グランパスは何を改善すべきか
負けました! 前節の長崎戦の負けは「ハメられたら負けるよね。3点取ったから良し良し前向いていこう」くらいのもんでした。今節は完全に力負け! 風間サッカーの先輩かつ変化形の鬼木サッカー、トメルケールシュビカターイ相手に、多少の見せ場はあったものの、内容的に完敗。連敗は選手にもスタッフにも現在のグランパスの立ち位置を教えてくれたことでしょう。グランパスのリーグ残り試合は8試合。8試合でなんとか勝点9(3勝5敗以上)を掴むために、敗因のチェックと改善箇所の提案をします。
両チームの基本配置は4-4-2vs4-2-3-1。
敗因
川崎の守備力
流石リーグ最小失点を誇る今年の川崎です。驚くほどカチコチに硬い守備でした。
攻撃の起点となっているネットへの、中村憲剛を中心とした前からプレスは強烈でした。ネットへのプレスで少しでもネットからのパス精度や速度を落とし、ネットのパスの受け手へ素早くプレスしボールを奪う。特にエウシーニョが強烈で、試合を通してグランパスの左サイドからの攻撃はほぼ殺されていました。右の宮原は時々良い形でボールを持っていましたが、残念ながらそこからの効果的なクロスボールや展開はほぼ無し。グランパスの両サイドからは良い攻撃がほぼ見られませんでした。一方、中央はどうかと言うと、サイド以上にカチコチ。相手のCB、CHの4人の連携は素晴らしく、CB+CHの四角形の内側にボールが入ってきた時に誰が潰すのか、カバーをどうするのか、そういった仕込みを感じられました。敵ながら良い守備でしたね。
グランパスの守備の弱点
グランパスは自陣に引く(≒押し込まれる)と、4-4ブロックの守備陣形を形成します。
風間監督が言う「正しい位置」にいれば、攻撃側の選択肢を絞り込むことができますし、丸山、中谷に加えランゲラックがいるのですから、工夫も無く放り込まれるクロスボールやミドルシュートには対応できます。ところが、今のグランパスの守備には明確な弱点が一つあります。
『選手配置のバランスが崩れていると脆い』
川崎としては、グランパスの選手配置のバランスを崩してしまうか、選手が正しい配置になる前に一気に仕留めてしまえばいいわけです。1点目、2点目がまさにその形でした。
1失点目はこんな状況。
自陣ゴール前でボールを繋がれ左右に揺さぶられた結果、和泉と前田は外側のスペースをケアし、ネットと小林が右側へ寄ってしまった。パスの出し手として潰さなければならない大島に誰もプレスしにいけない選手配置にさせられてしまいました。
2失点目はカウンターからでした。
前田が戻る前に、前田がカバーするはずのスペースからスーパーなミドルシュートを突き刺されてしまった。戻れていた小林やネットのスライドも甘くて、『前田が戻りきれない場合に、そのスペースを突かれたら、誰が潰しに行くか』等の仕込みはしてないんだろうなあ、風間監督と思わずにはいられませんでしたね。相手の鬼木監督がそういうことを川崎の各選手へ仕込んでいると思われるだけに、特に守備の面で差を見せ付けられてしまいました。
グランパスは何を改善すべきか
攻→守の切り替え(ネガティブ・トランジション)の強化
ごく簡単に説明しますと、ネガティブ・トランジションとは、『ボールを失った直後の数秒間のプレー』のことです。グランパスも昨シーズンと比べかなり良くなってきたものの、『ボールロスト直後の即時奪回を目指しプレス』『即時奪回が無理なら可能な限り迅速に帰陣し4-4ブロック形成』は川崎のような堅守のチームと比べてまだまだ甘いとわかりましたね。即時奪回のためには連動したプレッシングが必要と言われていますから、一朝一夕でどうなるものでもないでしょう。対して、迅速な帰陣は、意識の植え付け、フィジカルコンディションの改善等々により、シーズン中であっても改善できることではないでしょうか。簡単なことではないでしょうけど、改善してほしいです。
シャビエルの穴埋め
これに言及しないわけにはいかないでしょう。長崎戦でも不在による影響をかなり感じさせられたシャビエルですが、川崎戦では相手の守備が良かっただけに尚更でした。特にシャビエルのできる次の3点のプレーが、他にできる選手が現状ではいない。
・攻撃時に、決まった場所ではなく、大外に張ったり間に入ってきたりの『相手にとっての嫌なところに位置する』ポジショニング。玉田が近いことをやってはいましたが、連勝中のグランパスではシャビエル+玉田だったから良かったのであって、玉田だけではキツイ。
・相手DFを背負って味方の縦パスを受けた際のキープ力。川崎戦で、エウシーニョに潰されまくった和泉、青木が印象的でしたよね。シャビエルだったらあそこまでロストはしなかったはず。ジョーもそうですが、ちゃんと足元につけてやればキープしてくれるシャビエルの有難みはいなくなってわかります。
・カウンター時の推進力。一瞬でトップスピードに乗る瞬発力、加速力に優れるシャビエルです。カウンター時に前を向いてボールを持たせたら、シャビエルは間違いなくJトップクラスの攻撃力を発揮できます。和泉や青木や、児玉はまだそのレベルではないですよね。
シャビエルの穴埋めは無理だが、出てくる選手の良いプレーで勝つのがグランパスのはず
穴埋めどうこうと書いておいて大変申し訳ないのですが、シャビエルの穴は埋まりません。しかし、埋まらない穴のことを嘆いていても仕方ない。ようやく復帰して少なくとも45分プレーできた青木や、和泉や、秋山がいます。彼らを使う側の選手、玉田であったりジョーであったり小林であったりが、彼らの特徴をよく理解して上手に使ってやればJ1の選手を相手にしても彼らは十分に能力を発揮できるはずですし、彼らもまた周りに『自分たちはこうなんだ』とわからせて、ロータリーを回さなければならない。次節はネット出場停止、順当に行くならば和泉が代わりにCH、青木左サイドスタメンと予想されます。彼ら自信の奮起と、何よりも『目が揃う』ことに期待しましょう。