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シュート分布に基づく試合評価:2019年J1第12節川崎フロンターレ戦レビュー

ご無沙汰しております.ゆるグラファミリーのコナカ(@konakalab https://twitter.com/konakalab)です.

まず一言.熱戦でした.

今日はシュート位置の評価(簡易版ゴール期待値)に基づくマッチレポートと,2018年9月の対川崎フロンターレ戦との比較をお届けします.(以降両チームを川崎,名古屋と呼称します.)

(データに関する注意:シュート位置のデータはFootball Lab(http://www.football-lab.jp/)の各試合結果から取得しました.オウンゴールはシュートには含まれていません.また,データの解釈はソースコードを読んだ私の理解に基づくものなので,誤りがある可能性があります.)

(簡易版)ゴール期待値とは?

再掲になりますが念のため定義をここで.

シュートは打たれたときの位置や選手の配置によって得点につながりやすいかどうかが異なります.ゴール正面の近くから打たれたシュートは得点になりやすく,ロングシュートはめったにゴールに入りません.シュートの成功率に関わりそうな条件のうち,シュートを打った位置のみについて,過去その付近のシュートがどの程度の割合でゴールになったのか,を集計したものを簡易版ゴール期待値(simplified eXpected Goals, sxG)と定義します.期待値を色で表したヒートマップは以前の記事(https://grapo.net/2019/04/24/9680/)をご覧ください.混同の恐れが無い場合,簡単のため「ゴール期待値」「得(失)点期待値」などと呼称します.

試合レポート:シュート分布とゴール期待値

試合やスタッツをご覧になった方はご存知かと思いますが,両チームなかなかシュートまで持ち込めない・持ち込ませない展開でした.今シーズンこれまでの両チームは,攻撃守備ともにJ1屈指のチームという評価でしたが(拙マッチプレビュー https://grapo.net/2019/05/16/9901/),試合は守備的な展開となりました.戦術(特に中盤の攻守)の分析は他のレビューにお譲りし,本稿では結果としてのシュート位置からのレビューを試みます.

さて,両チームのシュート分布とゴール期待値です.まずは名古屋から.

(図:名古屋のシュート位置とゴール期待値(2019年第12節@川崎))
(図:名古屋のシュート位置とゴール期待値(2019年第12節@川崎))

放ったシュートは9本,正面寄りのシュートが目立ちます.ゴール期待値は0.8で,実際に決まった1点はマテウス選手のスーパーゴールでした.

それに対する川崎のシュート分布を示します.

(図:川崎のシュート位置とゴール期待値(2019年第12節対名古屋))
(図:川崎のシュート位置とゴール期待値(2019年第12節対名古屋))

左右斜め45度以内から満遍なく攻撃を意図していたように見える分布です.放ったシュートは11本,ゴール期待値は0.98で,斜め45度方向からのレアンドロ・ダミアン選手のシュートが決まっています.

両チームの11節までの1試合当たりの得点期待値は川崎:1.43sxG/試合(3位),名古屋:1.50sxG/試合(2位)でした.それに対し1試合当たりの失点期待値は川崎:0.76sxG/試合(1位),名古屋:1.00sxG/試合(3位)であり,この一戦ではお互いのゴール近くへの進入を阻止する守備的な展開になったことが示されています.また,偶然の一致かどうかはわかりかねるのですが,両チーム今シーズンこれまでの1試合あたりの失点期待値と近い値となっていました.

全てのシュートの期待値に基づき,両チームの総得点とその確率を計算したものを図示します.

(図:sxGに基づく試合レポート.上から得失点差の確率,川崎の総得点の確率分布,名古屋の総得点の確率分布)
(図:sxGに基づく試合レポート.上から得失点差の確率,川崎の総得点の確率分布,名古屋の総得点の確率分布)

わずかではありますが川崎が優勢,しかし得失点差0(上図の黄緑色)が最も起こりうる結果であったという評価です.ただし,1点差であった確率(上図+1の水色,-1のオレンジの棒の長さ)も大きく,どちらのチームから見ても「引き分けは妥当な結果だったけれども,勝てたような,でももしかしたら負けていたような・・・」という印象を裏付ける数値ではないでしょうか.以下Numberから,試合後の選手コメントの引用です.

https://number.bunshun.jp/articles/-/839376?page=3

”1-1という結果に対して、選手たちの捉え方は「この結果は妥当かな」(谷口)、「ダミアンが負傷したことを考えれば、1-1で我慢できてよかった」(登里享平/川崎)、「最低限の結果だったと思います」(米本)、「勝てたかもしれないけど、これが今の実力」(丸山)など、さまざまだった。”

2018年9月22日との比較

さかのぼること237日前,2018年9月22日に両チームが対戦しています.公式ハイライトはこちら.

https://www.youtube.com/watch?reload=9&v=I_bdi2QWaE8

みぎさんのマッチレビューからの引用です.

”翌年J1に昇格した我々を、彼らはいとも容易く捻り潰した。力の差は歴然だった。リーグの土俵は同じでも、ピッチ上において同じ土俵で戦えていたかと問われれば、我々にその力はなかったと認めざるをえない。完敗、だった。”

2018年9月22日名古屋@川崎のシュート分布とsxGを振り返ることで,そこから今日までの変化の証拠を一つでも示せればいいな,と思います.名古屋,川崎の順にシュート分布とゴール期待値を示し,最後にsxGに基づく試合レポートを示します.

注:以下の図中,川崎の得点が「2」となっていますが,オウンゴールがシュートに含まれていないためです.試合結果は川崎3-1名古屋でした.

(図:名古屋のシュート位置とゴール期待値(2018年9月22日@川崎))
(図:名古屋のシュート位置とゴール期待値(2018年9月22日@川崎))
(図:川崎のシュート位置とゴール期待値(2018年9月22日対名古屋))
(図:川崎のシュート位置とゴール期待値(2018年9月22日対名古屋))

 

(図:sxGに基づく試合レポート.上から得失点差の確率,川崎の総得点の確率分布,名古屋の総得点の確率分布)
(図:sxGに基づく試合レポート.上から得失点差の確率,川崎の総得点の確率分布,名古屋の総得点の確率分布)

この時点での実力差が如実に現れたシュート分布だと思います.ハイライトにはほとんど含まれていませんが,名古屋は中央を突破されゴール正面からシュートを撃たれつづけたことが記録されています.オウンゴールで1失点しているので,勝点を持ち帰れた確率も10%以下(上図-1のオレンジより右)という評価です.

このレポートを,お手数ではありますが記事上部にある2019年5月17日の試合レポートと比較してください.川崎は昨年王者であり,今年もJ1最良チームの一つであり続けていることは間違いありません.それに対し名古屋は237日間でチームを改善し,最良のチームと引き分けるまでに至りました.2試合のシュート分布からそこまで考察するのはやや勇み足かもしれませんが.

素晴らしい試合を見せてくれた両チームに最大限の賛辞を送り,そして8月の再戦を楽しみにしつつ,拙稿を閉じたいと思います.ご拝読ありがとうございました.

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