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データから見るセレッソ大阪戦 相馬勇紀という異物

相馬勇紀という異物

セレッソ大阪戦、現地では南スタンド最前列で見ていた。これは相馬勇紀が目の前の座席位置だった。隣にJリーグ初観戦というカップルがおり、相馬勇紀のムチムチした身体にキャイキャイ言っていたのが微笑ましかった。

前節のサガン鳥栖戦で初ゴールを挙げたことによる先発ゲット、当たり前だがだいぶ入れ込んでいた様子である。

違和感ははじめからあった。0分、キックオフと同時に相手最終ラインに走り込む相馬勇紀。当然そんなところにロングボールは出ない。

  • 25分 ジョーの落としをシュートに行かず、パスを選択してミスをする。
  • 25分 奪われた後に相手にプレスをしかけ、簡単にファールをしてしまう。
  • 27分 宮原のパスにラインとの駆け引きでは2mくらいの余裕があったにも関わらず、減速してしまい受けることができず。
  • 30分 米本拓司の素晴らしいスルーパスを受けるが、縦に勝負できずに簡単に奪われる。
  • 35分 シミッチのスルーパス受けるが勝負できず、バックパスをミスして奪われる。
  • 36分 クロスのこぼれを丸橋祐介と競り合い、ファールを取られる(これは良いプレー)
  • 37分 セレッソ大阪清武弘嗣と都倉賢が絡むプレー、自陣内で簡単にファールをしてしまう。

おそらく、後半からの交代が決まったのは、この12分だろう。

スタッツから見てみる

相馬勇紀のスタッツを見て欲しい。

https://www.sofascore.com/cerezo-osaka-nagoya-grampus-eight/LmbsQmb より引用

パスが少ない

パスの本数はなんと16。同じく途中交代だった和泉竜司と比べても1/3強。パスが出来ていないということは、それだけチームに絡めていないということだ。パスの成功率も、チームのなかでは最低クラス。致命的なところでのパスミスが散見された。

クロスが少ない

相馬勇紀のクロスは1本、ジョーが落として和泉竜司のシュートに繋がったものだったが、それ1本だった。同じポジションの和泉竜司も2本で、グランパスのスタッツの特徴なのかもしれない。

ドリブルが少なくて、成功もしていない

ドリブルの試行回数(Dribble Attempt)が2で、成功が0。シャビエルは試行回数が4で成功が3。このあたりにも差が出ている。

ファールが多くて、披ファールがない

Was fouled(披ファウル)が0で、Fouls(自分がしたファウル)が3。シャビエルとちょうど逆になるが、これはファールを貰うプレーが下手で、守備に走っているのに結局相手ボールにしてしまっているということだ。ファールは最終的にファールでプレーを止めた方が利益があるときにだけするべきだが、相馬勇紀は局面における守備戦術をもっと学ぶべきだ。

デュエルが多いが勝てていない

1対1を制することができれば、サイドのMFはフリーでラストパスを送ることができる。だが上のプレー機会のところを見て貰ってもわかるように、勝負できるところでも勝負できていない。7回のデュエル機会で1度も勝てていない

体格も似ており、プレースタイルも近いシャビエルは90分ではあるものの、12回中7回デュエルに勝利している。

相馬勇紀はダメなのか?

刺激的な書き方をするが、相馬勇紀の「この試合」は、うまくいかなかった。

タイトルにもあったように、有機的に結合する物体のなかに1滴落とされた異物のように、グランパスというチームのなかにフィットできていなかった。

ただし、それは相馬勇紀という個人の評価ではない。相馬勇紀が活躍していたとき、どんなプレーを見せてくれていたのかを思い出して欲しい。

サイドラインを快足を飛ばし駆け抜けてクロス。ジョーがそれを収めてゴール!

Embed from Getty Images

グランパスファミリーであれば、誰でもその姿を思い浮かべることができるのではないだろうか。実はこの試合でも45分段階でのスプリント回数は13と、2位の和泉竜司、吉田豊の9回を大きく上回る数だった。だから相馬勇紀はイメージ通りなのだ。

しかし相馬勇紀は既にノーマークの選手ではない。戦前から各紙のスタメン予想に載り、研究される。気持ち良くプレーをさせてもらえるような選手ではなくなっている。

名古屋グランパスの大きな武器としての相馬勇紀を「消す」戦術がもう取られているということだ。

スーパーな選手としてサッカー史上に名を残すというのであれば、この壁を乗り越えなければならない。

そしてもう一つ、自分との戦いがある。

相馬勇紀の第2節を見る限りでは、宮原和也を代表として、右サイドの各選手との意思疎通がまだできていない。いつ行くのか、いつ我慢するのか、要求してもいいし、相手のタイミングを量ってもいい。いずれにしても1人でサッカーはできない。これがちゃんとできるようになれば自然とパスの数も増え、チームのなかでかけがえのない選手として信頼されるようになるだろう。

これからの相馬勇紀はどうしていくべきなのか?

第3者が偉そうなことを言うのははばかられるが、モデルを定めても良いのではないかと思う。相馬勇紀と体格の近い名選手を想定して、その選手がなぜ成功しているのかについて学んで行くことは有効なのではないだろうか。

例えば、ガブリエル・シャビエル。彼もサッカー選手としては恵まれた体格でもなく、強靱な筋力を持つわけでもない。だがデュエルに強い。それはテクニックに支えられているものがある。あいつに出せば、相手チームとの1対1に勝って、味方に繋いでくれる、という絶対的な信頼。それがあるからボールを引き出せる。ファールのもらい方も上手い。パスもできる。

シャビエルは一例だ。名古屋グランパスには一芸に秀でた選手が多い。学べるところはたくさんあるはずだ。

ただし、単純にシャビエルのコピーになれば良いというものではない。自分の良さを活かしつつ、他の選手の良いところを取り込んで欲しい。

相馬勇紀の良いところは、圧倒的なスピード、強烈なキック力。当たり負けのしないフィジカル。

これにシャビエルのような上手さと賢さを兼ね備えられるようになったらどうだろう。もう無敵じゃないだろうか。

そんなスーパーな選手に相馬勇紀はなれると思っているし、なることを期待している。

About The Author

グラぽ編集長
大手コンピューターメーカーの人事部で人財育成に携わり、スピンアウト後は動態解析などの測定技術系やWebサイト構築などを主として担当する。またかつての縁で通信会社やWebメディアなどで講師として登壇することもあり。
名古屋グランパスとはJリーグ開幕前のナビスコカップからの縁。サッカーは地元市民リーグ、フットサルは地元チームで25年ほどプレーをしている。

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