2019年9月23日12時、風間八宏解任とマッシモ・フィッカデンティ監督就任が名古屋グランパス公式HPにて発表されました。
根拠があるわけではなく自分の記憶だけだけど、グランパスの歴代監督でこれほどまでに『人気があった』のは、風間ヤッヒーの他にはヴェンゲルとストイコヴィッチだけ。人気の内訳で、嫌い・アンチな人の割合の高さだったら歴代最高だと思います。好きの反対は無関心理論で、彼に関心を寄せられずにはいられなかったファミリーがとても多かったのかなと。
意外と好きだった、その笑顔
風間八宏と言えばコメントがよくわかんない系監督の筆頭候補。(サッカー問わず)日本の監督にありがちな、「とりあえずカメラの前では負けたら謝っとこ」みたいなノリも一切ない。試合前コメントから僕達は何を読み取ればいいのか………試合後コメントから何を読み取れば良いのか………最後の最後まで結局よくわかんなかった。人間、わかんないものに接したら、大きく分けて『わかろうとする』か『不気味に感じていら立つ』か『距離を置く』のまあどれかだと思うんですよ。風間ヤッヒーを僕はわかりたかったけれど、イラっとしちゃう・嫌いだと思う人も当然いたでしょう。ただ一つ言えるのは、風間八宏は最初から最後まで本当にブレなかったということと、意外と笑顔の可愛い愛嬌のあるオッサンだったということです。
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ブレなかった
この辺は今更僕がどうこう言わなくても、日ごろグラぽをお読みいただいている方にはおわかりでしょう。選手達にピッチ上の攻撃の自由を与えて、とにかく自分たちでボールを握って攻め倒す。良くも悪くもそこから本当にブレなかった。そういった指向のサッカー、合う選手、合うように変われる選手と、合わない・変われない選手との違いが絶望的に大きかった(ただしどんな監督でも合う選手合わない選手は発生します)。選手の自主性にかなり多くのことを任せていたから、良くも悪くも選手の実力とコンディション(メンタルも含めて)がピッチ上にそのとおりに出過ぎちゃう。普通、もうちょっと選手に楽をさせてあげるために(つまり良いパフォーマンスを発揮させて勝つために)監督がある程度配置と型を決めておくもんだと思います。でも攻撃では本当にそれを作らなかった。何よりも監督自身がそのサッカーの行きつく先を見たかった・作りたかったんでしょうし、見てみたかったファミリーもきっとたくさんいらっしゃったはずです。名古屋グランパスというクラブもまた、そのサッカーを礎として発展していこうとしていた………と思っていました。解任のニュースを聞くまでは。
グランパスの方向性とは
ヤッヒーがグランパスで表した方向性は次の4つ。
- 攻撃的
- とにかく技術ベース
- ボール保持
- デュエル上等
名古屋グランパスがクラブとして積み上げる方向性は未だ不明です。ただし、資金力的にビッグクラブにならねばならないという前提ならば、ボール保持型&攻撃的って要素は重要でしょう(少なくとも国内リーグで守備的なビッグクラブなんて欧州ではほとんどない)。グランパスがそういう方向性を積み上げられるのか? 少なくともヤッヒー政権下において、それはまだまだ形になっていない。フィッカデンティがそれを形にできるのか、それもまだわかりません。
継続性とは
2017年以降、グランパスは今度こそ継続性を持ってチームを発展させることに取り組んできた、と感じていました。事前のイメージだけで大変申し訳ないのですけど、ヤッヒーとフィッカデンティでは、監督としての方向性にかなり違いがあるように思われます。そこからグランパスの決断を推測するならば、次のどれかではないでしょうか。
- グランパスは風間八宏によって得られる方向性を『失敗』と判断して、フィッカデンティで解体・再構成することにした
- 風間八宏成分はある程度クラブに浸透したので、監督を代えても継続できると判断した
- フィッカデンティが風間八宏の方向性を維持・発展させられる監督と評価した
- 継続性を放棄した(その時の監督・選手達次第で良いと判断した)
何れにせよ、ヤッヒーはもういないし、既に現監督はフィッカデンティです。クラブを応援するとともに、「どうなるか見てみようじゃないか」しかないのです。
最後に
さらば風間八宏。願わくは直接ありがとうと伝えられる機会がありますように。