「ねえおじいちゃん、グランパスとよこはまにかんけいあるお話をきかせて?」
「ほほう………そうだなあ………おうぎh(記述はここで途絶えている)」
(Jリーグ奇譚24巻 2016年名古屋鯱軍の章より)
アウェー横浜の地に乗り込んだグランパス。ルヴァンも合わせて先週金曜日からの8日間でアウェー3連戦と、地味に過酷な日程の最後の試合は引分で終わりました。両クラブのファンから、『勝てなかった』『負けなくてよかった』という声がそれぞれ発せられたほどの接戦。僕は、負けなくてよかったと思っています。ほぼ横浜ペースで進んだ試合、いくつかの要素に絞って見てみましょう。
グランパスの『ハーフスペース』管理問題
事前から多分そこだよなーって思ってたとおりに、よくやられましたよねー! どういうことか、模式図で見てみましょう。
ここから、グランパスが押し込まれると次のようになります。
ここで危ないのが『ハーフスペース』(簡単に言うとCBとSBの間のスペース)と『大外』(SBの外側のスペース)のリスク管理問題です。どういうことかと言うと………
こんな感じで、けっこういいようにやられてましたよね。吉田と宮原が相手WGを見るのかCHを見るのか、その場合にシミッチや米本、シャビエルに和泉が相手をどう捕まえるのか、どうマークを受け渡すのか。押し込まれた後だとその辺が曖昧な弱点はまだまだ改善途中。今後に期待したいところです。
ボール奪取位置から見る攻防
この試合も観測してみました、両チームのボール奪取位置。画面越し目視なので精度に不安があるということはご承知おきください。
まず、見て取れる点は次のとおり。
- グランパスは、特に前半、相手陣地でけっこうボールを奪っている
- しかし相手PA近辺で奪えてはいない
- 横浜もグランパス陣地でほぼボールを奪えていない
前でボールを奪い取り『ハーフコートゲーム』をしたいグランパスに対し、そう前から守備をしようというわけでもなかった横浜というイメージを裏付ける結果でしょう。
一方、気になるデータは他にもありました。パスの本数です。
引用元→ https://www.sofascore.com/team/football/nagoya-grampus-eight/3136#tab-event-widget-statistics
いつもは約600本以上のパスを通すグランパスが、横浜戦ではたった397本。パス本数は多ければ良いというものではありませんが、普段と比べて200本も少ないのは異常です。『グランパスのパス本数が少なくなる展開に引き込まれた=横浜のペースだった』と解釈するのが妥当ではないでしょうか。では、なぜそうなってしまったのでしょうか?
カウンター合戦
ずばり言ってしまうと、グランパスも横浜もまだまだ守備には難のあるチームです。お互いの攻撃をあんまり阻害できず、かといって引いて守備を固めるというわけでもなかったことから、お互いに攻撃をしては攻撃を仕返される。中盤でせめぎ合うと言うよりは攻撃を『やり切れて』しまう。そんな状態だったのかなと。
本来のグランパスはパスを細かく交換してボールを保持しチームを前進させるチームのはずなのに、細かく交換するまでもなくパスが縦に通ってしまうしドリブルもできちゃうから、いつもと比べて『少ない手数』で攻撃できてしまった。横浜の守備がルーズだったからそうなってしまった。であれば仕留めなければならなかったのですが、仕留められず。相手の横浜にしても同じことで、ハーフスペースを普通あんなに使わせてくれませんからね。なんか攻撃できちゃうから攻撃してたけど仕留められなかった。お互いに攻撃できちゃったと言える試合でした。そして、結果的にリズムをよりつかめなかったのはグランパスで、もっと余裕を持ったボール保持が必要だったのではないかと思います。
最後に:次戦に向けて
地味に過酷な日程が終わり、次は3月30日以来のホームでの試合です。鹿島戦も、ルヴァンセレッソ戦も、この横浜戦も、全て『自分達のあるべき試合運び』つまり『ゲームコントロールとはどうあるべきか』ということを突きつけられた内容だったように思います。願わくは磐田相手に完璧な試合運びを見せて欲しい。6-1じゃ物足りない、7-4を超える、8-0とかでも良いんですよ。よろしくお願いします。