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名古屋グランパスについて語り合うページ

パフォームが放映権を獲得することで何がおきるのか ※二次報道を追記

2016年6月9日付けの各ニュースで、英パフォーム社がJリーグの放送権を購入すると報じられています。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160609-00000018-nksports-socc (日刊スポーツ)

「今季でスカパー!との放送権契約が切れるJリーグは、昨年末から契約先を探し、このほどパフォーム・グループと大筋で合意した。NTTとスカパー!を加えて、地上波、ネット、海外版権など、年単位では倍増となる100億円の5年契約で放送権の包括契約を結ぶ。」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160609-00000011-spnannex-socc  (スポニチアネックス)

複数年で年間130億円の大型契約になる見通しだ。12~16年の5年契約を結ぶスカパー!との契約は年間30億円で、4倍以上の放映権収入が見込める。きょう9日の臨時理事会で承認され、近日中に発表される運びだ。

2つの報道を見比べてみると、まずは年額が100億円と130億円で差があることがわかります。これだけで、実はまだ決まったモノは何もないことがわかります。

追記

J放映権争いは携帯キャリアによる代理戦争か。リーグは未定を強調も水面下で交渉進む

上記の記事でコメントが出されています。

「TVの放映権は収入、またより広くJリーグを見てもらうことを考えても非常に重要」と村井チェアマン。「ただし、まだ何も決まっていない。理事会でも議論していない」と現状は契約については未定であることを強調した。

現状Jリーグはスカパー!と契約を結んでいるが、報道によれば来季からは英国に本社をおくパフォーム社と新たに契約。年間100億円以上という現在を大きく上回る契約で9日の理事会で承認されるとの報道だったが、チェアマンはそれを否定した。

ただし、含みも持たせた。次回の理事会は6月中に開催予定だが、放映権についてはそこで議題に上がる。チェアマンは「今までより安くなるのか、より広く見られるにはどうしたらいいのか。ファンにとって何がいいのか話したい。放映権は2017年のもので、今はもう6月。私としては早くやっていきたい」と語る。

これまでの放映権料はどうだったのか

ちょうど良いまとめがあります。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%BE%E6%98%A0%E6%A8%A9_%28%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC%29

  • 2002年-2006年 NHK・TBS・J SKY SPORTS 年間49億円
  • 2007年-2011年 スカパー・NHK・TBS 年間50億円
  • 2011年-2016年 スカパー 年間44億円

(金額はすべて推定)

だいたい40億円から50億円でこの15年間推移してきたと思われます。

同じ記事のなかに2年前のものですが、放映権料収益の総計が出されています。この金額はおそらく来シーズンにはもっと増えていると思われます。ニーズがあるからこそこの金額になるわけですが、すごい金額ですね。

2014-2015の放映権料
リーグ 総収益 チーム最高額 1チーム平均
プレミアリーグ 19億9400万ユーロ(約2464億円) 1億2400万ユーロ(約153億円) 9970万ユーロ
セリエA 8億3600万ユーロ(約1033億円) 9400万ユーロ 4180万ユーロ
リーガ・エスパニョーラ 7億7000万ユーロ(約951億円) 1億6300万ユーロ(約201億円) 3850万ユーロ
ブンデスリーガ 5億8200万ユーロ(約719億円) 5100万ユーロ 3233万ユーロ

最新の放映権料については以下の記事が詳しいです。

http://www.footballchannel.jp/2015/12/12/post126125/

 パフォームとはどんな会社なのか?

パフォームを理解するには良い記事がありました。

http://diamond.jp/articles/-/44490 (全文はサイトを御覧ください。)

“スポーツ”を軸とした動画コンテンツ配信と動画広告の展開で世界最大級の規模を誇っているのが、イギリスに本拠を置くPERFORM(パフォーム)グループだ。

07年に設立されたパフォームは、現在ヨーロッパ・北米・中南米・アフリカ・アジアの25ヵ国で動画配信ビジネスを展開しており、全世界で年間50億回を超えるVOD(ビデオオンデマンド)配信の実績を持つ。

設立当初のパフォームは、1クラブのWebサイトの制作からはじまったようです。そこからオンライン・ブックメーカーのサイトに関わったことで大きく伸びました。ご存知の方もいるかもしれませんが、海外サッカーを無料で見るためには、このようなオンライン・ブックメーカーのアカウントを取得し、そのサイトから見るという方法があります。すべて英語や現地語ですし、しかも賭けがメインなので、口座またはカードを登録しなければならないという問題もあって、日本人にはハードルが高いためにあまり一般的ではありませんでした。

しかもそこの実績は、スポーツを賭けにすることを認めていない国には展開できない、狭い範囲のビジネスであることが問題であり、そこで行き詰まっていました。

 「08年のリーマンショック以降、大手メディアはグローバルに動画配信を展開する意欲が後退し、投資を控えたり既存のサービスを売却するようになりました。それが、我々にとっては大きなチャンスでした。ただ、『ウォッチ&ベット』は、スポーツ賭博が法的に認められているヨーロッパのいくつかの国でしか展開できないビジネスモデルで、アメリカやアジア諸国では成立しません。そんな折りに、アメリカのESPN(全米最大級のスポーツ専門チャンネル)を訪問する機会があり、ESPN自身のサイトでオリジナルの動画配信とそれに伴う動画広告収入の伸びが大きいことを聞き、我々自身も同じようにやってみようと思い立ちました」(スリッパー氏)

そこからスポーツコンテンツのオンデマンド配信に乗り出してみたわけです。

日本市場への参入

パフォームは日本ではJ SPORTSと提携して、JSPORTS LIVEというビデオ・オンデマンドシステムを作っていました。2013年から2015年までの間、イングランド・プレミアリーグを中心とした配信を行っていたのです。

http://www.jsportslive.jp/

その後J SPORTSは今シーズンからJ SPORTSオンデマンドというスカパーJSATのビデオ・オンデマンド基盤への乗り換えを行っています。そもそもJ SPORTS自体が以下の資本で構成されているわけで、スカパーJSATの基盤への乗り換えは必須だったわけです。

  • 株式会社ジュピターテレコム 80.5%
  • スカパーJSAT株式会社 15.0%
  • ESPN Inc.(伊藤忠と業務提携)
  • 株式会社東京放送ホールディングス

日本法人のURLは以下の通りです。

http://eplayer.co.jp/

多数の媒体に既に日本でも動画を提供しているのがわかります。

採用媒体
採用媒体(パフォーム社サイトより引用)

また、コンテンツホルダーとして、多数のスポーツと契約していることがわかります。

権利を持つコンテンツ(パフォーム社サイトより引用)
権利を持つコンテンツ(パフォーム社サイトより引用)

これを拡充していく流れであるのは想像がつきます。

スカパーとJ SPORTSの成り立ち

スカパーは伊藤忠商事の人工衛星事業とNTTを母体にした日本サテライトシステムズ(現JSAT)と、伊藤忠商事㈱、住友商事㈱、三井物産㈱、日商岩井㈱の4商社が合弁してできた衛星放送事業パーフェクTVと、そしてニューズ・コーポレーション、ソフトバンク、ソニー、フジテレビに住友商事グループが加わったJスカイBが合併して出来上がった会社になります。

株主構成

スカパーJSATの大株主はJSATのコアとなる伊藤忠グループとフジテレビの合弁会社を中心に、NTTコミュニケーションズ、住友商事、日テレらになります。

株主名 株式数 持株比率 (%)
伊藤忠・フジ・パートナーズ(株) 76,568,800 22.2
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(株) 26,057,000 7.6
住友商事(株) 22,258,400 6.5
日本テレビ放送網(株) 20,891,400 6.1
(株)東京放送ホールディングス 18,434,000 5.3
日本トラスティ・サービス信託銀行(株)(三井住友信託銀行再信託分・三井物産(株)退職給付信託口) 13,405,200 3.9
日本トラスティ・サービス信託銀行(株)(信託口) 7,368,700 2.1
日本マスタートラスト信託銀行(株)(信託口) 5,041,900 1.5
ピーエヌピー パリバ セック サービス ルクセンブルグ ジャスデック アバディーン グローバル クライアント アセッツ(常任代理人 香港上海銀行東京支店) 4,373,600 1.3
(株)電通 4,059,400 1.2

そこには各テレビ局に加えて、伊藤忠グループ、住友商事グループ、NTTグループの名前が出てきています。ソフトバンクは大株主からは撤退しています。おそらくNTTグループとの棲み分けと想像できます。

J SPORTSは前述の通り、ジュピターテレコム(住友商事グループ)とKDDI、スカパーJSAT、TBSの資本の会社です。スカパーJSATのなかでもJSPORTSが独自路線を取りがちなのは、KDDI資本が影響していることもあり得るでしょう。

まとめ

スカパーは、伊藤忠、住友商事、NTT、テレビ局が呉越同舟している事業である。

仮説。これからどうなるのか

以下は完全な2016年6月9日現在の予想です。あくまでも予想であり、外れても一切責任はもてません。

Q.スカパーでは放送されなくなるの?

A.99%されます。

今回放映権を落札しそうなのは、パフォーム単独ではなくNTTとの合同です。前述の通り、NTTはスカパーJSATと深い関係にあり、フレッツ光ネクストをつかったスカパープレミアムサービス光でも密接な関係があります。(ひかりTVでも協力)また衛星事業においても協力しています。さらにスカパーオンデマンドの基盤はNTTグループです。(参考発表資料:http://www.nttsmc.com/news/h23/20111110.html

そうなると、同じNTTグループに対して、大きな不利益になるようなことはしないでしょう。新聞報道でもあったように、サブライセンスが発行されることになると思われます。

関係者によると、スペインリーグやプレミアリーグの放送権を取得したソフトバンクもJリーグに興味を示していたが、条件面で上回るパフォームがNTTグループと組んで契約を勝ち取った。スカパー!はパフォームから放送許可を得るサブライセンスを取得して来季以降も中継を続ける方向で調整している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160609-00000011-spnannex-socc  (スポニチアネックス)

Q.放映権料が倍以上になるということは、僕らがサッカーを見るための料金も倍になるの?

A.可能性はあるが、大幅なものとは思えない

欧州では、今回と同じようなことが20年前に発生しています。

1996年に衛星放送とケーブルテレビが出現するとサッカーの放映権料は人気のあるプロサッカーリーグを中心にして一気に暴騰しました。 その影響は次第に全世界へと広まり、クラブの財政や選手の年俸に多大なる恩恵をもたらしましたが、それと同時に「多額のお金を払わなければサッカー中継が視聴できない。」という負担を一般のサッカーファンに強いることになりました。そのときの騒動の記憶が今回の懸念の原因だと思います。

結局、あまりの放映権料の高騰ぶりがテレビ局の破綻や視聴者のサッカー中継離れを呼び、2002/03シーズンを境に放映権料の価格は下降線を辿ることになりました。しかし、収入の大部分を放映権料に頼っていたリーグやクラブは放送局が提示する値下げ案を到底受け入れることが出来ずに、放映があわやされなくなりそうになるなどの、大きな問題になりました。(この90年台後半の放映権問題に端を発する欧州サッカーの低迷期とJリーグの開始が重なったことが、有名サッカー選手が数多く日本に来た理由でもあります。)

それらの流れを熟知しているパフォームが、同じ轍を踏むとは思えません。

そもそもパフォームは日本国内だけで、放映権料を回収しようとしているわけではありません。自サイトのコンテンツを多数の国への配信しようとしています。ですから、サブライセンスを不自然に安くすることはないでしょうが、放映権料を倍にしたから、スカパー!への請求も倍にするということもないのではないでしょうか。

Q.そもそもパフォームが落札できるの?

A.今回のリークで、スカパー!とソフトバンクの条件上積みがあるかもしれず、確実ではありません。

確実と言われたiPhoneの初期独占販売権をドコモから奪ったのがソフトバンクです。ソフトバンクは今年より、「スポナビライブ」という月額500円のサービスを実施しています。(他社向け3000円)

すでにイングランド・プレミアリーグやリーガ・エスパニョーラの放映権も獲得しており、そのラインナップの拡充のために大きな投資をする可能性があります。そもそもイングランド・プレミアリーグやリーガ・エスパニョーラだけでもかなり大きな投資になっているはずです。おそらくパフォームと同程度の応札はあるのではないかと思います。

決定は今月中か?

最終的に選ぶのはJリーグです。

今日の会見で、「より広く見られるように」とJリーグの村井チェアマンは語っています。おそらく今月中の決断になると思いますが、僕らサポーターにとって、サッカーをより身近に見ることができるようになると良いな、と思っております。

 

 

 

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About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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