名古屋の8月反攻を支えたツインロータリー。
結論から言うと、長崎戦の敗戦には、このロータリーがうまく回らなかったことに原因があると思っています。それでは、なぜロータリーは回らなかったのでしょうか?
理由1:新しい組み合わせの影響
今回の基本フォーメーションは以下のような形です。
シャビエルの負傷に伴い、児玉が代わりに加わりました。
ロータリーを回すということはコンウェンさんが説明してくれていたように、相手を外すプレーをしながら、それでいてバランスを保つことができるわけです。
ある意味、こういったプレーができるかどうかが風間八宏の目指すサッカーを実現できるかどうかにかかっていると思われます。
ところがこの日の児玉はかなりサイドラインに張り気味でした。縦への仕掛けを数多く試みていましたがサイドラインに張っていると、(かなり極端な図に敢えて表現していますが)3人の距離が遠くなり、前線で柔軟に相手を「外す」プレーになるポジションチェンジができなくなっていました。児玉は6月にプレーしたときは、かなり流動的に動いていてシャビエルともポジションチェンジをしたり、前線に積極的に絡んでいました。ロータリーを回すことができるようなプレーが十分にできていたわけです。ところがこの日はそういったプレーがほとんど出来ていませんでした。
そうなるとスルスルと忍者のように前線に出ていく金井にとってはスペースを蓋されていた状態になっていたわけです。ハーフウェイライン付近で児玉とスイッチなどは繰り返していましたが、それでは押し込むプレーができなくなってしまいます。
また、ロータリーがきちんと回るということは、流動的にだけど、きちんと相手を外した形でパスを受けられるポジショニングが出来ているということです。シャビエルはそういうところが巧みで、パスを受けやすいところ、自分が突破しやすいところにポジショニングすることができていました。前線を形成していた3人のうち、前田直輝と、児玉駿斗はジョーと違って力づくでパスを受けることはできません。2人に欠けていたのはその部分かもしれません。
前線に、連勝中にはなかった澱みが生まれてしまいました。
理由2:走り負けた
理由1の派生です。
磐田戦と長崎戦のトラッキングデータを見てみてください。
中央のMF2人と翁長、飯尾は11kmオーバー、澤田に至っては12kmオーバーです。一般的には「走行距離と勝敗には相関はない」と言われていますが、グランパスの連勝中の試合はすべて走り勝ってきていました。
個人的に注目したいのはもともと運動量が多かった小林裕紀と前田直輝の数字があまりよくないことです。2人は通常90分換算で11kmオーバーの走行距離を叩き出しています。それだけ、守備にも攻撃にも、数多くのところで顔を出しているわけです。それができていなかったのはなぜなのか。
個人的には理由1で挙げた、前線の組み合わせが上手く行っていないことで、細かい動き直しなどが減った。それに影響されて中盤のロータリーもバランスを崩してしまい、うまく動けなくなってしまっていた、というように推論しています。
理由3:ここぞというところを救ってくれていた前田直輝が戻れなかった
連勝中、何度となく、あ!誰かがブロックしてくれた!前田直輝だ!っていうシーンを見かけたのではないでしょうか。
最前線に前田直輝を置いたことのデメリット、それはもう一つ、中盤をスタートポジションとしたときに比べて、ピンチのときに戻り切ることが難しいということです。
攻撃から守備への切り替え時、最前線にいることで5mから10mの違いがでてしまっていたはずです。10mの移動には2秒近くかかることでしょう。それではピンチに戻り切ることができません。
また同じように渾身のブロックを見せてくれていた玉田圭司もこの日はそういったプレーを見せることはできなくなっていました。中断期間中の半分を別メニューで過ごした影響もあったことでしょう。
これらの影響は間違いなく有ったはずです。
川崎戦への一週間でどれくらい調整できるか
とまあ、長崎側の狙いについてはラグさんのマッチレビューを見ていただくこととして、名古屋グランパス側の話をまとめてみました。
ある意味吹っ切れた長崎も手強い相手ですが、それ以上に恐ろしいのは好調札幌を7-0で粉砕した次戦対戦相手の川崎フロンターレです。
もちろん、風間八宏にかぎって、「審判のせいにしてなんの対策もしない」なんてことはないでしょう。
敗戦は悔しかったですが、みんなで風間八宏がどんな対策を錬ってくるのかを予想して楽しもうじゃないですか。
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